2025/04/05 01:37 |
[PR] |
2010/02/15 02:27 |
滅び去った国の生き残りの戦士達(最終編・後) |
―廃墟の城―
「む? 貴様、コイツの関係者か?」
「・・・いいえ、その人は知り合いの友達です。 顔はなんとなく覚えていてね・・・。」
クレトアはさっきまでの驚いていた表情をしていたのに急に不気味なほどの冷静になった。
「私からも問おう。 ・・・貴様は誰だ? その人は昔にすでに病で死んでいたはずだ。 生きていてはおかしいぞ?」
「・・・それを我が言うと思うか?」
キリアが口を歪めながら言ったら、クレトアは首をゆっくりと振った。
「いいえ・・・まったく思ってはいませんよ。 だけど、私が思っていることはただ一つ・・・貴様を殺す事だ・・・。 それ以外に・・・ない。」
そう目を鋭くし睨んだが、キリアは鼻で笑った。
「フン・・・我は貴様ごときに死ぬ奴ではない。 もっとも・・・その体では、満足にも動けまい?」
「っ・・・。」
クレトアは悔しそうに短く舌打ちをした。 彼の体は激痛ほどではないが、かなり体中が痛んで所々血が出ていた。 今動いても、キリアに勝つ可能性はほぼ無いのがわかっていた。
「さっさと貴様を殺し、「天使の殺人鬼」を連れてここを離れねばならぬ。 奴らが来ると厄介だからな・・・。」
そういった瞬間、キリアは地面を蹴ってクレトアに突っ込んできて、持っていた棍棒を振り下ろした。 しかし、棍棒は当たらなかった。 空間から出てきた謎の白い巨大の手がクレトアを守ったからだ。
「ちっ、邪魔な手め! だが、このままも好機か・・・あの人形を壊してしまえば・・・こちらもかなりの有利だろう・・・。」
キリアは止まることも無く、巨大な手を棍棒で本気で叩きはじめた。
(くそ・・・このままではこの一切不明の手も壊れてしまう・・・。 体が・・・、体の傷が治れば・・・何とかなるかもしれないのに・・・かといって、クオンに回復魔法を頼めば彼女が狙われて殺されてしまうかもしれない・・・どうすればいいのだ!)
そう考えていた瞬間。
「はあ!」
「ぐあ!?」
キリアの背中が誰かに切られた。 キリアはすぐに後ろを向いた。
「シオン!!」
「ば・・・馬鹿な・・・ちゃんと触手で縛り上げたはずだぞ!?」
「余所見をしていたアンタが悪いのよ。」
そう言ったのはさっき。カルファと戦っていたナルシファだった。
「ナル!!」
「貴様・・・カルファが相手をしていたはずだ!?」
「あの女なら倒したわよ。 結構、苦戦したけど何とか勝てたわ。」
そう、彼女は後ろに指を指した。 カルファの胸にはナイフが刺さっているのがみえた。
「隊長、回復してあげます。」
クオンが呪文を唱えたら、クレトアの周りから翡翠色の光が現れ体中の傷が治っていった。
「ありがとうクオン、助かったよ。」
そう言って、クレトアは立ち上がり、シオン達の所に行った。
「さて・・・これで形勢逆転だ。 お前の負けは決まった。」
そう言い、刃を向けた。 だが、キリアは無言で立ち上がった。
「・・・どうやら・・・我の真の恐ろしさを教えてやらねばならんか・・・。」
キリアは声を低くして言い、上空に浮んで、何かを喋りだした。 クレトアたちは何を言っているのかはわからない顔をしているが警戒はしていた。 すると、キリアの棍棒が溶け始めた。
「何・・・棍棒が、溶けていっている・・・?」
クオンが少し、震えた声で言った。 やがて、棍棒は完全に溶け、白銀色の液体になった。 それでも、四人の警戒している。
「まずは・・・貴様からだ。」
キリアが手を前にはらった瞬間だった。
「え・・・?」
声を出したのはナルシファだった。 三人はナルシファのほうを見たら、いつの間にか白銀色をしたナイフが彼女の腹に刺さっていた。
「ぐ・・・はあ・・・。」
ナルシファは口から血を吐き、そのまま後ろに倒れた。
「「ナル!」」
クレトアとシオンが同時に言ったら、ナルシファの腹に刺さってあったナイフが急に液体化して、彼女の体内に吸いこまれるの様に入っていた。 すぐにクオンがナルシファに回復魔法をしようとしたが、何も変化もなく、ナルシファはうんともすんとも言わなかった。 すると、キリアが口を開いた。
