2024/11/24 05:47 |
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2009/11/18 23:37 |
ある灰色の空の日(後編2) |
―陸南学園 運動場―
「君は何者だ。 何故、私を狙った?」
雨の降る静寂の中、クレトアさんはレナウドさんの前にナイフを持っている女性に言ったが、何も答えず顔を下に向けた。
「・・・けるな・・・。」
すると、彼女の口が動いたのが見えた。 雨の音で声までは聞こえなかったけど。
「・・・ふざけるなあああぁぁぁーーーーー!!!」
突然、彼女は咆哮し、濡れた地面を蹴り物凄い速さでクレトアさんに突っ込んでいった。 クレトアさんは咄嗟に白い拳銃を取り出し、連射したが、彼女は止まることもなく弾丸を綺麗に避けて右手に持っているナイフを投げた。
「くっ!」
すると、突如クレトアさんの前から白い魔法陣が現れて、魔法陣からに何か出てきて彼はそれを手に取り、それを抜いた。 それは刃が真っ二つの剣であった。 彼はそれをなぎ払いナイフにあたり、こっちに回転にしながら来て、智東さんのすこし前に刺さった。 すると、彼女はハッとした顔をして地面に刺さったナイフを抜いて観察すかのようにナイフを見た。
「このナイフは・・・いや、そんなはずは・・・だって・・・。」
彼女はなにかブツブツと言い始めたら、カキーンとなにかぶつかり合った音がしてそっちを見たら、再びカキーンと音がした。 クレトアさんの剣と女性のナイフがぶつかり合っていた。
「はああぁぁッ!」
クレトアさんは体を素早く回転し、剣を払ったら女性の腹を切った。 だが次の瞬間、女性の体が歪みながら消えていった。
「甘いッ!」
と同時に、彼の背後から女性が現れて、両手に持っていたナイフを振り下ろしたが、いつの間にかクレトアさんはその場から消えていて、空振りをした。
「何ッ!」
彼女は驚いて顔を上げた瞬間、バーンと何処からか銃声がした同時に女性の頬になにかかすったかのを見えた。 そして、彼女の頬から血の一滴がたれて濡れた地面に落ちた。 だが、彼女はそんなことを気にしてはおらず上空の方に睨みつけていた。 僕は彼女が睨んでる方を見たら、いつの間にかクレトアさんが上空に浮いていて、右手に白い拳銃、左手に剣を持っていて、右手に持っている白い拳銃が彼女に向けられていた。
「うおおおおッ!!!」
彼女は再び咆哮したら、突然背中から黒い翼が生えてきて、その翼を羽ばたきながら勢いよくクレトアさんに突っ込んでいった。 クレトアさんは白い拳銃をマントの中にしまい、剣を右手に持ち替えて剣を勢いよく振り下ろしたら、斬撃を女性に目掛けて放った。 しかし、彼女は体をくるりと回転し、斬撃をかわして止まることも無く彼に突っ込んでいき、クレトアさんの剣と女性のナイフが激突し、押し合った。
「誰だ、貴様は!? 何故、私を狙う!?」
「黙れッ! 貴様は・・・貴様だけは許さんぞ!!」
すると、彼女は急に後ろに下がったら、クレトアさんがバランスを崩した隙に、何処から出ているのかナイフを数十本を投げた。 クレトアさんは咄嗟にかわし、剣を降ったら斬撃を放ったがすでにそこには居なくて上の方に飛んでいた。 斬撃は屋上のフェンス(新品)に当たり、真っ二つになった。 あれが三階の教室にいる三年生に当たったら、想像するだけで恐ろしいことになっていたかもしれない。
彼女は再び、クレトアさんに突っ込んでいき、ナイフを投げた。 クレトアさんはナイフをかわした。 だが、彼が投げたナイフを見ていたらいつの間にか女性はクレトアさんの後ろにいて、ナイフを取った。 クレトアさんは、マントに手を突っ込みで、女性はナイフをくるりと回転させた。 お互いの距離はそんなに離れてはおらず、見た状況は女性のナイフの方が早いと僕は思っている。
「あの動き・・・やっぱり彼女は・・・!?」
