2025/04/21 20:47 |
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2009/07/09 21:11 |
黒い霧 |
「それが、お前が選んだ答えか・・・お前らしいな。」
(誰・・・君は? それに・・・ここ、どこ?)
僕は今、どこかの遺跡の中にいた。 周りには黒い霧みたいなもので包まれていて、不気味な場所だった。
「しかし、本当にこれでよかったのか、お前としては?」
(何が・・・? これって・・・夢、かな?)
「この門の先には、破壊の魔人がいる。 いくらお前が強いからって、奴の能力にかなうはずがない。」
(門・・・?破壊の魔人・・・?)
僕は前を見た。 少し見えずらいけど、巨大な門があった。全長はおよそ5メートルぐらいはあるとても大きな漆黒の門であった。
「なあ・・・考え直すことは出来ないのか? 俺は・・・大親友であるお前を、失うのはとてもつらい・・・。」
男は悲しそうな顔をして言った。 しかし、僕は首を振った。 いや・・・正確には僕がやったわけではない。 無意識に首を振ったみたいだ。
「・・・やっぱりか。 お前は昔から、一度やるって言ったらやる男だからな。」
(何が・・・どうなっているのだ? 夢なら早く覚めてくれ・・・。)
「そうか・・・なあ、生きて帰ってこれたら、また・・・楽しく話し合おうぜ。」
男は僕たちから離れていき、やがて姿も見なくなっていった。
僕は、巨大な門の前まで行った。 門の隅に黒い霧がもれていた。そして門を開こうとしたら、門が勝手に開いた。門の先の光景は、闇が無限に広がっていた。 そして、その闇の中に、無数の歯車の軋む音がして、何かが動いた。
(これが・・・魔人・・・。)
魔人の全長は3メートル半ぐらいはあった。魔人の体は鮮やかな漆黒色と、目は緑色と輝いていた。 そして魔人は、手を握り締めて上げて僕に向かって、拳を急落下で落として僕は潰された・・・。
「はっ! ハァ・・・ハァ・・・!」
僕は慌てて夢から覚めた。 外はずいぶん明るくなっていて、太陽の光が射し込んで来た。
「夢・・・か・・・。やな夢だったな・・・体中、いやな汗が一杯だ・・・。」
僕は体の汗を拭こうとして、体を起こそうとした。が、
「・・・。」
起き上がらなかった。 無理に起こそうとしたがやっぱり起き上がらなかった。 なぜなら、僕の体をがっしりとつかまれていたからだ。
この二人のせいで。
「う~ん・・・。」 「すう・・・すう・・・。」
「またか・・・困ったブラコン妹だ。 これじゃあ、動けないよ・・・。」
僕はため息をした。 しかも、涼と洋の体がかなり密着している。いや、実際は密着しすぎている。 胸とかも当たっているし。 正直な所、本気でやめて欲しい。 恥ずかしいから。 というか毎回毎回思うけど、何でこんなことするのかなこの二人は。
僕は、彼女達の手をどかそうとするが、なかなか離してくれなかった。そして、ようやく手をどかせることが出来た。手をどかすのに、かれこれ十分ぐらいはかかった。
「つ・・・疲れた・・・。 抵抗しすぎだよ・・・。」
僕はどんよりとした顔で言って、服に着替えて部屋を出て洗面所まで行った。
そして洗面所に着いて、顔を洗い、水でタオルを濡らし体を拭いた。そのついで、頭も洗いずいぶんサッパリした気分だった。
ピーンポーン・・・。
「あれ? こんな時間にお客さん? っとそういえばまだ時計を見ていなかった。」
僕は、時計の方を見た。 時計の針は11時26分だった。
「ずいぶん寝ているじゃん・・・僕・・・。 いつも、休みの日なら8時に起きているのに・・・。」
とポツリと呟いて、洗面所から出たらちょうど父さんが、リビングから出てきた。
「おはよう、瞬。」
「おはよう、父さん。」
とお互い、朝の挨拶をした。 まあ、今昼前だけど。
挨拶したら、父さんはすぐに玄関に向かって、僕はリビングに入って、そこに母さんが料理を作っていた。
「おはよう、母さん。」
「おはよう、瞬。 よく眠れた?」
「うん。 まあ・・・ちょっと寝すぎたけど。」
「そう。 あ、瞬。 ラーシュのえさをやってきてくれない?今、手が離せないの。」
「うん、いいの。」
そう言って僕は、庭に出たら、ラーシュが駆け寄ってきた。
