2024/11/24 17:07 |
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2009/08/27 01:34 |
孤狼 |
―住宅街―
「・・・ねぇ、涼ちゃん。」
誰もいない中、洋は歩きながら涼に話しかけた。
「なに、洋?」
「・・・私達がやっていることって、正しいのかな・・・?」
「・・・。」
洋がそういったら、涼は急に止まって洋も止まった。
「私達が知らない所で、父さんや母さんやにいにい達が戦っているのに・・・私達は、何も知らなかった・・・でも、こんな事をやっても、なにも意味はないって・・・。」
「・・・そうよね・・・あたし達、戦ったこともないのに・・・武器も持っていないのに・・・何やっていたのかな、あたし達は・・・。気づいた時には、体が勝手に動いて・・・勝手に外に出ちゃったしね・・・。」
洋は悲しいそうに手を胸にあていて、涼の方は悔しそうに両手を握り締めた。 この二人には戦う力はない。 武器すら持っても無く、家族が戦っているのに自分達は何もできない事が二人は何よりも嫌だった。 だから、勝手に家を飛び出した。
「・・・戻ろう、涼ちゃん。」
「・・・うん。」
と、二人は振り替えようとした、瞬間。
「!」 「!」
突然、空間に亀裂が現れて、その中から青黒コートで体が黒くて顔が白い肌をした男が出てきた。
「む? 今まで以上のない人間の香ばしい血の香りがしてここに来たのだが・・・二人の女だったか・・・。」
「あ・・・あなた、誰? 普通の人じゃない・・・ って言っても名乗ってくれない?」
とやや脅えながら涼は言った。
「いや・・・。 最初は名を名乗るのが、俺の礼儀だ。 俺の名はハゼルド。「孤狼(ころう)」のハゼルド・バルカだ。」
「で・・・あたし達に何か用で?」
涼たちは少し下がって男に言った。
「・・・いや用はない。 もし、お前達が男だったら、さっさと喰らっていただろう。」
「!」
一瞬、涼の表情が強張り、洋の表情が脅えた。
「安心しろ。 俺は女の血と肉は口には合わない。 喰らっていても、不味いだけだ。 しかし・・・こいつ等は、誰でも喰らう。 男も女の血が好物なんでね。」
そう言ったら、空から小さい亀裂が無数に現れ、中からカラスが出てきた。
「この二人はお前らに任せた。 髪の毛一本、血一滴も残さずに喰らうんだぞ?」
そうハゼルドが言ったら、無数のカラス達は涼たちの上空をグルグルまわりはじめた。
「りょ・・・涼ちゃん・・・逃げよう!」
「だ・・・駄目・・・足が・・・。」
急いで逃げようとする洋は、涼の腕を引っ張った。しかし涼の足は震えているせいか、動けなかった。
「ふん・・・所詮、人間は弱いな・・・。」
そう言った瞬間、二匹のカラスが涼たちに目掛けて急降下していく。
「「いやああああ!!!」」
二人は抱き合って叫びを上げたら。
「スパイラル・シュート!」
突然、後ろから螺旋の風が二匹のカラスに当たり、黒い塵となり消えていった。
「涼! 洋! 大丈夫!?」
カラスが消滅してすぐに、淳が涼たちに駆け寄ってきた。その後に瞬と龍が寄ってきた。
「か、母さん・・・。」
二人は泣きそうな顔で淳を見てたら、淳は安心したのかふと、ため息をした。
「まったく、本当に馬鹿な子ね。 母さん達を心配させて。」
「ごめん・・・。」 「ごめんなさい・・・。」
二人はしょんぼりとしながら言った。
「さ、早く家に帰りなさい。 家には三多朗たちがいるから」
二人は頷いて、立ち上がり走って家の方に向かった。
「ほう・・・こんな世界にも戦う戦士がいたとはな・・・驚いたものだ。」
「お前・・・闇の死者(ダーク・デット)側の人間か・・・?」
「闇の死者・・・我々の名を知っていることは、光の裁判官(ライト・ジャッジ)の協力者か・・・ふむ・・・見たところ、お前らはただの人間ではなさそうだな・・・。なるほど、相手にする前に少しこいつらで腕を見せてもらおうか・・・。」
「望む所だ。 何処からでも来い。」
そう言って、龍が雷槍を握り締めた。
「フッ・・・その心構え、気に入ったぞ人間・・・ゆけ!」
そう言ったら、数匹のカラスが瞬たちに目掛けて急降下してきた・・・。
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