「無駄だ。 いくら、強力の回復魔法を使っても、たとえ命を救ったとしても中枢神経、内分泌器がやられてしまえばただの屍・・・同然だ。」
「中枢神経・・・水銀か!!」
クレトアが叫んでいったら、キリアは正解だと言わんばかりの顔をして口を歪めて笑っていた。
「ナル・・・しっかりしてよ・・・ナル・・・!」
シオンは泣きそうな顔でナルシファを抱えて言ったが、彼女は返事もしなかったし、目も開けなかったし・・・すでに息もしていなかった。 シオンはそれが分かった瞬間、涙があふれ出てきた。 彼女にとってナルシファは数少ない大親友だった。 その親友が目の前で死んでしまったら、涙がでないわけがない。
「いくら返事しても無駄だ。 大量の水銀がその女の体内を蝕んでいる。 命は死なないが、脳の中枢神経をあっという間に破壊できるほどのだ。 どちらにしろその女の命は・・・もうない。」
「き・・・貴様・・・。」
シオンは睨んだ。 涙があふれ出ていて、前はあまり見えないし、涙も流している。 それでも、シオンはキリアを睨んだ。 そんな顔を見たら、鼻で笑った。
「仲間が死んで悲しいか? 我を殺したいほど憎いか? だが、そんな感情をもっても我を殺せない、無価値。 何も役にも立たない。 その手で我を殺してみよ。 無駄だろうがな。」
確かに、この前の戦いでシオンとキリアの力の差はありすぎるぐらいわかっていた。 シオンは悔しさのあまり歯を食いしばった。 自分にもっと守る力があれば・・・そう強く思った。
「いや、無価値ではない。」
そういったのはクレトアだった。 シオン達がクレトアの方に向いたら、彼の雰囲気が変わった事に気づいた。 さっき、いつもと変わらない落ち着いて声で言っていたが、なぜか激しい憤怒が彼から出ていた。
「シオン・・・私もたぶん君と同じ感情を抱いているだろう・・・。」
クレトアは一旦言葉を切って、剣を持っていた手を握り締めて。
「だけど・・・安心して・・・すぐに終わりそうな予感が・・・いや、終わるよ。 何もかも・・・。」
「クレア?」
シオンが言った瞬間、キリアが地面を蹴り、キリアに突っ込んでいった。
「突っ込んでくるか・・・自ら死に来るとは愚かな奴だな・・・相手をしてやれ。」
すると、急に白銀色の液体が蠢き始め、四本の本の先の尖った白銀の触手が出てきて一斉にクレトアに突っ込んだ。 が、なぜか急に触手が止まってしまい、クレトアが触手を走りすぎたら触手は縦真っ二つになった。
「斬撃だと!? いつの間に!?」
キリアもさすがに驚いたがそんな余裕がなかった。 さっき、棍棒を溶かしてしまったから今の彼は手ぶらだった。 クレトアはジャンプしキリアの前まできて剣を思い切り振りはらった。 キリアはかわしたが、少し遅かったのか左腕に当たってしまい血が出ていた。 キリアも反撃をしようと、手元から小さな魔法陣が現れてそこから棍棒が出てきて手に取り振り下ろしたが、クレトアは剣で防いで押し合いだした。
「ぐうう・・・!!」
キリアは左腕が痛むのか少し唸り声をあげた。 クレトアは剣を力一杯押した。
「・・・調子にのるなあッ!!」
キリアは叫んで、その場から一瞬で消えて、クレトアの背後に回ったが、いつの間にかクレトアのは消えていた。
「な!? どこに!?」
そう周りを見回したがクレトアの姿はなかった。 シオン達もクレトアの姿は見えなかったのか、周りをみたがやはりどこにもいなかった。 キリアはクレトアの姿を探し周りを見ていたら、突然目の前に空間に傷口が現れた瞬間だった。 そこから、クレトアが出てきて正面からキリアの体を斬りつけた。
「ぐ、はあ・・・ああああ・・・。」
キリアはしばらくフラフラしたが、やがて上空から落下し倒れてしまった。 クレトアもゆっくりと上空から降りてきて地面についた途端、跪いてしまった。
「大丈夫、クレア!?」
「ハァ・・・ハァ・・・。 何とか・・・ね。」
クレトアの顔は笑っているが、シオン達は大丈夫ではないと思っている。 すると、キリアがゆっくりと腕を動かした。
