2024/11/24 15:10 |
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2009/09/17 23:49 |
狩人(前編) |
―駐車場―
「ふう・・・今ので最後かな・・・どう、龍木?」
―うむ、周りに黒い気配はしない。 どうやら、終わったみたいだな。―
「ハァ・・・二回目は流石にきつい・・・奴らは相当な数で攻めてくるからな・・・。」
と、鏡はしゃべりながら持っていた長い刀を収めた。
「ねえ、そろそろ戻らない? 淳さん達、私達が二回も闇の死者に襲われたこと知らないから、心配しているのかもしれないよ?」
「うん。 そうだな、よし一旦・・・。」
ソウタが喋りかけた途端、人が通れるぐらいのビルの隙間から銀色のナイフが何十本も飛んできて、智美と鏡はかわしたがソウタは二本の刀で防いだり綺麗にかわしたりした。
「誰だ!?」
ソウタの声が周りにも響いた。やがて何十本も飛んできたナイフが急に飛ばなくなった。その次に、かつ、かつっと、足音らしき音がソウタ達に近づいてきていた。ソウタは持っていた刀を無意識に強く握り締めた。 そして、さっきのビルの隙間から人影が見えてきて、出てきたのは黒いゴスロリ風の服をきた女性だった。
「・・・見かけによらず、中々の強さね・・・あなた。」
そう歩きながら口を歪めて言った。
「誰だ、アンタは! 闇の死者の人間か!?」
「闇の死者? なにそれ?」
女性は本気でわからない顔をしていた。
「私はそんなわけも分からない連中の仲間ではないの。私の名はナルシファ。 ナルシファ・レドン・ヴォルヴ。 ただの狩人よ。強い獲物を探し、そして・・・狩る・・・それだけよ。」
そう言って、両手から五本の銀色のナイフが出てきたら、彼女の背中から黒い翼が生えひろげた。
―・・・狩人・・・か。―
昌二は一人ポツリと呟いた
「まあ、狩人だがなんだか知らないが、相手になるのなら相手をしてやろう。」
そう言ってソウタは足を一歩前に出した。
「ソウタ、大丈夫なの?」
智美は心配そうな顔をしながら言い掛けてきた。
「心配するな。 俺の体は俺自身で守るから。」
ソウタは笑うかのように、智美に言った。
「一気に行くよ、龍木。」
―いつでもいいぜ。―
「「憑依!!」」
二人はそう言ったら、二人の体が重なった。
「「龍の血よ・・・今ぞここに・・・力を解放せよ!!」」
ソウタと龍木の声が混ざり合った瞬間、ソウタの背中から紅蓮色の翼が生えて龍の尻尾も生えてきて、ソウタの周りには炎のうずが回っていた。
「へえ・・・紅蓮色に染められた灼熱の翼に竜の尻尾・・・中々おもしろい能力持っているのね、あなた。」
ナルシファはあざ笑うかのようで褒めているように言った。
「それはどうも・・・。 アンタのその闇色に染まった黒い翼・・・中々似合っていると思うぞ。」
ソウタもあざ笑うかのようで褒めているように言った。そしたら、ナルシファはクスクスと笑い始めた。
「それで口説くつもりかしら?」
「ただのお返しだ・・・それと、俺は口説くのは苦手なんでね!」
そう言ってソウタは地面を思い切って蹴って、ナルシファに突っ込んでいった。ソウタは右手に持っている刀を振ったら、ナルシファは軽々と飛んで、翼を羽ばたかせながら後ろに下がっていった。
「逃がさぬ!!」
ソウタは右手に持っていた刀を素早く納め、腰にあった銃を手に取り、ナルシファを狙って連射した。 しかし彼女はこれまた軽々とかわしていって、すぐ近くのビルの屋上に行った。 ソウタはナルシファの後を追うとして、紅蓮色の翼を羽ばたかせながらビルの屋上に行った。
「・・・完全に気配を殺しているな・・・。」
そう、飛びながら呟いた。 屋上は広くて隠れる場所も多かった。 ソウタは見えやすい真ん中に下りた。 周りを見たが、ナルシファの姿は何処も無かった。ソウタは銃を腰にかけ、再び刀を取り出した。
「フフ・・・。」
