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新者の雑記置き場

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2009/06/02
01:31
二重人格

―桜咲宅ー

玄関から物音がして、僕と森本は玄関の方へ行った。

「チッ、逃げられたか!」

先に見た森本が不機嫌な顔で舌打ちをして言った。 僕も後から見たら、靴箱の横に縄があって、玄関のドアが開いていた。そしたら、森本は急に外へ出て、周りを見回した。

「チッ、桜咲!」

森本は、また舌打ちをして僕を呼んだ。

「俺はこの辺りを探すから、お前は家に大人しくしておけ!」

僕に指を指しながら、空中に浮んだ。

「森本!」

僕は森本を呼びとめようとしたが、聞こうともせずそのまま行ってしまった。

「まったく・・・少し落ち着いて、ん?」

家に入ろうとしたら、庭のほうから声が聞こえた。なんだかとても脅えているこえだった。気になった僕は庭のほうをちらりと見た。

「あれは・・・あの子、なのか?」

ちょっと薄暗くて見えないけど、あの小さな体格は間違いなく十二族の幹部の子だ。僕が歩こうとしたら、彼女は気付いてこっちを見た。しかし、

「・・・ッ!!」

彼女は僕からいそいで離れて、庭の隅に行って頭を抱えてビクビク脅えてた。

(何だろう、何だか様子がおかしい?)

僕は彼女に近づき、声をかけようとしたら、

「来ないで・・・!」

と脅えてるせいか、小さな震えた声で言った。 僕はなぜ彼女が脅えているのが分からないが、とりあえず彼女を落ち着かせようと考えた。

「大丈夫。 僕は何もしないから、ね?」

僕は冷静に優しく言った。しかし、彼女の態度は変わらなかった。

「いや・・・いや・・・!」

彼女は脅え続け、ついには涙まで出てきた。しかし、それでも僕は冷静でだった。 自分でも不思議だと思っている。 彼女は十二族の幹部であって僕の敵でもあるのに。 それなのになぜか、心が落ち着いていた。

「涙が出ているよ。 はい、このハンカチでふいて。」

僕はポケットに入っていたハンカチを渡した。そしたら、彼女は涙を流しながらこっちを見た。

「・・・。」

彼女はしばらく、僕のことをじぃーっと見詰めた。

「・・・いいの?」 と聞いてきた。

僕はにっこりとうなずいた。そしたら彼女は、ハンカチをとって涙をふいて、ハンカチを返した。

「もう、いい?」

そう言ったら、黙ってうなずいた。しばらくしたら、

グゥ~・・・。

「・・・。」

突然、彼女のお腹がなった。よっぽど恥ずかしかったせいか、彼女の顔が耳元まで真っ赤になった。僕はあまりにもおかしかったら、つい笑ってしまった。

「お腹減っているの?」

僕はくすくすと笑いながら言ったら、彼女は黙ってうなずいた。


その後、僕は彼女を家に入れ、リビングのソファーに座らせて戸棚から、僕のお気に入りのパン、メロンクリームパンを取り出しもっていき、彼女に渡した。

「はいこれ。口合うかは分からないけど・・・。」

「・・・。」

彼女は僕をじーーと見ていた。いかにも「食べてもいいの?」という目をしていたから、僕は「いいよ。」とうなずいた。

そしたら、彼女は袋をゆっくりと開け、パンを取り出して、

「・・・いただきます。」と小さな声で言った。

「どうぞ。」 と僕は言った。

そしたら、彼女はパンを、ハムスターみたいに少しずつかじっていた。

とりあえずその間僕は、彼女の事を聞き始めようとした。どうも、今の彼女の態度も気になる。しかし、なんて言えばいいのか分からなかった。

「あのさ・・・、」

僕は無意識で喋ってしまった。そしたら、彼女は食べるのをやめこっちを見た。

(う~ん・・・何て言えばいいんだろう・・・?)

正直な所、彼女の態度の事をどう言えばいいのか分からなかった。しばらくしたら、彼女は首を傾げた。
で、最終的にふっと浮んだ言葉は、

「君って・・・二重人格・・・ってある?」の言葉だ。

何言っているのだろう、僕? と思った。確かに彼女の態度も変だし、二重人格の可能性もある。でも、もし違っていたらかなり恥ずかしい。 もしかしたら、変な目で見られるかもしれない。 そして彼女の返事は・・・

「・・・うん。」とこっくりと頷いた。

一瞬、えっ?っと半分驚いた。 適当に浮んだことが本当だった。さすがにちょっとびっくりした。

「ええっと・・・その、詳しく聞かせてくれないかな?」と説明を要求した。

彼女はこくんと頷いた。

「・・・私、ある事情で、二重人格になってしまったの。私が表の私・・・。戦っている時が裏の私・・・。」

「そうなんだ・・・。何で自分は戦わないの?」

と言った途端、彼女の肩が震えているのが見えた。

「・・・私、血が怖いの。そして何よりも怖いのは・・・男の人・・・。」

「え?それって・・・さっきのある事情と関係あるの?」

そういったら、黙って頷いた。

「・・・私、野乃木さん以外の男の人が怖いの・・・。触れるだけでも・・・怖いの・・・見るだけでも・・・怖いの・・・。
だから私・・・このゴーグルをかけているの・・・。」

そういった彼女は、おでこにかけてあるゴーグルを指差した。

「このゴーグルは・・・男の人だけがモザイクで見える、特殊な物・・・。」

「そうなんだ・・・。」

僕は分かった。なぜ彼女がそこまで脅えていたか。つまり、表の彼女は重度の男子恐怖症だから、あそこまで
脅えていたのだ。

「・・・ふしぎ。」

「え?」 急に彼女がポツリと言って、反応した。

「なぜか、分からないけど・・・あなたと私、敵同士なのに・・・なんで、優しくするの?」

「う~ん・・・僕に聞かれてもな・・・。」 僕は腕を組んで、考えていたら、

ピンポーン・・・。

「!」

突然、玄関からチャイムがなったら、僕はすぐに反応した。

「父さん達帰ってきたのかな?」

僕が立ち上がろうとしたら、彼女が僕の袖をつかんだ。

「・・・。」 彼女は脅えた顔で顔を横に振った。

「そうか・・・。 う~ん・・・とりあえず、お風呂の方に隠れて。 リビングをでたら、右のドアのほうにいって。そこだから。」

そう言ったら、彼女はパンを持ってリビングを出て、風呂場のほうに行った。

「よし。」

僕はほっと一息をしたら、すぐに玄関に行った。

そして玄関のドアを開けたら、服がボロボロの姿をした父さん達がいた。しかし、父さんの様子が変だった。 僕に何も言わずに無言のまま二階に行った。

「何があったの、三太郎さん?」 僕は三多朗さんに聞いてみた。

「実は・・・。」 三多朗さんが喋ろうとしたら、

「それは私のほうから説明します。」

急に三多朗さんの後ろから、聞き覚えの無い声がした。僕は後ろの方を見たらいたのは、全身真っ白の服を着た人がいて、僕の同じ顔をした人物がいた・・・。
 

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