そしたら、急に智東さんが立ち上がり、
「やめて、クレア! ナル!」
彼女が叫ぶかのように言ったら、クレトアさんと女性はピタッと止まった。 クレトアさんはマントから取り出した白い拳銃を女性の首に、女性のナイフはクレトアさんの首に当たっていた。 たぶん、彼女が声をあげなかったら、どちらか・・・いや、今の状態では、二人とも首から血が出て死んでいたかもしれない。
「き・・・君は・・・ナルシファ・・・なのか・・・?」
「・・・。」
すると、女性はゆっくりと腕を下ろし、彼から離れて地面に降下していき、クレトアさんも白い拳銃をしまい降下して地面についた。
「そうです・・・お久しぶりです、クレトア隊長・・・。」
「どういうことだ・・・? 君はあの時、たしか死んだはずでは?」
「ええ、たしかに私は死にました。 でも、私は何故だか分からないけどこの世に戻ってきたのです。 体は違いますけどね。」
「今の私の体は「空の人形」という名の体・・・もとい人形の体です。」
そう言ったら、彼女は右袖を短くした。 そしたら、三人は驚きの表情をした。 彼女の腕は白くて綺麗な肌をしているが、黒くて細い線があって、人形の腕そのものだった。
「では・・・その翼は?」
「これは、元々この人形の能力であって私自身の能力ではありません。 さっきの残像もそうです。 ついでにさっきのかすり傷のものは自動的に治っていく能力もあります。」
と、言いながら翼が体の中に入っていき、さっき銃弾でかすり傷もみるみる治っていき、傷口が完全にふさがった。 そして、しばらくの沈黙が続きクレトアさんが口を開いた。
「では・・・質問を変える。 何故私を殺そうとした?」
彼がそう言ったら、彼女は鋭くクレトアさんを睨んだ。 その目は怒りや殺意を僕は感じている。
「本気でわからないの・・・?」
彼女は低い声で言い、腕をプルプルと震えていた。
「私が怒ったのは・・・隊長・・・いえ、アンタが私の親友でもあるシオン・フィーグ・アルファシアを裏切ったからよ!!」
「アンタ、分かっているの?! アンタは昔から愛は知らないのは知っていたけど、よりによってシオンと違う女性と結婚して・・・私がどれだけ怒るの分かっている!?」
彼女の怒りが僕の体全体にピリピリと伝わってくるのがわかる。 クレトアさんは彼女の顔を見ているが、何も言わなかった。
「シオンはアンタのことが好きだった。 私はシオンが幸せそうな顔が好きだった! 二人が笑っている姿が私は好きだった! 私はシオンとアンタとの結婚して欲しかった! 幸せになってほしかった! 心のそこから願っていた! それを・・・それを裏切って・・・彼女を悲しましてまで・・・アンタが他の女と結婚したのが私は許すわけにはいかない!」
彼女は再び、ナイフを両手に持って構えた。 しかし、クレトアさんは一歩も動かず持っている剣が白く光り、やがて消えた。 さすがに、これには彼女も驚きの表情だった。
「・・・シオン、話の続きなのだが・・・。」
クレトアさんは智東さんの方に振り向いたら、智東さんはビクッと肩がはねて、顔を下に向け震え始めた。
「私は愛というものに気づき、彼女と結婚した。 しかし・・・それと同時に。」
クレトアさんは言葉を切って、智東さんの方に歩き始めた。 そして、彼の口が開いた。
「私は中に君への罪悪感が生まれた・・・。」
その瞬間、彼女は「えっ?」と呟き、顔を上げると同時に、肩の震えが治まった。
「私は・・・愛に気づいた時、あの時・・・君が言った言葉をようやく理解ができた。 君が私のことを愛しているのを・・・理解した。 そして、私は君を傷つけてしまったことに気づき、私の中に罪悪感が生まれた・・・。 私は・・・君に会いたかった、直接会って謝りたかった。 ・・・だけど君達が何処の世界に行ったのか私は分からなかった。」
クレトアさんは自分の犯してしまった罪をいいながら歩き、そして彼は智東さんの前に立ち止まった。
