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新者の雑記置き場

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2009/04/02
00:43
ポーカールーム

―???―

「・・・うっ、ここは・・・?」

桐野を追いかけて穴に落ちた僕がいつの間にか気が付いた。 気づいたらイスに座っていた。そして周りを見回した。

「気が付いたか?ボウズ。」 

桐野は窓の方で外を見ていた。

「桐野・・・!」 僕はいそいで立ち上り、フィードが

「落ち着け。なにもしないさ。」 それに対し桐野は妙に冷静だった。 よく見たら、桐野の手には何も持っていなかったが、僕は

「ここはどこ?何も無い部屋だけど・・・。」

周りには窓が一つだけで、ドアも無く、あるのは机が一つと椅子が二つぐらいしかなく、なぜか机の上にコーヒーが二つ置いてあった。

「ここは、ポーカールーム・・・。俺がポーカーで真剣勝負をするために作った空間だ。」

桐野はコートのポケットから、タバコを取り出し口に銜え火をつけた。

「空間? 部屋じゃないの?」 

「外見は部屋だけどな。外を見てみな。」

そう言って桐野は窓から離れて、椅子に座った。 僕は窓の外を見て、驚いた。 外には空も草も何も無く、真っ白な世界が無限に広がっていた。

「分かったところでこっちに来い。」

僕は半分驚いた状態で立ち上がって、椅子に座った。そしたら桐野はコートからカードを取り出した。

「お前、ポーカーのルールを知っているか?」

「・・・やったことは無いけど、ルールぐらいは知っている。」

「それじゃ、話しながらやろうか。」そう言ってカードを配り始めた。

(ああ、そういえば忘れていた。何で僕、忘れていたのだろう・・・。)

そう思いながら、僕はカードを取った。

「で、あの空についてだ。あれは深紅の魔力の力に変えられたんだ・・・3枚。」

「深紅の魔力って?・・・2枚。」

なぜかお互い、話しながら真剣にポーカーをしている。

「深紅の魔力は卯族の棟梁が持っている、特殊な魔力だ。他にもそれぞれの棟梁もいろんな特殊な魔力を持っている。」

「それは、棟梁にしか持っていないの?」

「ああ。だが、棟梁が死んだらその魔力は絶対死なない。・・・ストレート。」

「なぜ?・・・ストレート。」

「ちっ、引き分けかよ・・・。」桐野は舌打ちしてカードを集めて、シャッフルして、カードを配った。

「つまり、棟梁が死んだら次の棟梁がその魔力と棟梁を必ず受け継ぐ。 言い方を変えれば祖父が亡くなって全財産とその家を継ぐことだ。・・・4枚。」

「じゃあもし、その受け継ぐ者がいなかったら?・・・1枚」

「聞いた事は無いが、失うかもしれない。・・・ツーペア。」

「ツーペア。」

「また引き分けかよ・・・。」

「・・・。」

「ん? どうした?」桐野はカードを配りながら訪ねた。

「なんか・・・アンタの事がよく分からなくなってきた、僕・・・。」

「分からないって何が?・・・2枚。」

「僕はアンタが人殺しだ、悪魔だと思っていた。憎んでいた。だけど・・・なぜだか分からないけど・・・今のアンタは憎めない。アンタ・・・本当は優しい人じゃないか?」

「・・・。」桐野はしばらく黙って口を歪めて静かに笑った。

「優しい、か・・・。ダチにしか言われたことがないのに、まさか、裏切り者の息子に言われるとは思っても無かった。 だが、俺は所詮、人殺しだ。それだけは変わらない。絶対に・・・な。」

「・・・。」僕は黙って3枚、カードを引いた。

「これで最後だ。俺の基本的な真剣勝負は三本勝負・・・だから次で最後だ。・・・ストレートフラッシュ。」

「・・・ストレートフラッシュ。」

桐野の手札は56789のクラブ。 僕の手札は56789のスペード。 結果は三本全部引き分けに終わった。 そしたら桐野は急に笑い始めた。

「はっはっはっは・・・引き分けか、しかも三本とも。こんな事一度も無かったのにな。はっはっは・・・。」

しばらく笑った桐野は指を鳴らした。そしたら、左の壁からドアが現れた。

「お帰りはそっちだ。」桐野は指を指しながら言った。

「アンタは?」

「俺は少し、休んでいく。コーヒーもまだあるしね。あと・・・。」

「何?」

「次で会う時は・・・剣で決着つけるぞ。いいな?」

「・・・わかった。次で決着をつけよう・・・。 コーヒーご馳走様。」

僕は一応椅子から立ち上がってドアを開けた。 ドアの先にはやっぱり真っ白だった。 ちょっと怖いけど僕は黙ったまま、歩き出したら、光に包まれていった。

ドアが消えてしばらくして、桐野は首に下げていたロケットを見た。

「優しい・・・か。 この優しさは、あなたに似たんでしょうか・・・母さん。」

桐野はぼうしを下げて静かに呟いた・・・。
 

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