2024/11/23 22:53 |
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2010/02/01 02:27 |
滅び去った国の生き残りの戦士達(最終編・前) |
―グレド山―
翌日の昼。 空は黒い雲によっていかにも雨が降ってきそうだが、今は降ってはいなかった。 そんな森の中に囲まれる中、四人の人間がこの険しすぎて誰も登らない山、グレド山に登っていた。
「あの・・・クレア、何で誰も登らないグレド山を登らないと駄目なの? さっきから黙りっぱなしなんだけど・・・。」
シオンは言った。 出発してからクレトアは何も言わず、ただ黙々と山を登っていた。 そして、ここでやっと彼の口が開いた。
「・・・何かが呼んでいた。」
そう言って言葉を切って喋りだした。
「あの時、キリアが退いて数分したら何かが私を呼んでいるのだ。 この山・・・グレド山に、とてつもなく強い闇を感じるって。 私に言ったのだ。」
そう言って、クレトアはまた黙った。 シオンはナルシファとクオンの方に顔を向けたが二人は首を傾げるだけだった。 しばらくするとクレトアが先に森から抜けたら急に立ち止まった。
「どうしたの、クレア?」
シオン達も続いて森を抜けたら、少し先に古い城があった。 古いというか不気味な城でいかにも何かがいるという雰囲気の城だった。
「あの城・・・なのかな? でも、こんな所に城なんかあったのかな、クレア?」
「いや、私も知らない。 私もここに来るのは初めてだし、この山の記録を見たことがあったがこの城の情報は一切書かれてはいなかった。」
クレトアが言って四人は再び歩き始めた。
「きゃ!」
と、同時にシオンが穴が開いた土に躓いてこけようとしたら、クレトアが彼女の腕を掴み、優しく引っ張った。
「シオン、大丈夫か?」
「あ、だ・・・大丈夫。」
シオンは頬を染めながら静かに言った。 クレトアはにこりと笑い言った。
「そうか、よかった。」
すると、シオンの顔がさらに赤くなって顔を俯かせた。 クオンとナルシファはニコニコ笑っていた。
―廃墟の城―
「・・・しかし、仲も見る限りボロボロね。 文字通り、廃墟の城ね。」
そう言ったのはナルシファである。 外見も古かったが、中は少しにおっていて壁や床からはカビやコケが生えていた。
簡単に城の中に入ったクレトア達は長い、どこまでも続くかのような螺旋の階段を上っていが、かれこれ五分も立ったが中々つかなかった。 下からは風が吹いている音が聞こえていて、見たら地面から遠くなっていた。 だけど、クレトア達はあまり気にする事も無く上っていた
「そうですね・・・建てられてからずいぶんたちますよ。」
クオンが壁を触りながら言った。
「クオン、あまり触らない方がいいよ? 罠とか仕掛けてあったらどうするの?」
シオンが注意すると、クオンは「ごめん・・・。」と言って壁から手を離した。 すると、クレトアが急に立ち止まって首を後ろに向けた。
「みんな、少しは黙っていてくれないか? ここはすでに敵の本拠地。 何が出るかは分からないぞ?」
そう言ったらみんなは黙り込み、クレトアは再び歩き始めた。 そして数十分後、螺旋の階段を上りきったら奥に大きな扉があった。 クレトア達はその前に立ち、手すりに握ろうとした。
「・・・。」
すると、急にクレトアの手が止まった。
「どうしたの?」
クオンが言うと、クレトアは静かな声で言った。
「武器は握っておけ。 この先に奴・・・キリアがいる。」
クレトアはそう言ったら、三人は同時に息を呑んだら、三人は武器を持った。 そして、クレトアはゆっくりドアの引き中に入った。 中は教会と同じぐらいの広さで奥には約三メートル程の十字架があった。
「・・・。」
四人はその奥の方を睨んでいた。 彼らの視線の先には、二人の人間がいて、一人が十字架の右側に座っていた。 一人は女性で一人は黒いフードをかぶった男・・・キリアがいた。
