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2009/04/15 00:26 |
正体と力 |
―裏道―
「おーい、知佳!そっちにいたか?」
「真道か。いや、こっちにはいなかったわ。そっちは?」
「こっちもだ。まったく、何処に行ったんだ?あの二人は・・・。」
「洞豪は・・・まあ、置いておいて、あの子一体何処に行ったのかしら? あの子が一人でどこかに行くなんて・・・。」
真木野は困った顔をして言った。
「とにかく、もう一回探そう。知佳はあっち、俺はこっちに行く。」
「わかったわ。」
そう言って、二人は別れた。
(美奈・・・一体何処にいるの?早くお姉ちゃんの所に戻って来て・・・!)
―裏道の倉庫―
僕は桐野とポーカーの勝負を終え、元の世界に戻ったが、もう夕方だった。僕はいそいで二人の元へ戻っていった。
「涼、洋。いるか?」
「「すうー。」」
ドアを開けたら、二人ともすやすやと寝ていた。
「寝ているのか・・・。ラーシュ、ずっと見ていてくれたのか?」
ラーシュは、うなずいた。
「そうか、ありがとう。」 そう言いながら僕はラーシュの頭をなでた。
「いたいた。こんな所にいたのか、桜咲。」
「森本・・・!おまえ、大丈夫だったのか!?」 僕は驚きながら言った。
「ああ、なんとかな。」 それに対し森本は笑顔で答えた。
「それよりお前・・・なんで、あの時の子を連れてきてるの?」
森本の背中には昨晩会った、十二族の幹部の子が寝ていた。
「まあ、俺は殺すのは嫌いなモンでね。気絶させた。 それに、あのまま放置するわけにもいかないしな。よいしょっと。」
森本はゆっくりと歩きながら、その子をおろした。
「・・・なあ、森本。一つ聞いてもいいか?」
「何だ?」
「君は、一体何者なんだ? この子はかなり強かったはずだぞ?僕でも勝てなかった相手だよ?」
「・・・。」 森本は黙った。
「答えてくれ、森本。 君は一体・・・何者なんだ?」僕はもう一度訪ねた。
「・・・すぐ、わかるだろう俺の正体に・・・。それにお前は、「勝てなかった」ではないのだ、桜咲。」
森本はこっちに振り向いた。
「勝てなかったではない? どういう事なの?」
「おまえ自身は、まだ気づいていないだろな。お前は「勝てなかった」ではなく、「力をすべて出していない」だ。」
「すべての・・・力?」
「ふう、やっぱり気づいていないみたいだな。」 森本はため息をして言った。
「まあ・・・いい。この話は・・・また今度だ。」
「どうして? 気になるじゃあないか。」
「悪いな・・・そろそろ・・・寝かして・・・くれ・・・よ。」 バタッ!
「えっ!? ちょ、ちょっと、森本、大丈夫!? 森本!?」
森本は急に倒れてしまった。僕は慌てて森本のそばに行ったら、
「・・・くは~・・・。」
「・・・え?」
「くは~・・・。すう~・・・。」
「・・・な、何だ。眠っただけか。まったく、驚かして。」
寝てしまった森本にほっとした僕はゆっくりと立ち上がった。
(さて、僕はこの子の様子でも見るか。攻撃してきたら、厄介だからな・・・。)
僕は幹部の子のほうを見て、入り口付近の近くに行って座り込んだ。
(そういえば・・・外ははもう真っ暗だな。父さんたち・・・大丈夫かな?それに・・・森本の言った言葉が一番気になる・・・「力をすべて出していない」・・・どういうことなんだろう? 僕は今まで全力で戦ったはずだが・・・。まあ、今は考えても何も意味はないや・・・森本が起きたら話を聞こう・・・。)
そう思った僕は、壁にもたれかけてそのまま眠った・・・。
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