「ワン!ワン!」
「おはよう、ラーシュ。 ちょっと待ってね、今えさをやるから。」
僕はラーシュを撫でて、物置の方に歩いて扉を開け、餌の袋を出してその中にある餌を小さい植木鉢で掬い、餌入れに入れた。 そしたら、ラーシュは餌を食べ始めた。
「なんか、和むな・・・。」
眺めながらそう思った、数秒後、
「あああぁぁぁーーー!!」
突然、玄関の方から、叫び声が聞こえた・・・。
2009/07/07 23:56 |
決意 |
―桜咲宅―
「ふう・・・今日は色々と疲れたな・・・。」
僕はベットに寝転んで手をおでこをあて、そう呟いた。
あれから美奈と別れて、半日がたった。僕は帰ってきて自分の部屋に戻って、ベットにそのまま寝転んだ。 安心したのか、すぐに寝てしまって起きたのは、昼の1時頃だった。 ちなみに、現在の時刻は23時40分。
「ふう・・・疲れ、取れてないのかな・・・寝ようかな。」
僕はベットのそばにあったモノクロのランプの電気を消そうとしたら、コンコンと、ノックの音がして、ドアが開いた。
「お兄ちゃん・・・起きてる?」
涼の声だ。しかし、いつもは元気一杯で活発のなのになぜか声が暗いような感じがした。僕は、ドアの方に向いたら、涼と洋がいた。
「涼、それに洋も。 どうしたんだ、こんな時間に?」
僕は体を起こして、二人を見たら表情はずいぶんと暗かった。
「話したことがあるけど・・・いい?」
「? 別にいいけど・・・どうしたんだ、こんな夜中に?」
そう言ったら、二人は何も言わず暗い顔をしていた。 僕は?マークを浮ばせながら首をかしげた。
「お兄ちゃん達が・・・戦っているのって本当?」
僕は涼が口から言った言葉にドキッと動揺した。
「・・・どうして、それを?」
「昨日の夜、私達がトイレに向っている途中にいにいとお父さん達が、誰かと話している所を・・・私と涼ちゃんは偶然、見てしまったの。」
「ねえ・・・本当なの、お兄ちゃん?」
二人はさっきの暗い顔から真剣な目をしながら言った。 見られてしまったなら仕方が無い。
「・・・ああ、本当さ。」
僕は正直に言った。
「・・・どうして?」
涼は顔を下に向いたまま言った。 そしたら、急にポタ、ポタと音がした。
「え?」
「どうして・・・あたし達には・・・教えてくれなかったの・・・?」
突然、涼が大粒の涙を流しながら言った。
「小さい頃、お兄ちゃんは約束したよね?「僕たちは兄妹だから隠し事はなし。」って約束したよね?」
「・・・。」
僕は無言のままだった。 確かに僕はその約束を覚えている。 だけど今回のは別だった。 十二族が来た初日、父さんが「涼たちにはまだ早いから言うな。」って言われたから
「どうして・・・ひくっ、あたし達には・・・教えてくれなかったの・・・?約束・・・ひくっ、違うよ・・・お兄ちゃん・・・。」
「ごめん・・・父さんに言われたんだ。 「涼と洋にはまだ早い。」って。それに、僕は・・・妹が傷つく姿を・・・見たくなかった。想像しただけでも、恐かった・・・だから、言えなかった。」
僕がそう言ったら洋が口が開いた。
「にいにい・・・それは、私達も同じこと・・・。私達だって、お父さんやお母さん、にいにいが戦っていて、私たちはただ、それを見ることは・・・つらいの・・・私達は何も出来ずただ見るのさせつらい・・・傷つく姿もつらいの!」
洋のいつもの優しい顔はどこにもなく、怒っている顔だった。 洋がそこまで怒っていたことを、僕は実感した。
「だから・・・私達は決めたの。 にいにい達が戦うのなら・・・私達も、戦うって。」
「・・・。」
「・・・。」
しばらくの静寂。 僕たちは見詰め合っていて、洋の表情は全く変わらなかった。
「そっか・・・うん、わかった。」
「え?」
「僕は止めないよ、無理言っても無駄だとう思うし、そうだろう、涼、洋?」
元々この二人は言ったことには絶対に曲げないから何をどう説得をしても無駄なのは昔からわかっている。
「うん・・・私と涼ちゃんは決めたの。」
「ぐすっ・・・ぜ、絶対に・・・戦うもん・・・。」
「分かったから、もう泣くな涼。 涼は長女だろ? 妹の前で泣くなって。」
僕は立ち上がって、二人のほうによって涼の頭をなでて、慰めた。そしたら、涼は涙を拭きいつもの、元気の顔に戻った。
「うん・・・!」
