2024/11/24 15:44 |
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2009/09/03 23:59 |
苦戦 |
―住宅街―
「ほう・・・あれだけの数をよく倒せたものだな・・・褒めてやろう。」
「敵に褒められても、嬉しい気持ちにはならないわよ。」
母さんは険しい顔をして、男に言った。
「次は、お前だ。」
父さんも険しい顔をしていて、持っていた槍を男に向けた。
「フン・・・いいだろう、この「弧狼」ハゼルド・バルガが相手にしてやろう。 ただし・・・俺を甘く見るなよ?」
そう挑発するかのように言って口を歪めた。
「言ってろ!」
父さんは、ハゼルドに真正面から突っ込んでいった。 ハゼルドはその場から動く気配がしなかった。
「フッ・・・。」
ハゼルドがなぜか鼻で笑った瞬間、彼の体から黒いなにかが出てきた。
「! おわっ!」
父さんは咄嗟にかわした。
「逃がさぬ・・・。」
かわした瞬間、彼の背中から大きな黒い手が出てきて拳にして、父さんはそれに当たって、吹っ飛ばされた。
「ぐわっ!」
吹っ飛ばされた父さんは、空中で体を回転して体勢を直して、地面についた。
「父さん!」 「あなた!」
僕と母さんは慌てて駆け寄った。
「な・・・何なんだ、あいつの体は?」
父さんは不思議そうな顔でハゼルドを睨んだ。それは僕も思った。 おそらく母さんも。
「・・・言ったはずだ、俺を甘く見るな・・・とな。」
ハゼルドはまた口を歪めた。
「気をつけろ・・・どうやらコイツ、相当強いぞ・・・。」
父さんはそう言って、立ち上がって槍を手にした。
「喋っている暇があるなら、下を見てみろ。」
「え?」
そう僕は下を向いたら、地面に黒い円の影があった。
「! 淳、瞬! かわせ!」
父さんが叫んだら僕らは一斉に飛んだ。その瞬間、黒い影から黒いなにかの口が出てきた。僕は思わず、息を呑んだ。 気づかなかったら、たぶん足は噛まれていて、喰われていただろう。 考えるだけでも、ゾッとしてしまうそう地面に気を取られていたら、いつの間にか前にハゼルドがいた。
「喰らうがいい・・・。」
そう呟いて腕を肩まで上げたら、腹と左右の横腹から黒いケルベロスの頭が出てきて、僕達に目掛けて噛もうとした。 僕達は咄嗟にそれをかわした。
「ッ! ライト・ボール! シュート!」
母さんは手を上げたら、光の玉が現れてそれをハゼルドに目掛けて投げた。しかし、光の玉が当たる直前、突然ハゼルドが黒い霧とともに消えた。そして、いつの間にか母さんの後ろにいた。
「なっ!」
母さんが気づいた時にはすでに遅かった。ハゼルドの体から放った太い黒い糸みたいな物が放たれて手足が捕まって身動きできなかった。そしたら、ハゼルドは腕を上げたらあの大きな黒い手が肩から出てきた。
「寝ていろ、女。」
「きゃあああ!!!」
母さんはハゼルドの大きな黒い手に思いっきり殴られ、すごい勢いで真下に落下していき地面に叩きつけられた。
「淳!」 「母さん!」
僕と父さんは、いそいで母さんのもとに行った。僕は母さんを抱えたら、母さんの頭から血が一杯流れていた。その光景を見たら、僕は恐怖と吐き気がした。
「よくも・・・貴様アアァァーーーーー!!!」
父さんは怒りとともに叫び、ハゼルドに目掛けて突っ込んでいった。
「やはり、人間という生物は哀れだな・・・。」
そう呟き、父さんの槍をひらりとかわしまた黒い霧とともに消え、父さんと離れた距離から現れた。
「人間は、大切な誰かが傷ついたら自意識と思考がこわれ、相手に対する憎しみ、憤怒する・・・それでは・・・誰一人も救えないぞ、人間よ?」
「うおおおおーーーー!!! 受けろ! 激雷!」
突然、槍の切先から大きな雷が放たれた。ハゼルドは動きもしなかった。 そして、ハゼルドは雷に直撃した。雷がやんだら、ハゼルドの姿は何処にも無かった。
「やったか?」
父さんは険しいそうな顔をして言った、が
「何がだ?」
いつの間にか父さんの後ろにハゼルドがいた。父さんは振り替えようとしたがすでに遅かった。
「ぐあああああーーーー!!!」
ハゼルドの右腕から、大きな黒い手が出てきて父さんの体をを絞めつけた。
「あの程度の攻撃で、俺が死んだとでも思ったのか、人間よ?」
「父さん!」
僕はフィードを強く握り締めて咄嗟に父さんを助けようとした。
「・・・邪魔だ。」
ハゼルドは僕の方を睨みつけたら、背中からカラスがでてすぐ僕に目掛けて突進してきた。
「ぐう!」
カラスは僕の腹を直撃したら、すぐに黒い塵となって消えていった。しかし、あまりにも痛みに僕は腹を押さえてしまった。
「・・・子供は引っ込んでいろ。」
ハゼルドはその隙に背中から黒い尻尾が出てきてその尻尾で僕の背中を殴られ、真下に落下していった。
「うあああああーーーー!!!」
僕は地面に向かって落下していき地面に叩きつけられた。 幸い、頭は打っていないけど全身を打ってしまった。
「ぐ・・・ううう・・・。」
叩きつけられたショックなのか僕の口から血が流れていた。しかし、僕はそんな事に気にする事も無くゆっくりと体を起こそうとした。
「うああああああーーーーー!!!」
上空から父さんの悲鳴が聞こえた。 僕は父さんの苦しい姿が僕の目に焼きついた。
「と・・・父さん・・・!」
僕は必死に体を起こして、フィードを拾い上げて強く握り締めた。 僕が飛ぼうとした瞬間。
ドクン!
「ぐっ!! ハァ・・・ハァ・・・こんな時に・・・!」
また、あの頭痛が僕を襲った。しかし、今回の頭痛は今までのよりも激しく、鼓動も速かった。さらに意識も薄れていて、目の前が霞んでいて立っているのがやっとの状態だった。そう思っている間に、父さんが地面に叩きつけられた。
「うっ! と、父さん・・・!」
僕は歩こうとしたが、歩いたら頭痛も余計に激しくなっていった。そんな中、ハゼルドがゆっくりっと降りてくるのが見えた。
「フ・・・やはり、俺の目は正しかったみたいだな。 ふつうの人間なら体がバラバラになり、大量の血が出てくるからな・・・フフフ・・・。」
そう言ったら左腕を上げ、腕から一匹のカラスが出てきて、空を飛んだ。 僕はすぐに危機感を覚えた。 このままじゃあ父さんが死んでしまう。 咄嗟にそう思い無理やり足を動かした。
「や・・・やめろ・・・。」
激しい頭痛と意識が薄れていく中、僕はハゼルドに言った。しかし、彼の耳には僕の声は聞こえなかった。
「ゆけ。」
そう言ってら、カラスは父さんに目掛けて突っ込んでいった。そんな事はさせないと、僕は心の底からそう思って、
「やめろーーーーーーーーーーーーー!!!」
周りが響くほど大きな声で僕はさけんだ。 そして、なぜか分からないけど目の前が真っ暗になって僕の意識が突然失った・・・。
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