2024/11/24 10:49 |
[PR] |
2009/10/05 00:59 |
笑顔 |
―桜咲宅―
「う・・・。」
夢から覚めた僕はゆっくりと目を開けて、ぼやける中、上半身をゆっくりと起こした。 外は少し暗いけど、明るくなっていた。
「まだ薄暗いな・・・今何時かな・・・?」
僕は目をこすりながら時計を見た。
「五時半・・・か・・・。 僕はあれから、どれぐらい寝てないのか・・・。」
僕は時計を見ながら呟いたら。
―あなたは、ハゼルドという人と戦ってから三日と七時間も寝ています。―
何処からか聞き覚えがある声がした。 僕は部屋の周りを見たら、机の上に黒猫が居た。
「えっと・・・君が・・・エミ・・・だよね?」
僕は黒猫に指を指しながら言ったら、黒猫は頷いた。
―はいそうです。 これが私の元々の姿です。 私は夢の中では人化した姿しか見ることが出来ませんが、現実ではこの姿と人化もできます。―
「そうなんだ・・・ところで僕ってハゼルドと戦ってから、三日も寝たって本当?」
―はい。 私はこの三日間、あなたの事をずっと見ていましたから。―
「そう・・・そうか・・・僕は三日間も寝てしまっているのか・・・どおりで、服があの時のままだったのか・・・。」
僕は服を見ながら言った。 服はこの前の戦いの時と同じ服であって泥が付いていて破けてはないけどボロボロだった。 しばらくしたら、僕は涼と洋を起こさないようにゆっくりとベットから降りてタンスのほうへ歩いた。
―どちらに?―
「ちょっと服を着替えて、外に散歩に行こうかなって。 汗ダラダラだし、暑いし。」
そう言って、僕は服を脱いでその場に置いてら、タンスから服を取り出した。
―では、お供します。―
そう言って、エミは机から飛び降りた。
「いいよ、少しの間だから。」
僕はズボンを取り出しながら言った。 しかし、エミは首を振った。
―いえ、そうはいきません。 敵がいつ襲ってくるのか分かりません。 それに、私はあなたの契約魔です。 主の命を守るが契約魔の使命であるのです。―
「・・・ふう・・・うん、わかった。 じゃあ、いこっか。」
僕はどこか諦めたかのようにため息をしてズボンを着てチャックを閉めて、部屋を出ようとしたらエミが僕の肩に乗っかって来た。
―空き地前―
その数分間、僕達は青い色をした道の中歩いていた。
「やっぱ、夜明けの風って涼しくっていいね。」
―そうですね。―
「・・・ただ・・・周りがこんなんじゃ、いい気分もしないな・・・。」
僕はその場に立ち止まって、周りを見回した。 壁には何か引っ掻いた跡や真っ二つになっていて、地面は穴があったりヒビが入っていたり散歩をしていてもいい気分にはなれない。 と、周りを見ている中、空き地の太い丸太の上に誰かが居たのかをみた。
「ん? あれって・・・。」
そこには見覚えのある後姿と白銀の髪をした人がいた。 僕は空き地に入っていってその人に声をかけた。
「智東さん?」
そう言ったら、少し驚いたかのようにこっちに振り向いた。
「あっ、桜咲くん・・・。」
「どうしたの、こんな所で?」
「うん、ちょっと・・・散歩していて・・・。」
「ふーん・・・。」
「桜咲くんは?」
「僕? 僕は暑かったから、ちょっと風に当たりにきただけ。」
「そう・・・所で、その肩に乗っかっている猫は?」
「ああ、この猫は・・・。」
と、僕はここで慌てて言葉を止めた。
(・・・どういえばいいのだろう? ここで、「この猫僕の契約魔なんだ。」なんて言ったら、絶対に変な目で見られるし・・・ここは普通にごまかそう。)
そう思った僕は口を開いた。
「・・・うちによく来る雌の黒猫でね、名前はエミって言うんだ。」
「へえ~、可愛い名前なのね。 ねぇ、さわってもいい?」
僕は頷いたら、エミ肩から降ろして智東さんに渡しら、エミの顔をじいーと見た。
「?」
「・・・かわいい・・・。」
と、頬を染めるかのように赤くなって見たことの無い笑顔をした。 そしたら、それにはっと気づいたのか彼女は恥ずかしいそうな顔をしながら顔を下に向けた。 僕は思わず、微笑んでしまった。 その三分~五分は僕と彼女は喋らなかった。 正直な所、僕は彼女に一体なにを喋ればいいのか分からないままだ。
「いいなー・・・私も猫飼いたいなー・・・。」
そしたら、智東さんはエミの背中を優しく撫でながら呟いた。
「猫、飼えないの?」
「うん・・・私達はちょっと古いアパートに住んでいてそこはペット駄目なんだ・・・。」
「そうなんだ・・・。」
僕がそう言って、また数分間黙り込んだ。 僕と彼女ってあんまり喋ったこともないし・・・そう思っていたら彼女が口を開いた。
「ねぇ・・・桜咲くん・・・いきなり例えばの話なんだけど・・・。」
なぜか智東さんは寂しい・・・というか悲しい声で喋りはじめたら、僕の方に顔を向けた。
「もし・・・もしかしたらの話なんだけど・・・私が何かに苦しんでいる時に桜咲くんは私を助けてくれる?」
智東さんは僕と顔を見ながら言った。 一瞬だったがなぜか彼女は真剣に言ってきたような気がした。それにさっきの顔も、真剣な顔だった。 僕は彼女から思わず目を逸らして空を見た。 空にはただ、明るくなっていく青空と白い雲、カラスも飛んでいた。 それを見た僕は、どことなく落ち着いた気分になって彼女の方に顔を向けた。
「・・・もちろんとは言えないけど、君が本当に・・・何かに苦しんでいるのなら、僕は君を助けるよ。」
と、僕は口を歪めて答えた。 それを聞いたら、彼女はゆっくりと顔を前に向けなおしたら。
「・・・ありがとう。」 と小さく呟いた。
「それじゃ、私、帰るね。」
そう言ったら、エミを僕に返して丸太から降りたらこっちに振り向いた。
「じゃあね、桜咲くん・・・さようなら。」
彼女は笑顔で手をちいさく振って走って空き地から去っていた。
「うん・・・。」
僕は彼女が去ってもまだ手を小さく振っていた。 しかし、あの笑顔を見た瞬間、なぜか僕の中に疑問と胸騒ぎがし始めたが、この時、僕は気のせいだと思っていた・・・。
- トラックバックURLはこちら