「さ、もう遅いから、子供は早く寝なさい。」
「お兄ちゃんだって、子供じゃん。」
「僕は今から寝るの。 さ、早く自分の部屋に戻りなさい。」
「は~い・・・。」 「おやすみ、にいにい。」
二人は同時に言って、部屋から出た。
「ふう・・・さてっと、僕も寝るか・・・。」
僕はベットの方に戻り、ランプの電気を消そうとした、瞬間。
ドクン。
「!」
突然、体からまた妙な違和感を感じた。
(また、か・・・何なんだ・・・この妙な違和感・・・。)
僕が感じた違和感は、あの時クレトアさんが話していてる時のと全く同じの違和感だった。
「やっぱ、疲れているのかな・・・。」
僕は、そう思いながらランプの電気を消し、布団に入って眠りに付いた・・・。
2009/07/05 17:54 |
キャラクター紹介Ⅵ |
鬼之島 夜紗宗 (きのじま やさむね)
年齢21歳
性別 男
属性 風
性格
卯族の幹部で、冷静沈着な男。
戦闘の時は、すでに冷静で取り乱さず相手を切り倒していく。
いつも和風服を着ていて、茶道が得意。
鬼之島 正宗 (きのじま まさむね)
年齢18歳
性別 男
属性 炎
性格
卯族の幹部で、夜紗宗と一緒にいることが多い。
夜紗宗と正反対で、落ち着きが無いが、頭はいい。
夜紗宗と苗字が似ているが、実際は血はつながってない。
楓 (かえで)
外形年齢19~21歳
性別 女
属性 風
性格
卯族の幹部で、誰にでもやさしい、心優しい女性。。
十二族に入る前の一部の記憶が無く、苗字を年齢を覚えてない。
外形は19~21歳ぐらいにしか見えない。
2009/07/05 17:19 |
死亡(後編) |
―???―
数分後、俺達は津輪葺の研究室に着いた。 中に入ると当然のように奴の血だと思われるものとご対面だ。 それも壁や天井にも飛び散っていた。
「うわー・・・あっちこっち、すんごい血だらけだね・・・。」
「当たり前だろう、死体を切断したんだ。 これだけ血が出てもおかしくないだろう。」
「・・・誰も居ないな・・・。」
そう言いながら俺はは、周りを見回したが、周りには誰もいなかった。
「みんなトイレでも行ったんじゃないの?」
チャラ助はニヤニヤと笑いながら言った。 いいから、お前は黙っていろ。
「・・・お前じゃああるまいし、そんな事はないだろう・・・。」
真道は呆れるかのようにチャラ助に言った。
「ところでさあ、あの棺桶みたいのって何?」
チャラ助が指を指した先は、ガラスの向こうに、棺桶みたいなものがあった。それも一つだけではなかった。数は30~40ぐらいあった。
「たぶんあれだろう、奴が作ったアンドロイドの入れ物だろう。」
俺ははあっさりと言った。 俺は小さいころ、記憶は曖昧だがここに入ったことは覚えていて、そのアンドロイドを見たことはあった。
「・・・この部屋に何用だ、亥族の者達よ。」
すると、突然後ろから男の声がして三人は振り返った。 そこいたのは、和風の服を着た男と男と同じく和風の服を着た小柄の男がいた。
「何だ、お前らか・・・。」
俺はため息ともに言ったら、小柄の男が急に腰にある二つの小刀を抜いた。
「貴様、夜紗宗兄者に向ってお前と呼ぶとは!」
小柄の男は威嚇しながら言った。 すると、夜紗宗は小柄の男の前に手を出した。
「お前は下がっていろ、正宗。」
「あ、兄者!」
「いいから、兄者の命令だ。」
男は小柄の男の方を睨んだ。 そしたら、大人しくなったか、小刀をしまった。
「・・・兄者がそういうなら、仕方あるまい。」
「・・・して、何用だ、亥族の者達よ。 ここは卯族の場所・・・貴殿らとは無関係・・・もし、おもしろ半分でここに来たのならば、即立ち去ってもらおうか。」
夜紗宗は俺達を睨んだ。 確かに遊びできたら追い返されるのはわかっているが、ここで下がったら面白くもない。
「どうする、洞豪?」
と真道がひっそりと話しかけてきた。 俺は黙ったまま考えていら、ひらめいた。
「話だけ・・・ならどうだ?」
「話か、ふむ・・・。」
夜紗宗は手を口に当てて、考え始めた。 離すだけなら
「いいのではないのではないですか、夜紗宗さん?」
夜紗宗達の後ろから女性の声がして、そっちの方に向いた。 いたのは、水色のロングヘアーをした女性が優しく微笑んでいた。 だが俺はこんな奴は知らない。 卯族にいたか?
