2025/04/19 05:28 |
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2009/06/18 00:02 |
協力 |
―桜咲宅―
「協力?」
「ええ、闇の死者はかなり手強い。やつらは仲間や同胞、それぞれの世界の住人達が殺されていってしまいました。だから我々光の裁判官は一人でも多く、協力者が必要なのです。無理には言いませんが、私の方はどうか協力してほしいのですが・・・。」
「どうするの、龍?」 京香さんが訊いてきた。
「うむ・・・そちらも大変なのも分かるが・・・。」
父さんは少し首を曲げて考えた。
「少し考えたいから一日と半日、待っていただきのだが、いいだろうか?」
「かまいません。協力していただくのなら我々は大歓迎です。」
クレトアさんは少し喜んだ顔をした。
「ちょっといいか?」 急に三多朗さんが声をあげた。
「なんですか?」
「光の裁判官の協力者ってどのくらいいるのだ?」
と言った。 それは僕も気になっていた。
「たしか、今日の報告の三人を含めて・・・1525人ですね。」
「えっ!」 僕はあまりにも驚いて声をあげた。まさか
そんなにいるとは思わなかった。僕の中じゃ、500~600人ぐらいかと
思っていた。
「まさかそんなにいるなんて・・・世界って広いのですね。」
「ええ、世界はあなたが思っていた以上に広いのです。」
僕は初めて実感した。世界が、こんなに広いと実感が・・・
ドクン・・・。
(! なんだ、今の?)
突然、僕の体から違和感というか何かが起こった。
(何だっただろう、今の? いきなり、何かが僕の体に?)
「ん? どうしたの、瞬? 顔色が悪いけど。」
僕に気づいた三多朗さんが訊いてきた。
「い、いえ。 大丈夫です。」
「瞬、お前は早く寝ていろ。 って言ってももう朝か。」
父さんは時計を見ながら言った。 今はもう、5時56分。もう太陽も出ていた。
「それでは私はこの辺で。また、一日後のお昼ごろにそちらに向いますので。」
と言って立って玄関のほうに向おうとした瞬間、
ズズズ・・・
「なっ!」
突然、クレトアさんの前に空間の傷口が現れ、その中に入っていき、空間の傷口は跡形も無く消えた。
僕達は驚愕していて誰も喋らなかった。数分したら、みんなは力が抜けたかように座った。
「な、なあ龍。 今、あの男がやったのは・・・空間切断じゃ、ないか?」
「ああ・・・そうだな。」
「そうだな、ってありえないでしょ!? 空間転移ならともかく、空間切断なんて・・・。」
父さんは冷静に答えたに対し、京香さんは驚きが隠せないように叫んだ。
「とにかく、今は休んだほうがいいだろう。俺達、ちっとも休んでないからな。佐波も休んで冷静になれ。」
父さんはふとため息ついて言った。
「・・・帰るわ。」
京香さんはいらだった顔をして玄関に向かった。
「ちょ、ちょっと待ってよ。 それじゃ龍、また明日。」
三多朗さんは京香さんに続いて帰っていった。
「じゃあ、俺は少し寝るから。」
そう言って父さんは、ソファーに寝転んだ。
「じゃあ僕は・・・あ。」
「ん? どうした?」
「う、ううん、なんでもない。」
実際の所僕はとんでもない事を忘れていた。 話に夢中だったせいで、十二族のあの子の事をすっかり忘れていた。 僕は、父さんにばれない様に風呂場に行った・・・。
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