「・・・よくぞ来た。 我を倒しに着たか・・・愚かな奴らだな。 大人しく、闇に呑まれればよかったものを・・・。」
キリアの声が響く。 しかし、四人は気にはしていなかった。 クレトアは刃をキリアに向けた。
「黙れ。 そのようなことをしてしまったら、貴様に殺されていった仲間たちに申し訳が無い。 みなの仇は・・・ここで必ず取る!」
クレトアの声がキリアよりも響いた。 すると、キリアはにやりと笑った。
「・・・ふ、相手をしてやれ・・・カルファよ。 ただし、殺してはならんぞ。」
「はい。」
カルファは頷いたら瞬間、彼女は地面を蹴ったらいつの間にかクレトアの前にいた。 クレトアは剣で防ごうとしたが一足先にカルファが足を上げようとしたら、横からナルシファが入り両手に持っていたサバイバルナイフでクレトアを守った。
「邪魔ですよ、あなた。」
「邪魔で結構。 クレトア隊長には、アイツを倒すことを専念してもらわないといけないから、ね!」
ナルシファは力いっぱい押し返したら、カルファは後ろ回転して体勢を直した。
「クレトア隊長、奴を早く倒してください。」
「しかし・・・。」
「私なら大丈夫です。 カチア王国第三特殊隊戦闘部隊「エグリス」の隊員としてこの女から死守します。 だから、シオン達と。」
「・・・わかった。」
クレトアは頷いてシオンたちの方に視線を向けたら、シオンたちは少し迷ったが首を縦に振ったら三人は走り出した。
「行かしません。」
カルファが地面を蹴ろうとしたら、一足先にナルシファが目の前に立ち、右手の持っているサバイバルナイフを突き出したが、カルファは首だけでかわしたが、かすったのかカルファの頬から血が滲んで出てきた。 そして、ナルシファは口を歪めて一言いった。
「余所見は禁物よ。」
ナルシファがカルファを止めている間、クレトアたちはキリアのところに走った。 広いが、距離はそんなにはなかったから、すぐに付いた。
「・・・ふん。」
すると、キリアは指を鳴らしたら、彼らの後ろから魔法陣が左右に現れて、そこから大きな触手が出てきてシオンとクオンが捕まった。
「「きゃあ!」」
「シオン! クオン!」
「・・・安心しろ。 我の元の狙いは「天使の殺人鬼」だったからな。 あとのもう一人は後でゆっくりと殺す。」
キリアがそう言ったら、十字架の上から降りて彼の手元から小さい黒い魔法陣が現れて、棒がでてきてそれを掴み引き抜いた。 取り出されたのは、二メートル弱の棍棒だった。
「・・・我も本気で行かせて貰うぞ。」
キリアは棍棒の先を向けたら、クレトアも同じように刃を向けた。
「負けはしないぞ・・・私は、貴様の闇には決して負けない!!」
クレトアは地面を蹴り、キリアに突っ込んだ。
「ふん!」
キリアはクレトアが剣を振る前に棍棒を振ったが、クレトアは剣で防ぎ、すばやくしゃがみキリアの足を狙ったがキリアは軽くジャンプしてかわし、棍棒を振り下ろしたがクレトアは横に転び、キリアに飛び掛った。
「はあっ!」
クレトアは、剣を握り締めて剣を横に振ったが、キリアは棍棒で受け止めた瞬間クレトアから離れてすぐに前に出て、棍棒を振り上げてクレトアのあごが棍棒の先に当たった。
「ぐっ!?」
クレトアが上を向いた間、キリアはあいている手を拳にし、黒いオーラが出てきた。
「ふんっ!」
キリアの拳がクレトアの腹に直撃し、壁まで飛ばされて衝突しクレーターができた。
「ぐっ・・・がぁ!」
クレトアの口から唾と共に血が飛び出てその場で倒れてしまった。 意識があるが相当ダメージを受けてその場で倒れてしまった。
「・・・いつまでそうしているつもりだ、腹を殴られただけでもう立てないのか?」
キリアはあざ笑うかのように笑ったら、棍棒を槍のように持ち替えて地面を蹴ってクレトアに突っ込んだ。
「くっうう・・・!」
クレトアは無理にして体を動かして、左に飛んで何とかかわした。 棍棒が刺さった壁にはヒビが入っていた。
「・・・まだ動けるではないか。」
「まだ・・・まだっ!」