「く・・・ふふふ・・・これで終わりだと思うな・・・。」
キリアは不気味な笑いながら、フラフラと立ち上がった。 彼の体前はクレトアに斬られて血がドクドク出ていた。 だが、彼はそれを気にしなかった。
「くううう・・・。」
すると、キリアは呻き声をあげたら、体から闇がゆっくりと漏れるかのように出てきた。 クレトアはゆっくりと立ち上がって剣を構えた。
「ううう・・・うおおおおおおおおお!!」
突然、キリアが叫んだ瞬間、彼の体からゆっくりと漏れていた闇が一気に出始めた。 そして、周りが闇に飲まれていき、黒くなっていった。
「スベテ・・・スベテを・・・闇ノまれ・・・消え失せロウーーー!!」
「自爆する気か!? くっ!」
クレトアは後ろを向き剣を降ったら、突然空間に傷口が現れた。
「シオン、クオン! 君たちはあの向こうに飛び込め!」
「え?」
シオン達は信じられない顔をした。
「何言ってるの!? クレアも一緒でしょう!」
「私は・・・アイツを止める!」
クレトアは再び前を向き、剣を構えた。
「な・・・何馬鹿なことを言っているの!? あんなのに巻き込まれたら死んでしまうわよ!?」
「私の事は気にするな! だから、早く行け!」
クレトアは言ったが、シオンも黙っているわけではなかった。
「・・・だったら、私も残る!」
「何を言っているのだ! 早く行け!」
「いやよ! 私はあなたを置いてはいけないわ! あなたがいるのなら私もいる!」
「シオン! いい加減にしたまえ!」
クレトアは怒鳴ったがシオンはそれに負けないぐらいの声で言った。
「私は・・・あなたの事が好きなのよ!」
言った瞬間、クレトアは急に黙ってしまいシオンは、少し頬が赤くなっていて涙を流した。
「私は・・・あなたの事が好き・・・小さい時から、ずっと好きだった! みんな死んで、ナルも死んで・・・あなたも死んでしまったら・・・私とクオンだけになってしまう・・・。 私達だけじゃあ・・・生きていく自信がないの。 あなたも失ってしまったら・・・私は耐えれない・・・! だから、あなたと最後まで一緒にいたいのよ!」
シオンはクレトアを背中から抱きしめて、涙を流しながら言った。 だが、クレトアは振り向かなかった。
「お願い・・・あなたと最後まで一緒に・・・居させて・・・お願い・・・。」
シオンは少し強くクレトアの背中を抱きしめた。 彼女の目はすでに赤くなって涙も止まってなかった。 すると、クレトアがシオンの手の上に自分の手をそっと置いた。
「シオン・・・ありがとう。」
そう言ったら、シオンは上を向いたら、クレトアが顔を向けていた。
「だけど・・・私は誰も死なせたくはないのだ・・・だから・・・もう、戦わなくていい。 幸せになってくれ。 それと・・・」
彼は言葉を切って囁いた。
「生きていてくれ。 決して死んではならない。 私も運よく生きていたら・・・君に、会いに行く。 だから・・・生き延びてくれ・・・。」
そう言って、シオンの手と共に離したら、彼はなぜか笑っていた。 そして、クレトアは顔を前に向けた瞬間、走り出した。 シオンは声をあげたが、彼の耳には届いてはなかった。 すると、キリアから出ている闇の中から黒い鋭いトゲが何十・・・いや、何百本も出てきた。 そのトゲはクレトアの体中刺さっていったが彼は止まることせず、走り出した。
「はあああああーーーーーー!!」
そしてクレトアは剣を、キリアに刺し貫いた、次の瞬間。
「ぐおおおおおおおおーーーーーーーー!!」
キリアが咆哮したら、急に追い風が凄い勢いで吹き出して、シオン達は飛ばされて傷口の中に入っていった。
「きゃあああ!!」
シオンはクレトアの方に手を伸ばした。 だが、なぜかクレトアだけは吹き飛ばされていなかった。 動くどころかピクリともしなかった。 だけど、クレトアは首を後ろに回した。 そして・・・なぜか彼は笑っていた。 体中から血が出ているのに彼は笑っていた。
「クレアーーーーーーー!!」
彼女は涙を流しながら、クレトアの事を叫んで空間のどこかに飛ばされていった・・・。
- トラックバックURLはこちら