2024/11/24 12:36 |
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2009/09/16 01:57 |
沈黙 |
―桜咲宅―
「・・・。」
リビングは痛いほどかなり静かであった。リビングには涼と洋と三多朗の三人だけだった。 二人は帰ってきてからずっと下を向いていて何も喋らなかった。
こんな沈黙に耐えれないのか三多朗は口を歪めながら二人を見ていた。
「三多朗・・・。」
そんな沈黙の中から小さな声がして、三太郎は振り返ったら、佐波がいて手招きを
していた。 三多朗は一度二人を見て、佐波の方に行った。
「あの二人・・・帰ってからあのまま?」
「うん・・・ずっと黙りっぱなしだしあの調子だよ。 そっちの方は?」
「さっき、目が覚めたわ。 でも・・・龍達が連れてきた二人の子達は怖かったのか起きてからずっと、体が震えていたわ・・・。」
「無理は無いよ。 いきなり襲われてしまったんだから。」
「でも、どうする? 彼女達、あたし達の事と闇の死者を知ってしまったし・・・。」
「うーん・・・こまったよな・・・どうすればいいのか・・・。」
そう話していたら、突然玄関の扉が開いた。
「!」 「!」
二人は警戒したのか険しい顔をしてすぐに武器を出した。
「ちょうどよかった。 ちょっとアンタら、この二人を運んでくれないか? 特にこっちの男の方を。」
そんな中瞬・・・もといレグリーは冷静に言った。 一方の二人はレグリーの姿を見て一瞬驚いたかのような顔をした。
「・・・あ。 うん、京香! いそいで龍達を運ぼう!」
「え、ええ!」
二人は武器をしまって急いでレグリーのもとに行き、龍達を抱きかかえた。
「その女は、頭から血が出てるが幸い頭は強く打っていないが、そっちの男は全身強く打ったせいであばらが何本か折れているみたいだから、そっちの男を方が先決だ。」
「わ、わかった! 所で・・・君は、瞬君・・・だよね?」
三多朗がそう言ったら、レグリーは。
「いや違う。」
と、あっさりと首を振って否定した。
「俺はともかく、早くそいつらを治したほうがいいぞ。」
レグリーがそう言ったら、二人は同時に頷き急いで二人を二階に運び、二人の部屋に運んでいった。
―数時間後―
「で、どうだった?」
レグリーは三多朗たちが治療している間に瞬の部屋にいた。
「なんとか治せたわ。 で、君は誰なの? 見た目は瞬君にそっくりだが・・・。」
「外形はそうだが、中身は全く違うな。 俺の名は、レクルグリームカント・ギャレッド。 長いから、気安くにレグリーて呼んでくれ。」
「じゃあ、レグリー・・・えっと・・・。」
なぜか三多朗は顔に手を当てて考え始めた。
「まあ、まずは何を言ったらいいか分からないからな。 俺から言うよ。」
レグリーはそう言って、息を小さく吸った。
「俺はアイツの心の中にある人格・・・いや、別の魂って言った方がいいか。」
「魂?」
「実は、俺はすでに死んでいるんだよ。」
そうレグリーが言ったら、驚いたのか二人はお互い目をあわせた。
「まあ、動揺も無理ないか。」
そう笑い顔をしながら頭を掻いた。
「今から・・・はどうか分からないが450年前、俺はある強大の敵を倒す為に遺跡に行った。 奴はかなり強かった。 俺も全身全霊で奴と戦った。しかし、結果は相打ちで終わって、俺も相手も死んだ。」
「それから・・・なにか未練があったのかな・・・この450年間俺の魂は彷徨っていた。」
「しかし、今から14年前、ちょうどアイツが生まれた頃、俺はアイツの体に吸い込まれた。」
「吸い込まれた?」
「俺は死んでからこの世界の裏山の洞窟の深い所にいたのだか、アイツが生まれた瞬間、俺の魂がアイツの体に吸い込まれるように体の中に入っていってその中で眠っていたんだ。 なぜだかわからないがな。」
そう言ったら、佐波が用意したお茶を両手でもって飲んだ。
「うーん・・・緑茶はやっぱ合わないな。 やっぱ渋茶がいいな・・・。」
と、お茶を飲みながら渋々言った。
「えーっと・・・今、瞬君はどうしているの?」
「寝ているよ。 気持ちよさそうにな。」
レグリーは自分の手の親指を胸を刺しながら言った。
「さって・・・俺はそろそろ引っ込む・・・と、その前に。」
レグリーは立ち上がったら、机の方を見た。 机の上には何も無く綺麗な状態だった。すると、レグリーは机の方に歩いてその机の手を置いた。
「・・・黒風「獣」」
そう呟いたら、机の上から黒い魔法陣が現れ、その魔法陣の上から黒い球体が現れ歪みながら形が変わっていた。 三多朗達はその光景を驚きながら見ていた。しばらくしたら、徐々に形が整っていきやがて姿を現した。
「・・・猫?」
そう佐波が呟いた。 机の上には、さっきまで黒い球体だったのが黒い猫にと形が変わっていた。
「雌の猫か・・・まあいいか、「獣」にはまだ慣れてないから操作が出来ないからな・・・。 あんたら・・・いや、そういえば名前まだ聞いてなかったな。」
レグリーは首だけを三多朗たちの方に向けた。
「僕は飛月 三多朗。 こっちが恋人の佐波 京香。」
三多朗がそう言ったら、レグリーはきょとんとした顔になった。
「何だ、あんた男だったのか? 俺は女かと思っていたぞ。」
「ハハ・・・」 と、三太郎は苦笑いをするかのように笑った。
「とりあえず、飛月。 この猫をアイツに渡してやってくれ。」
「え? なんで?」
「俺の代わりのお目付け役としてだ。 あと、そいつ人化するから。 じゃ、頼んだぞ。」
そう言ったら、急にレグリーは力を失くしたかのようにその場に倒れた。
「・・・いきなりだったね・・・。」
「そう、ね・・・。」
二人はぎこちない表情をしながら立ち上がり、三太郎は瞬をベッドに寝かせていて佐波は持ってきた湯呑みを片付けた・・・。
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