「む、楓殿・・・。」
「か、楓さん。 しかし、この者達は、亥族ですよ? 我々には関係は無いのでは?」
「たとえ無関係でも、彼らは私達の味方は事実です。 話だけでもいいでは?」
「うむ・・・楓殿がそういうのなら、いたしかあるまい。で、話は?」
「そうだな・・・津輪葺を殺した犯人と妙な所を話てもらいたい。」
「うむ、我が棟梁を殺した犯人はいまだ分からんままだ。」
「この研究所を出た痕跡は?」
そう言ったら、夜紗宗は首を振った。
「ないとしか言い切れんな。 ここの部屋から出入りした痕跡は一切無い。 我々さえ、この部屋に入るのは禁じられている。」
「なるほどな・・・ハァ、あの人形師が・・・自分の幹部ぐらい出入りさせろってんだ。」
桐野はため息と同時に文句を言った。 俺も小さい頃入った時、ここに入るなって
「・・・で、妙な所は?」
「うむ、ちょっとこっちに来てもらいたい。」
そう言って、夜紗宗は歩き桐野たちは、その後に続いた。
「・・・これは。」
「割れて・・・いや、切られているな、綺麗に。」
言ったのはチャラ助だった。 俺たちが見たのは―HM 001―と書かれたタグの所だけのガラスが綺麗に四角形に切られていた。
「他の場所はまったく問題は無いが、なぜかここだけが切られていたのだ。」
「なるほど・・・。」
「・・・それで、話は終わりか?」
「ああ、邪魔して悪いな。 真道、チャラ助、戻るぞ。」
そう言って、桐野は先に部屋を出た。
「待てよ、洞豪!」
「俺たちを置いていくなよ!」
野乃木と久須磨は慌てて、桐野を追いかけ部屋を出た・・・。
2009/07/04 12:54 |
死亡(前編) |
―???―
「ストレートフラッシュ・・・オレの勝ちだな。」
「またかよ。 これで何敗目なんだよ、まったく・・・。」
真道は頭を掻きながら言った。
「俺が26勝9敗、真道が9勝26敗だ。」
「・・・聞かなきゃよかった・・・。」
真道はがっくりとしたため息を出して、俺は笑いながら「じゃあやめるか?」と言った。
「そうさせてもらう。 やれやれ、任務が無い日ってほんと暇だな。」
そうブツブツいいながら、椅子から立ち上がった。
「そうだな・・・。」
はっきり言ったら俺も真道と同じ気持ちだ。 任務が無い日は大抵、部屋にいるか暇つぶしに真道とポーカーしているが、最近はどうも暇だ。 そう思いながら、着ていた革の黒コートのポケットからタバコを出した。
「ころそこ、俺の部屋でタバコ吸うな。 においが染み付く。」
「分かったよ。 やれやれ、お堅い人でだな。」
そう言って俺は、タバコをコートのポケットに戻した。
「まったく、お前は・・・前に言わなかった?」
「悪かったよ、それよりいつものコーヒー。」
「・・・お前は本当に反省しているのか、洞豪? まあ、いいけど。ちょうど、のど渇いたし。」
真道は、戸棚から黒のマグカップを取り出して、コーヒーメーカー
そう言ってら、廊下から騒がしい声がして、その声はどんどん近づいてきた。 まあ、誰だかはすでにわかっているが・・・というかだんだん腹が立ってきた。 あの声を聞いているだけでもイライラする。 そんな中、ドアが乱暴に開いた。
「てへいんだ! てへいんだ!ていへんぜっせい、親分!」
馬鹿(チャラ助)が江戸っ子(?)みたいに慌しく言った。