クレトアは剣を握り締め、フラフラしながら立ち上がって剣を振ろうとしたが、キリアがいつの間にかいなくなっていた。 クレトアが気づいた瞬間、彼の背後から強い衝撃と痛みが襲った。
「ぐっ!」
クレトアは倒れるのを堪えて、体を後ろに向けたらいつの間にかキリアがいた。
「・・・弱いな・・・この前の勢いは何処に消えた?」
キリアは低い声で言って再び消えた瞬間、クレトアの腹から痛みが襲った。
「がっ!」
かなりの痛覚だったから、口から血が吐き出てきた。 しかし、これで終わってはなかった。 キリアは棍棒で体の様々なところを打ち込んだ。 次第に鎧がヒビが入ったり、破片が飛んだり、顔にあざができた。
「がはっ・・・! ハァハァ・・・。」
散々棍棒に痛みつけられたクレトアはその場で倒れそうだった瞬間、キリアが目の前に現れて、首を掴みあげて十字架に向かって投げた。 クレトアは十字架の真ん中に衝突してそのまま落下し倒れてしまった。 すると、突然クレトアの前にキリアが現れた。
「・・・つまらないな・・・。 ここまで弱かったとは・・・いや、その鎧が脆いのか・・・。」
「ハァ・・・ハァ・・・。 だま、れ・・・。」
クレトアは息を荒く吐き、フラフラと立ち上がった。
「これは・・・死んでいった仲のよかった友が・・・私のために一生懸命作った鎧だ・・・それを馬鹿にするな・・・!」
「・・・ふん。 一生懸命作った鎧・・・か。」
キリアは軽く鼻で笑ったら、棍棒の先をクレトアの鎧に軽く当てた次の瞬間。 鎧が一瞬にしてバラバラに砕けていった。
「!」
「・・・所詮、ただの鎧に変わりようは無い。 どんなに思いを込め、どんなに強く作ったとしても・・・ただの防具にしか過ぎん。 もっとも・・・我とってはただのゴミだ。」
キリアは馬鹿にするかのように言って、クレトアは歯を食いしばった。 彼の中に激しい憤怒と深い悲しみが込みあがった。 今すぐこの男を殺したい。 そう彼の中では一杯だったが、体中棍棒で叩き込まれたからうまく動けなかった。
「・・・一度眠れ。 その時のお前はすでに光を失い、我らと同類になるのだからな。」
そう言って棍棒を振り上げて、思いっきり振り下ろした瞬間だった。
ドクン・・・ギギギギギ・・・
彼の耳にどこからか鼓動と無数の歯車の軋む音が聞こえた瞬間、急に刃が光り始めた時だった。 突如空間から黒い大きな何かが出てきてクレトアを守った。
「なっ!」
キリアは驚いたのか、慌てて後ろに飛び下がった。
「こ、これは・・・手?」
クレトアを守ったのは、大きさ一メートル半ぐらいの白い手だった。 それも、人間の手ではなく、ロボットの手であった。
「・・・この巨大の手は・・・ま、まさか・・・奴らの・・・そんな馬鹿な事が!!」
キリアはロボットの手を見た瞬間、初めて動揺した声が出した。
「この世界には完全に封鎖されて、奴らには見つからないようにしたはずだ! それなのに何故!?」
そういった瞬間、キリアはクレトアの剣を見たら、はっと何かに気づいた。
「そうか・・・その剣か! その剣の力で・・・奴らのアレを呼んで、封鎖していた空間を切断したのか!!」
「アレ・・・?」
クレトアは呟いたがキリアは聞いてはいなかった。
「よくも・・・よくも我らの計画を潰してくれたな! 奴らに知れられたら計画は台無しだ!」
キリアは怒声をあげた。 それも、今まで聞いたこともない声をあげた。
「貴様を生かした我は愚かだった・・・! 貴様だけは・・・貴様だけは絶対に生かしてはおけん! 我のこの棍棒で、痛み殺してやる! 覚悟しろ!」
そう言ったらずっとかぶっていたフードを手で乱暴に取った。 キリアの姿は以外にもまだ若かった。 外見では十三~十五歳まで見えてる。 シオンとクオンは以外そうな顔をしていたがクレトアだけが驚愕の顔をしていた。
「お、お前は・・・!」
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