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2009/07/04 12:54 |
死亡(前編) |
―???―
「ストレートフラッシュ・・・オレの勝ちだな。」
「またかよ。 これで何敗目なんだよ、まったく・・・。」
真道は頭を掻きながら言った。
「俺が26勝9敗、真道が9勝26敗だ。」
「・・・聞かなきゃよかった・・・。」
真道はがっくりとしたため息を出して、俺は笑いながら「じゃあやめるか?」と言った。
「そうさせてもらう。 やれやれ、任務が無い日ってほんと暇だな。」
そうブツブツいいながら、椅子から立ち上がった。
「そうだな・・・。」
はっきり言ったら俺も真道と同じ気持ちだ。 任務が無い日は大抵、部屋にいるか暇つぶしに真道とポーカーしているが、最近はどうも暇だ。 そう思いながら、着ていた革の黒コートのポケットからタバコを出した。
「ころそこ、俺の部屋でタバコ吸うな。 においが染み付く。」
「分かったよ。 やれやれ、お堅い人でだな。」
そう言って俺は、タバコをコートのポケットに戻した。
「まったく、お前は・・・前に言わなかった?」
「悪かったよ、それよりいつものコーヒー。」
「・・・お前は本当に反省しているのか、洞豪? まあ、いいけど。ちょうど、のど渇いたし。」
真道は、戸棚から黒のマグカップを取り出して、コーヒーメーカー
そう言ってら、廊下から騒がしい声がして、その声はどんどん近づいてきた。 まあ、誰だかはすでにわかっているが・・・というかだんだん腹が立ってきた。 あの声を聞いているだけでもイライラする。 そんな中、ドアが乱暴に開いた。
「てへいんだ! てへいんだ!ていへんぜっせい、親分!」
馬鹿(チャラ助)が江戸っ子(?)みたいに慌しく言った。
「うるさいぞ、チャラ助。」
俺ははディムロを出し、チャラ助に目掛けて投げた。 チャラ助は慌ててディムロをかわして、廊下の壁に刺さった。 チャラ助俺に文句を言った。
「うわ、あぶな! 今のわざと? 絶対わざとだろ!」
「違う、ちょうどお前の所に、虫がいたんだ。」
本心は殺す気満々だったがな。
「だからって、自分の大剣投げるか、桐ちゃんは!? あと、顔に殺すの文字が出ているよ!」
いちいち、うるさい男だ。 というかうっとうしい・・・だから、俺はコイツが嫌いなんだよ。
「はいはい、そこまで。 洞豪、人の部屋でディムロを投げるな。あとで壁を直せよ。」
真道はあきれるかの様に言った。 俺は無言で指を鳴らしたら、ディムロは勝手に消えて、俺はコーヒーを飲んだ。
「で、一体なにが大変なんだ、卓志?」
真道は一回ため息をしてチャラ助の方を向いた。
「ああ、お前ら落ち着いて聞けよ。」
その前に走ってきて、ぜえぜえ言っているお前が落ち着けって言いたいがチャラ助にしたら、慌てようがおかしい。 そんなに大ごとなこと以外にコイツは騒がないのは俺でも知っている。 知りたくも無かったがな・・・。
「わかったから、一体何があったんだ?」
真道はめんどくさそうにため息を吐いた。 というか、何か任務のない日は大抵数十回はため息してしまう。
「実は・・・卯族の棟梁、津輪葺 減萄が・・・殺されたみたいだ。」
「なっ!」
「・・・間違いないか?」
真道は驚きを隠せないまま声をあげて持っていたマグカップを危うく落とそうとしたのに対し、俺は冷静でいった。 なるほど・・・道理で、この馬鹿(チャラ助)が騒ぐわけだ。
「ああ、俺もさっき知った所だ。」
「なるほどな。 で、犯人は?」
「それが・・・分からないみたいだ。」
「分からないだと? どういうことだ?」
チャラ助は珍しいことに歯切れの悪いかのように答えた。
「・・・犯人の痕跡とかまったくないんだ。 何処に逃げたか分からないままだ。」
「死体の傷口は? それなら分かるはずじゃあないのか?」
しかし、チャラ助は首を振った。
「それが、死体はバラバラに切断されていたんだ。それに・・・妙なんだ。」
「妙?」
「聞いた話じゃ、その死体は手、足、指、首、顔、肩、耳、鼻とか、色々な部分が綺麗に切断されていたんだ・・・。」
「・・・。」
さすがに俺でも驚きのあまり言葉を失ってしまった。
「・・・なあ、死体の見つかった場所って、奴の研究室か?」
「え? そうだけど・・・なんで分かった?」
「やっぱりか、チッ、あのクソッタレ人形師が。 棟梁でありながら自分の作った人形に殺されたのか。 情けない奴が。」
そう文句を言いながら少しゆるくなったコーヒーを飲み干して、椅子から立ち上がってドアのそばに掛けていたぼうしをかぶった。
「わかったのか、犯人?」
真道が聞いて来た。
「誰かは分からんが、大方はな。 とりあえず、俺は研究室に行く。 真道とチャラ助は?」
「俺も行く。 どうせいたっても暇なんだしな。」
「俺も。 いろいろと情報・その他もろもろ集めないとな。」
その他って一体ほかに何を調べる気だ、コイツは・・・? まあ、とくに気にはしないがな。
「じゃあ、行くか。」
そう言って、俺達は部屋を出て、卯族の棟梁の研究室に向かった・・・。
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