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2009/09/01 02:04 |
謎 |
―陸南中等学園 屋上―
「ハァ・・・ハァ・・・今ので最後か・・・。」
森本は息をきらせながら、顔の汗を拭いた。 屋上はすでに闇の死者―ダークデッド―は全滅したが、フェンスは一部壊され、地面や壁にはヒビが入っていたり、デコボコだらけだった。
「おーおー・・・派手にやったものだな。」
突然、後ろから声がして森本はゆっくりと後ろをみた。そこに居たのは、白衣を着て、右手には缶コーヒーを持っている女性、多木だった。
「アンタ、あんまりやりすぎるなよ。 この場を見た教師がみたら、即退学だぞ? 今のアンタの状況だったらかなり立場がやばくなるよ。」
そう言って歩きながら持っていた缶コーヒーを飲んだ。
「・・・そんなの分かっているよ、瑤子。 いや、瑤子先生。」
森本はからかうかの様に言った。
「二人の時に、そんな呼び方やめて。 アンタに先生って呼ばれると寒気がして気持ち悪いわ。」
と、嫌な顔でばっさりと言った。
「酷い言われようだな。 俺達は仲間なのに・・・。」
「そんなの昔の話でしょ。 今の私たちは戌族ではないのよ。」
「これはまた酷い言われようだな・・・ところで犬神さまと銀堂はまだ見つかっていないのか?」
森本は表情を険しくして言ったが、多木は黙って首を振った。
「見つかっていないわ。 今も、あたしの霊鳥達が探しているわよ。」
「そうか・・・。なあ、少し話でもするか・・・。」
そう言って、森本はその場で座った。 多木は近くにあった、岩の上に座った。
「俺達は・・・どうして年も取らず、ここにいるのか?」
「は? 熱でもあるの、アンタ?」
多木は本気で大丈夫かみたいな顔をしながら言ったら、
「いや、普通気づかないか? 今は西暦45XX年。 俺たちがまだ十二族にいたときは西暦何年?」
「たしか・・・西暦44XZ年・・・あ。」
多木は気づいたかのように目を大きく開いた。
「そう、俺達・・・戌族全員かはどうかは知らないが、十四年と半年の時をさかのぼった・・・。」
「ちょっと待ってよ。 時をさかのぼるって、そんなこと不可能じゃ!?」
「・・・ではそこで、瑤子先生に問題です。 なぜ不可能だとわかる?」
森本は冷静に多木に問おうとした。
「なぜって・・・当然でしょ!? 時間をさかのぼるってそんなの機械も無しで単体で飛べるはずないでしょう!?」
「そう・・・機械無しで単体で時間をさかのぼる・・・下手にしたら、何もない空間で体がバラバラになるだろうな。 それは空間を飛ぶ時と同じだ。」
「では、本題。 なぜ、俺たちは時を単体で十四年の時をさかのぼったのでしょうか?」
「それは・・・あの時・・・あれ?」
多木は急に黙ってしまった。
「あれ・・・? あの時・・・何があったの? なんで・・・思い出せないの?」
「やっぱりか・・・。」
森本はそう呟いた。
「やっぱりかって、アンタは何か知っているの?」
「いや・・・ただ分かっているのは・・・自分の正体。 仲間。 十二族。あと・・・俺達が時をさかのぼった記憶がないって事だ・・・。」
「俺がここに飛ばされた時ずっと不思議だと思っていた。「俺はいつの間に、こんな世界にいるのだ?」っと。」
「それは、あたしもあったわ。」
「で、俺は思い出そうとしたが、俺があの時の最後の記憶は戌族全員がどこかに向かった・・・それ以降は何も覚えてない。気が付いてみれば、俺は山の中に倒れてた、ってここは話しているな・・・」
そう言って森本は急に立ち上がって、上空に浮いた。
「そろそろ、俺は行くぜ。 もし、あの二人にあったなら、すぐ連絡をくれよ!」
そう言ったら、どこかに飛んでいった。
「ちょ! ふう・・・まったくアイツは・・・。 昔から変わらないな・・・鉄。」
そう言って苦笑いをするかのように笑い、缶コーヒーを飲み干して後ろに振り向き、屋上から出た・・・。
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