「だが・・・私はようやく、君に会えた。」
「シオン・・・いや、シオン・フィーグ・アルファシア副隊長・・・君の愛を裏切ってしまって、心に深い傷を負ってしまって・・・本当に申し訳が無い・・・。カチア王国の元・第三隊特殊戦闘部隊「エグリス」の隊長として君に謝罪する。」
そう言いながら彼は、彼女の前で頭を下げた。 智東さんは顔を下に向いて、両手を胸に押し付けて何も言わなかった。 するとここで、雨が弱くなってきているのに気づいた。 今日の天気は九時以降は雨が激しく振るって言ってたのに。
「隊長・・・頭を下げないでください・・・。」
すると、彼女から今でも泣きそうな声で言い、そして涙の雫がポタポタと次々と零れていた。
「そんなこと・・・されても・・・グスッ・・・私は、嬉しくはありません・・・。 そんなことをやっても・・・グスッ・・・あなたが私のそばに・・・いるわけでも・・・ないの・・・だ、から・・・。」
「だけど・・・私の・・・こ、とに・・・気づいてもらった・・・だけ、で、も・・・私は、嬉しいから・・・ヒクッ・・・許して、あげる・・・から、だから・・・ヒクッ・・・頭を、下げないでくださいよ・・・バカァ・・・。」
彼女は子供みたいに言って、止まらない涙を拭いていった。 そして、クレトアさんが頭を上げて智東さんの側にいき、そっと抱きしめた。 すると、ここで雨がやみ、雲の隙間から太陽の光が出てきて、その光は二人がいるところにやさしく包み込んだ。
「・・・寂しい思いをさせて・・・本当にすまない・・・シオン・・・。」
気のせいだろうか。 今一瞬・・・本当に一瞬だったが、クレトアさんが涙を流したのが見えた。
「クオンも・・・寂しい思いをさせて・・・すまない。」
クレトアさんは顔を上げてクオンさんに言ったら、彼女はゆっくりと首を横に振り微笑んだ。 すると、レナウドさんがクレトアさんに近づいてきた。
「兄さん、そろそろ戻らないとカナさんも心配するし、レンドウさんも怒っていると思うよ?」
「そうだな。」
クレトアさんは智東さんとゆっくりと離れていき後ろに向いてたら、突如、空間に傷口が現れた。 レナウドさんはなんのためらうこともなく、その中に走って入っていった。 クレトアさんも歩き始めたのだが、傷口の前に急に立ち止り、ゆっくりと後ろに向いた。
「シオン・・・つらい思いをさせてしまって本当にすまない・・・。」
「それと・・・もうこれ以上、戦わないでくれ。 私は、君達に戦って欲しくないのだ。 君達は幸せになってほしい。 だから」
クレトアさんが言いかけると、彼女はゆっくりと首を横に振った。
「悪いですけど、それは聞けません。 私は私で・・・この世界が好きなのです。 この世界や助けてくれた人たちを守りたいのです。 あなたが世界のために戦っているのに、私達は幸せに暮らしている・・・私はそんなの嫌だ。 だから・・・たとえクレア・・・隊長命令でも・・・私は、戦います。」
智東さんは先まで泣いていた顔は跡形もなく、きっちりとした顔できっぱりといった。 すると、彼は苦笑いをしながら、少しため息をした。
「・・・そうか、わかった。 君がそういうのならば私はもう何も言わない。 ただ・・・縁起悪いけど・・・死なないでくれ。 私にとって、仲間が死ぬのは・・・耐えられないから。」
「私は・・・死にません。 絶対に。」
彼女は微笑んで強く言い切った。 そして彼は口を緩み笑った。
「それとシオン。」
彼は体を前を向き歩きながら。
「ありがとう・・・。 こんな私を・・・許してくれて。 本当に、ありがとう・・・。」
と、嬉しいようで悲しいような声で智東さんに言って、空間の傷口に入っていき,やがて傷口は完全にふさがった・・・。
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