すると、何処からかナルシファの笑い声が聞こえた瞬間、全方位から何十本ものナイフがソウタを襲った。 すると、ソウタは右手の刀で地面に円を書いた。
「焔壁(えんへき)!」
そしたら、円が赤くなり、炎の壁が涌き出て銀のナイフは溶けていった。炎の壁が治まったら、次に左手に持っていた刀を地面に円を書いたら外に六つの円が現れ、その中から太い柱の氷が出てきた。
「氷岩(ひょうがん)!」
そしたらソウタは、氷の柱を大きく次々と切っていき、その切った氷を素早く蹴り飛ばしていった。 だが、その一瞬。 暗闇の中から黒いナイフが飛び、氷が次々と壊されていった。
「ナイフを投げるだけでは、俺は倒せんぞ!」
ソウタは大声で言った。 そしたら、どこからかクスクスと笑う声が聞こえた。
「じゃあ・・・こういうのは、どうかしら?」
そう言って後ろからナイフを持ったナルシファがソウタに向かって走った。ソウタはすぐに後ろへ振り向き、左手に持っていた刀を納め、銃を取り出したらすぐさま、撃った。 銃弾はナルシファの喉に命中した。 しかし、なぜかナルシファはにやりと笑ったら、突然ナルシファが歪み始めて消えていった。
「残像・・・!」
ソウタは気づいたかのように声をあげた。そしたら、左右にナルシファがふうと現れた。 ソウタは急いでかわしたがかわした瞬間、右足のももをかすった。 しかし、まだ攻撃は終わっていなかった。ソウタがかわしたら、前から何十本のナイフが飛んできた。ソウタは翼を羽ばたかせて空に飛んでかわした次の瞬間。ソウタの周囲に数人のナルシファの残像が現れ、一斉にナイフを投げられ体中に刺さってしまった。
「ぐう!」
翼がナイフが刺さったせいか、その場でバランスを崩してしまいその場に落下してしまった。 そしたら、ナルシファの残像はニヤニヤと笑い歪みながら消えていった。
「どうかしら? 私とのダンスは楽しめていますかな?」
暗い中、何人もののクスクスと笑っている声がして不気味だった。 しかし、ソウタはなぜか一瞬口を歪めて立ち上がって空を見た。
「ああ・・・そうだな・・・楽しいと言えば楽しいが、舞姫は・・・一人だけで十分だ。」
そう低い声で言って口から出ていた血を拭き、目を開けたら目が黄色に光っていて龍の目になっている。
「引きずり出してやろうか? この舞台の舞姫さん?」
「フフフ・・・いいわ、引きずり出してみて。 この数で見切れるのなら・・・。」
そう言ったら、周りは静寂に包まれた。 一方のソウタは目を閉じて、何かブツブツ呟いていた。そうしている間に、一瞬で数十人のナルシファが現れた。 全員は一斉にソウタを襲うとした瞬間。
「火炎・焔弾!」
突然、目を開けたら急にソウタの体が紅く輝いて炎の玉に包まれていき一瞬だった。 炎の玉に包まれたソウタはまさに電光石火ののような動きでナルシファの残像が次々と消されていってた。 そして。
「がはっ!!」
見事に本体の腹に直撃した。 ナルシファはその衝撃で地面に壁に叩きつけられたら、残像がすべて歪みながら消えていった。 ソウタは、ゆっくりとさっきいた場所に降りてきて炎の玉はゆっくりと消えていったと同時にソウタの体から少し煙が出てきた。
「ふしゅー・・・さすがにやり過ぎたみたいだな・・・。」
ソウタは口から少し煙が出てきながら言った。
「さて・・・引きずり出してやったぜ。 舞姫さん。」
ソウタはナルシファの前に立って腕を組んでいった。
「フ、フフフ・・・結構、無茶苦茶な事をしたものね・・・。」
「そんな事はいい。 それより、アンタの首・・・貰うぜ。 後々、襲われるのは面倒だからね。」
そう言って、銃を手に取りナルシファを狙って引き金を引こうとした次の瞬間。
「っ!!」
急に誰かが銃を持った手に目掛けて石を投げてきた。ソウタは思わず銃を落としてしまった。
「何をしている、お主は?」
ソウタは声がした方を向いた。 いたのは昔の着物来て、ぞうりをはいている二十代後半の男が給水タンクの上に立っていた・・・。
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