「うるさいぞ、チャラ助。」
俺ははディムロを出し、チャラ助に目掛けて投げた。 チャラ助は慌ててディムロをかわして、廊下の壁に刺さった。 チャラ助俺に文句を言った。
「うわ、あぶな! 今のわざと? 絶対わざとだろ!」
「違う、ちょうどお前の所に、虫がいたんだ。」
本心は殺す気満々だったがな。
「だからって、自分の大剣投げるか、桐ちゃんは!? あと、顔に殺すの文字が出ているよ!」
いちいち、うるさい男だ。 というかうっとうしい・・・だから、俺はコイツが嫌いなんだよ。
「はいはい、そこまで。 洞豪、人の部屋でディムロを投げるな。あとで壁を直せよ。」
真道はあきれるかの様に言った。 俺は無言で指を鳴らしたら、ディムロは勝手に消えて、俺はコーヒーを飲んだ。
「で、一体なにが大変なんだ、卓志?」
真道は一回ため息をしてチャラ助の方を向いた。
「ああ、お前ら落ち着いて聞けよ。」
その前に走ってきて、ぜえぜえ言っているお前が落ち着けって言いたいがチャラ助にしたら、慌てようがおかしい。 そんなに大ごとなこと以外にコイツは騒がないのは俺でも知っている。 知りたくも無かったがな・・・。
「わかったから、一体何があったんだ?」
真道はめんどくさそうにため息を吐いた。 というか、何か任務のない日は大抵数十回はため息してしまう。
「実は・・・卯族の棟梁、津輪葺 減萄が・・・殺されたみたいだ。」
「なっ!」
「・・・間違いないか?」
真道は驚きを隠せないまま声をあげて持っていたマグカップを危うく落とそうとしたのに対し、俺は冷静でいった。 なるほど・・・道理で、この馬鹿(チャラ助)が騒ぐわけだ。
「ああ、俺もさっき知った所だ。」
「なるほどな。 で、犯人は?」
「それが・・・分からないみたいだ。」
「分からないだと? どういうことだ?」
チャラ助は珍しいことに歯切れの悪いかのように答えた。
「・・・犯人の痕跡とかまったくないんだ。 何処に逃げたか分からないままだ。」
「死体の傷口は? それなら分かるはずじゃあないのか?」
しかし、チャラ助は首を振った。
「それが、死体はバラバラに切断されていたんだ。それに・・・妙なんだ。」
「妙?」
「聞いた話じゃ、その死体は手、足、指、首、顔、肩、耳、鼻とか、色々な部分が綺麗に切断されていたんだ・・・。」
「・・・。」
さすがに俺でも驚きのあまり言葉を失ってしまった。
「・・・なあ、死体の見つかった場所って、奴の研究室か?」
「え? そうだけど・・・なんで分かった?」
「やっぱりか、チッ、あのクソッタレ人形師が。 棟梁でありながら自分の作った人形に殺されたのか。 情けない奴が。」
そう文句を言いながら少しゆるくなったコーヒーを飲み干して、椅子から立ち上がってドアのそばに掛けていたぼうしをかぶった。
「わかったのか、犯人?」
真道が聞いて来た。
「誰かは分からんが、大方はな。 とりあえず、俺は研究室に行く。 真道とチャラ助は?」
「俺も行く。 どうせいたっても暇なんだしな。」
「俺も。 いろいろと情報・その他もろもろ集めないとな。」
その他って一体ほかに何を調べる気だ、コイツは・・・? まあ、とくに気にはしないがな。
「じゃあ、行くか。」
そう言って、俺達は部屋を出て、卯族の棟梁の研究室に向かった・・・。