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新者の雑記置き場

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2009/11/01
19:59
ある灰色の空の日(前編)

―桜咲宅―

あれから、三日がたった。 この三日間は闇の死者(ダーク・デット)の攻撃は一切無くって、町もやっと落ち着きを取り戻しているが、警戒のためか多くの軍や警察の人を街で見ることが多くなった。 父さんの事は詳しいことは知らないけど、「世界を救う」って母さんがそう簡単に話したがそれ以上は何も言わなかった。 

そして今日。 久々の学校があるから、僕達は靴を履いているときだった。

「今日、雨降るから傘はちゃんと持って行きなさいよー。」

「うん、わかった。」

僕達はそれぞれの傘を持った。 僕は普通の黒い傘で、涼は水玉模様をしたオレンジ色の傘、洋は涼と同様水玉模様ををした水色の傘である。

「「いってきまーす。」」

「いってらっしゃい。」

母さんに見送られながら、僕達は外に出た。 空は灰色の雲に覆われていて、いつ雨が降ってもおかしくない天気だった。 涼と洋はそんな中でも元気な顔をしながら、僕の手(洋)握っていて、腕(涼)を抱いた。

―これからどこへ?―

と、後ろから少女の声がして、振り返ったらコンクリートの塀に黒い猫がトコトコと歩きながらこっちを向いていた。 この猫・・・もとい彼女の名前はエミ。 僕の契約魔。 彼女は僕の中にいるレグリーって言う人が僕を守る為に召喚された夢魔である。

「これから学校に行くんだ。」

―学校? 学校とはなんですか?―

「うーん・・・勉強する所かな・・・?」

―勉強・・・ですか?―

「うん・・・と言っても、よく考えてみたら学校って何だろう・・・。」

実際の所は本当。 学校は確かに勉強する所だが・・・他に何かあったかな? そう本気に考えていたら、涼がじぃーと見ていた。

「ねえ、おにいちゃん。 さっきから、何で塀にいる猫と喋っているの?」

「えっ?」

僕は涼が言ったことに一瞬、ギョッとなった。  

―実は、私達、契約魔は召喚した者と契約した者しか声は聞こえないのです。―

「・・・それ、初耳だよ。」

―申し訳ございません。―

と、黒猫はぺこりと首を縦に振った。 そういうことは前もって言ってほしいな。

「可愛いネコさん・・・ねえにいにい、この子の名前は?」

と、洋はエミを見ながら僕に訊いて来た。

「名前はエミって言うんだ。」

「あれ? お兄ちゃん、もう名前決めていたの?」

涼が聞いてきたら、僕は何のためらいも無く頷いた。

「ふーん・・・て、早く行かないと学校遅刻しちゃうよ!」

そしたら、涼は僕の腕を引っ張りながら走り出した。 僕は後ろをチラッと見たら、エミが走ってきた。 

「・・・もしかして、付いてくるの?」

僕は二人に気づかれないようにエミに呟いた。

―? そのつもりですけど?―

エミは当たり前かのように言って、僕はため息をした。

「いや、さすがに学校まで付いてこなくてもいいよ。」

―いいえ、駄目です。 闇の死者(ダーク・デット)はいつ来るのか分かりません。 この三日間は襲撃してこなかったからって気を緩まないでください。―

「うっ・・・。」

確かに彼女の言うとおり、闇の死者(ダーク・デット)がいつ襲ってくるのかは全く予想もつかない。 もし授業中に襲い掛かってきたら、学校全体の生徒は危ない。

「仕方ないな・・・じゃあ、校門に誰もいなくなったら、誰にも見つからずに二階のベランダに来て。 僕の教室は右から二番目だから。」

―分かりました。 校門に誰もいなくなるまで、待機しています。―

そう言っている間に学校が見えてきた。 距離はまだあったけどチャイムが鳴るまで、もう五分しかない。 エミの方に向いたが、すでにいなかった。 その時、なぜか僕は「大丈夫かな・・・。」となんとなく不安そうに走りながら呟いた。


―陸南学園―

なんとか、チャイムギリギリで教室についた僕達。 この学校は他の学校とは違って遅刻は厳禁だから結構厳しい所もある。 その後、先生が来て朝会が始まって出席を取り始めた。

「工藤くん。」 「はい。」 「後堂くん。」 「はい。」 「草戸さん。」 「はい。」

「初瀬野さん。」 「はい。」 「桜咲 瞬くん。」 「はい。」 「桜咲姉妹。」 「「は~い。」」

先生はいつもどおりに出席を確認をしている(涼と洋が二人同時に呼ばれる理由はいつも二人にいるからという単純な事)。 返事をした後、ゆっくりと首を外に向こうとしたら、そこに黒い猫・・・エミがいつの間にかいた。

(いつの間に来ていたの?)

―今さっきです。 桜咲姉妹って呼ばれる所まで。―

「森本・・・はいつもどおりいないな。」 「佐倉塚さんは・・・おやすみっと。」

「えーっと・・・智東さんもおやすみっと。」

そう言って、出席帳をパタンと閉じて、机の上に置いた。 それにしても、森本は授業とかろくに出席してないが別に気にはしないが、一年の頃は無遅刻無欠席の佐倉塚さんが休むのは珍しいことだ。 

「えー君達が二年生になって、はや二ヶ月ちょっと。 そろそろ、雨が降る季節が訪れています。 勉強も頑張っている子よ、先生みたいにならずに恋もがんばれよー。」

と、何を言っているのかよく分からないことを言っている先生。 そういえば、この人って恋愛が駄目駄目で独身だったっけ。
 
「もうちょっとしたら、生徒選挙があるので一限目にその紙をくばりますので、候補を選んでください。」

先にそっち言ってよ、と僕は心の中で静かに突っ込んだ。 その時、一瞬耳鳴りのようなものが聞こえた途端。

「えーそれでは・・・チャイムが鳴るまで・・・うごかな・・・。」

先生は眠たそうな顔をして体をフラフラさせながら、その場に倒れた。 先生が倒れた途端、みんなが次々と机に突っ伏していった。

(どうなっているの?! そうだ、エミ!)

僕は慌てて、窓の開けた。

「エミ、一体何が!」

慌ててベランダの方に顔を覗いて叫んだ。 エミは手すりの上にいて校門のほうを見ていて、振り向かずに言った。 

―申し訳御座いません。 さっきのは私が放った催眠魔術です。 皆さんには見られたくありませんので。―

「どういうこと?」

―敵が来ました。 それも・・・かなり手ごわそうな人間のようです。―

そう言い残して、彼女は近くにあった木に軽々と飛び移り、そのまま地面に降りて校門の方に走っていた。 

僕も体が勝手に動くかのように教室から飛び出して走り出した。 何故だか分からないがどこかいやな予感がしていた。 そう思いながら、僕はすっかり静まった学校の中、階段を駆け降りいそいで上履きを脱いで靴を履いて運動場に出た。

「! あれは・・・!」

そこには知っている人物がいた。 その人物は手には光の刃になっている剣、顔には銀色の仮面をつけていた。 そして、その人物から放たれているつよい殺気。 そう・・・仮面の女だった・・・。

 

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