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2009/07/09 21:11 |
黒い霧 |
「それが、お前が選んだ答えか・・・お前らしいな。」
(誰・・・君は? それに・・・ここ、どこ?)
僕は今、どこかの遺跡の中にいた。 周りには黒い霧みたいなもので包まれていて、不気味な場所だった。
「しかし、本当にこれでよかったのか、お前としては?」
(何が・・・? これって・・・夢、かな?)
「この門の先には、破壊の魔人がいる。 いくらお前が強いからって、奴の能力にかなうはずがない。」
(門・・・?破壊の魔人・・・?)
僕は前を見た。 少し見えずらいけど、巨大な門があった。全長はおよそ5メートルぐらいはあるとても大きな漆黒の門であった。
「なあ・・・考え直すことは出来ないのか? 俺は・・・大親友であるお前を、失うのはとてもつらい・・・。」
男は悲しそうな顔をして言った。 しかし、僕は首を振った。 いや・・・正確には僕がやったわけではない。 無意識に首を振ったみたいだ。
「・・・やっぱりか。 お前は昔から、一度やるって言ったらやる男だからな。」
(何が・・・どうなっているのだ? 夢なら早く覚めてくれ・・・。)
「そうか・・・なあ、生きて帰ってこれたら、また・・・楽しく話し合おうぜ。」
男は僕たちから離れていき、やがて姿も見なくなっていった。
僕は、巨大な門の前まで行った。 門の隅に黒い霧がもれていた。そして門を開こうとしたら、門が勝手に開いた。門の先の光景は、闇が無限に広がっていた。 そして、その闇の中に、無数の歯車の軋む音がして、何かが動いた。
(これが・・・魔人・・・。)
魔人の全長は3メートル半ぐらいはあった。魔人の体は鮮やかな漆黒色と、目は緑色と輝いていた。 そして魔人は、手を握り締めて上げて僕に向かって、拳を急落下で落として僕は潰された・・・。
「はっ! ハァ・・・ハァ・・・!」
僕は慌てて夢から覚めた。 外はずいぶん明るくなっていて、太陽の光が射し込んで来た。
「夢・・・か・・・。やな夢だったな・・・体中、いやな汗が一杯だ・・・。」
僕は体の汗を拭こうとして、体を起こそうとした。が、
「・・・。」
起き上がらなかった。 無理に起こそうとしたがやっぱり起き上がらなかった。 なぜなら、僕の体をがっしりとつかまれていたからだ。
この二人のせいで。
「う~ん・・・。」 「すう・・・すう・・・。」
「またか・・・困ったブラコン妹だ。 これじゃあ、動けないよ・・・。」
僕はため息をした。 しかも、涼と洋の体がかなり密着している。いや、実際は密着しすぎている。 胸とかも当たっているし。 正直な所、本気でやめて欲しい。 恥ずかしいから。 というか毎回毎回思うけど、何でこんなことするのかなこの二人は。
僕は、彼女達の手をどかそうとするが、なかなか離してくれなかった。そして、ようやく手をどかせることが出来た。手をどかすのに、かれこれ十分ぐらいはかかった。
「つ・・・疲れた・・・。 抵抗しすぎだよ・・・。」
僕はどんよりとした顔で言って、服に着替えて部屋を出て洗面所まで行った。
そして洗面所に着いて、顔を洗い、水でタオルを濡らし体を拭いた。そのついで、頭も洗いずいぶんサッパリした気分だった。
ピーンポーン・・・。
「あれ? こんな時間にお客さん? っとそういえばまだ時計を見ていなかった。」
僕は、時計の方を見た。 時計の針は11時26分だった。
「ずいぶん寝ているじゃん・・・僕・・・。 いつも、休みの日なら8時に起きているのに・・・。」
とポツリと呟いて、洗面所から出たらちょうど父さんが、リビングから出てきた。
「おはよう、瞬。」
「おはよう、父さん。」
とお互い、朝の挨拶をした。 まあ、今昼前だけど。
挨拶したら、父さんはすぐに玄関に向かって、僕はリビングに入って、そこに母さんが料理を作っていた。
「おはよう、母さん。」
「おはよう、瞬。 よく眠れた?」
「うん。 まあ・・・ちょっと寝すぎたけど。」
「そう。 あ、瞬。 ラーシュのえさをやってきてくれない?今、手が離せないの。」
「うん、いいの。」
そう言って僕は、庭に出たら、ラーシュが駆け寄ってきた。
「ワン!ワン!」
「おはよう、ラーシュ。 ちょっと待ってね、今えさをやるから。」
僕はラーシュを撫でて、物置の方に歩いて扉を開け、餌の袋を出してその中にある餌を小さい植木鉢で掬い、餌入れに入れた。 そしたら、ラーシュは餌を食べ始めた。
「なんか、和むな・・・。」
眺めながらそう思った、数秒後、
「あああぁぁぁーーー!!」
突然、玄関の方から、叫び声が聞こえた・・・。
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