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新者の雑記置き場

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2009/11/22
17:34
愛はやがて散ってゆく物

―陸南学園 運動場―

クレトアさんが帰った時、さっきまでの灰色の空はやがて、隙間から太陽の光が出てきて雨は止んだ。

「シオン・・・本当によかったの?」

すると、ナルという女性が智東さんに声をかけた。

「あなたは・・・幼い頃からクレトア隊長の事が好きじゃあないのか? 本当に彼の事」

彼女が言いかけると、智東さんは微笑みながら首を横に振った。

「もういいのよ、ナル。 あの人は、私に謝って・・・愛に気づいて・・・あの人が愛してる人と一緒にいて幸せだと思っているから。 そこで、私が彼の邪魔をしたら・・・クレアにも悪いし、なんか相手にも悪いから・・・ね。 私は・・・彼の事はもう諦めるわ。」

彼女は、空を見上げながらそういったら、女性はため息をした。

「・・・そう。 見ないうちに変わったのね、シオン。」

「ナルは・・・一緒にいられないよね?」

智東さんはそういうと、女性は智東さんから視線を逸らした。

「あなたにも、やる事があるのでしょ? だったら、私は無理に止めないわ。」

「ふふ・・・。 やっぱり、その優しさだけは変わってないね。」

彼女は微笑んだら、背中から黒い翼が生えて空を飛んだ。

「また会いましょう、シオン、クオン・・・。」

彼女はフッと笑ったら、どこかへ飛んでいった。 智東さんは彼女を見ていて、見えなくなるまでずっと見ていた。 そして、彼女が見えなくなったらふうっと息を吐いた。

「さて、この状況を知ってしまったら・・・話すしかないわよね、桜咲くん?」

「話して上げるわ。 私達の事・・・すべて・・・。」

と、智東さんは真剣な顔をして言った。 でも・・・

「あのー・・・ちょっといい?」

僕はふぬけた笑いをしながら、右手を上げた。

「何?」

「その話は・・・放課後にしてくれない? 今は学校だし、関係はないけど服ずぶ濡れだし・・・。 へクチュン!」

そう、まだ授業をしてないし、それどころか時間ばかり過ぎていた。 エミがやったのは睡眠魔法だから、当然時間が止まっているわけでもなく今の時刻は10時20分。 もうだいぶ過ぎていた。 これ以上長引いてしまったら、起きたみんながびっくりするし。

おまけに、さっきからずっと雨の中にいたから当然のように服もズボンもずぶ濡れ。 

「それもそうね。 このままだと面倒だし、その格好じゃあ風引いちゃうしね。」

「それじゃあ、放課後。 喫茶店の「茶屋」に来てくれる?」

彼女が言った喫茶店「茶屋」というのは、商店街にあるちいさな和風製の喫茶店で、老若男女ともにそこそこの人気がある所だ。 僕も友達と何度も行ったことがある。

「はい、わかりました。」

「それで、服の方はどうするの? そのままでいくの?」

「うーん・・・たしか、保健室に借り用のカッターとかズボンとかあるからたぶん大丈夫だと思う。」

「じゃあ、それどうするの?」

そう彼女は、指を指したのはずぶ濡れになった僕の服。 たしかに、このまま放っておくわけにはいかない。

「水分を絞りとって、こっそり鞄の中に入れとくよ。」

「そう。 じゃあ、また。」

智東さんは後ろに振り返り歩き出した。 すると、クオンさんがぺこりと無言で首を縦に振り、智東さんの後をついて行った。

「はあああ・・・。」

―どうしたのですか?―

「いや・・・ちょっと色々とありすぎて疲れちゃったかな・・・へクチュン!」

とりあえず、僕は玄関前でカッターシャツやズボンを絞って完全に水が出なくなったら、下駄箱の所で上履きに履き替えて保健室に向かった。


―保健室―

僕はくしゃみをしながら、保健室の前まで来て扉の前でノックをして入って行った。 

「失礼しまーす・・・て、多木先生いないのかな?」

保健室に入ったら、誰も居なかった。 まあ、誰も居ないほうが安心なんだけど・・・。 僕は扉を閉めてカッターシャツがある所まで歩き、引き出しを開けた。 

「えーっと、たしか・・・カッターシャツがここでズボンがここだったかな・・・あったあった。」

僕はカッターシャツとズボンを取り出して、寝室の方に歩いた。 

「とりあえず確認・・・うん、だれもいないな。 エミはそこにいて。」

―わかりました。―

エミは頷いたら、僕はカーテンを閉めてカッターのボタンをはずしていく。 カッターシャツは見事にビチャビチャに濡れていた。

「うわー・・・シャツまでびちゃびちゃだ・・・どうしよう・・・これ。」

そうため息をしたら、急に扉の開く音がした。 

「たっく・・・不覚だったわ・・・。」

(この声は・・・多木先生? どういうことだ・・・? みんな眠ったはずじゃあないのか?)

「どこかの誰か知らないが強力の睡眠魔法にかかってしまって本当に不覚だったわ・・・ま、このコイツのおかげなんとか助かったけど・・・まったく・・・職員室で急に眠気に襲われて缶コーヒーがこぼれちゃって、白衣が汚れちゃった・・・。ふあ~あ・・・。」

先生はあくびをしたら、ぱさっと音がしてかちゃっと何かを開いた音がした。 たぶんだけど、白衣とか取替えとかしているようだ。 

「さてっと、たしか、冷蔵庫に楽しみに取ってあった最後の缶コーヒーがあるからって、あれっ? おかしいな・・・最後の一本は・・・。」

先生はうーんと声をあげながら考えはしてたら。

「そういえば、昨日鉄の奴が来て・・・思い出した! アイツ、勝手にあたしの最後のコーヒーを取っていったんだ!」

と、大きな声で言った。 すると、ダンッ!っと思いっきり足を地面を踏むかのような音がして、肩が跳ねた。

「あ~・・・何で忘れていたのだろうか・・・というか、思い出したら、急にアイツをぶん殴りたくなってきた・・・!」

なにやら、怨念をこめて恐ろしい事を言っている先生。 先生が生徒を殴っちゃいけないですよ先生。 そういえば・・・さっき先生は鉄って言ってたけど森本の事かな? でも、森本と多木先生の仲なんて聞いたことなんてないし、森本も保健室に行くなんて見たことも無い。 そんなこと思っていたら先生のため息が聞こえた。

「しかたない・・・町に行って缶コーヒーを買いに行こう。 今度会ったら、絶対にぶん殴ってやる・・・私の恨みの恐ろしさを思い知らせてやる・・・フフフフ・・・フフフフ・・・!」

多木先生は不気味で恨みをこめた笑い声をして、パキパキとなんとも不吉な音を立てながら保健室から出て行き、足音が遠くなって行った。 僕はというと、先生のあまりにも恐ろしかったので、顔が真っ青になっていてその場から動けなかった。 すると、エミが話しかけてきた。

―中々、恐ろしい人ですね。 顔がおぞましいことになっていました。 彼女は人間なのですか?―

「・・・そんな事を言ったら、怒ると思うから言わない方がいいよ・・・。」

僕は重たいため息をして、急いで着替えを済ませて寝室のカーテンを開いて保健室から出て、教室に戻った・・・。

 

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