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新者の雑記置き場

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2010/04/02
23:00
二つの願い

―三丁目の空き地―

僕達はすぐに三丁目の空き地に戻ったら、複数の狼がいてすでに二人の軍の人が襲われていた。 見ていた人は脅えながらも動けない状態になっていて、テレビ局の人は声を震えながらも必死に現場の事を言っていた。

「くそ、またこいつらか! 警察側は民間人をいそいで避難所まで行かせて、軍側は向かい撃ち、増援を呼べ!」

一人の軍の人が言ったら、みんな一斉に動き出して数十名の警官が見ていた人たちを避難所まで行かせて離れていき、五人の軍の人が持っていたマシンガンで闇の死者と対抗した。

「みなさん、緊急事態が発生したので急いで、落ち着いて避難所に行ってください!」

警官が大声で言いながら見ていた人たちを避難所に連れて行こうとした。 

「グオーーー!!」

「うわ!?」

一匹の狼が一人の軍の人に襲いかかろうと飛び出たら、夜野さんが前に飛び出して長刀を鞘から抜き、狼は斬られて黒い塵となった。 夜野さんは後ろに振り返った。

「あんたらもさっさと避難しろ! ここはまかせろ!」

「君達も民間人ではないか! ここは軍にまかせて!」

そう言っている間に黒い狼が夜野さんに襲い掛かってきたが、夜野さんが素早く前を向き、持っていた長刀で斬った。 

「そんなことを言っている暇があるのなら、さっさとどけていろ! 死にたいか!」

「君達こそ、死にたいのか!? ここは今、民間人が来る場所じゃあない! 軍や警察に任せて早く避難してください!」

軍の人が反論したら、夜野さんは歯を食いしばり軍の人の胸倉を掴んで、自分の顔の前に思い切り引っ張った。

「俺達は遊び半分でここにいるんじゃない! 俺たちはあんたらと同じ人を救いためにここにいて戦うんだ! あんたらも死なすわけにはいかないんだよ! あんたらが死んだら悲しむ奴だっているんだぞ!? それぐらいわかるだろうが!」

夜野さんは銃声にも負けないぐらいの大声を出した。 そんな、怖いところを涼たちは見て僕の背中に隠れて服を掴んできた。

「我々だってこれ以上犠牲者を出さずに・・・!」

「炎睡(えんすい)「安」。」

すると、軍の人たちが赤い球に包まれていきフワフワと空中に浮いていった。 五人の軍の人は動揺して暴れたがしたがすぐに静かになって気持ちよさそうに眠った。

「鏡、彼らに何言っても聞かないだろう。 彼らにも己の意思があるからな。 だが、これでやり易くなったな。」

神野さんはちらりと赤い玉の中にいる軍の人たちを見て、すぐに狼達の方に視線を戻して構えた。

「行くぞ、龍木!」

―ああ!―

「俺達も続くぞ、昌二!」

―わかっている・・・龍木達の遅れはとらん!―

神野さんが走り出したら、夜野さんも続いて走り出し狼達がいる所に突っ込んで行き、狼達も一斉に動き出した。

「涼たちは避難して! 僕は戦う!」

「私達も・・・!」

「今のままじゃ無理だ! まだ一度も武器を持った事もないのにのにいきなり実戦だったら死んでしまう!」

正直に言って、僕は涼たちには戦ってほしくはなかった。 この前の夜のときは思わず言ってしまったが本当は彼女達が傷つくのが怖いのだ。 それに、彼女達が武器を持った所で最悪な事態が起こってしまうことになるかもしれない。

「それでも戦う! あの時、私達は戦うって決めたの! だから!」

―前を見ろ! 来るぞ!―

突然、レグリーが叫ぶように言った瞬間僕は前を向いたら。空間から一つの亀裂が現れてそこから黒い狼が飛び出て僕を襲う。 僕はフィードを振ろうとしたが、狼の横から人化したエミが手のひらにある黄緑色に輝いている光の球を狼の横腹に当たり吹っ飛ばされて壁に衝突したら黒い塵となって消えた。

―余所見はしないでください。 戦闘中なんですよ。―

「すまない、エミ!」

エミに言われた僕は気を取り直して、フィードが手元に現れ、握ったら刃を地面に向けて

「召喚(カオス)!」

言った瞬間、僕の真後ろから緑色の魔法陣が現れて、そこから全長二メートルの鷹、カゲロウが出てきた。

「ピイイイイィィィーーーー!!」

カゲロウは高く鋭い鳴き声を出して翼を羽ばたいた。

「カゲロウ! 一体化!」

僕はフィードを高く上げたら、カゲロウがフィードに突っ込んできて一体化となっていき、フィードの刀盤に羽が生えていて、刀背の所がギザギザになった。

「とにかく、早く避難して! 行くよ、エミ!」

―わかりました。―

僕とエミは敵のほうに向かって走った。一度、ちらりと涼たちの方に視線を向けたら二人は一向に動く気配はなかった。 ただ僕の方をみていただけ。 僕は戻ろうとして体を回転しようとしたが狼達が僕達に襲い掛かってきた。


((私達も・・・守れる力があれば・・・。))

二人は思った。 自分にも守れる力があればと思った。

((おねがい・・・私達に・・・守れる力を・・・みんなや・・・世界や・・・。))

二人は願った。 自分の守れる力があれば多くの人を救いたいと願った。 そして、二人は世界や・・・

(お兄ちゃんを・・・) (にいにいを・・・)

この世で一番大切な人を守る為にも・・・。

((守れる力を・・・!))

二人は強く、さらに強く思い、願った。


「グオオオオーーーー!!」

僕が涼たちから離れている隙に二匹の黒い狼達が涼たちに向かって走っていた。

「涼、洋!」

―瞬様! くっ!―

僕は急いで、振り替えて走り出したが、距離は狼達のほうが近かった。 僕は諦めずに走り続けたが前から亀裂が現れてまた狼達が出てきて僕の進路を妨害した。 だけど、僕は止まる気なんて一つもなかった。 今止まってしまえば、涼たちは無事にすまないし、殺されるかもしれない。 そんなこと僕が絶対にさせない。 大事な家族・・・妹を傷つけはさせないと。 そう思って狼たちの間を走りぬけようとしたら。

「え・・・?」

突如、僕は何が起こったのかわからないまま声を出してしまった。 突然、涼たちの周りから炎と吹雪のような竜巻が出てきて狼達が黒い塵となった数秒後、僕の前に居た狼たちが竜巻の中から炎と氷の斬撃にあたりその場で黒い塵となった。 僕は突然の出来事で、何が起こったのか理解できずに立っていた。やがて、竜巻は無くなって行ったら涼と洋がいた。 だけど、一点だけ違う所があった。 彼女達の手だ。 いつの間にか彼女達の手には薙刀が持っていた。

「これが・・・私達の武器?」

二人も突然出てきた事に驚いて薙刀をジロジロ見た。 今のはさすがに僕でも驚いている。 

―瞬、ボーっとするな! 左右から来るぞ!―

レグリーが叫声をあげて、僕は慌てて左右を見たらそれぞれ一匹の狼が僕の方に向かって襲うとした。

「「やあー!」」

すると、それぞれの薙刀の刃が、涼が赤く燃えるように、洋が青く冷たいように光って、掛け声と共に振り下ろしたら涼からは炎の斬撃、洋からは氷の斬撃が放たれて左右にいた狼に当たって黒い塵となった。

「私達にも・・・できたの?」

二人は再び、驚きながら薙刀を見た。 そして、僕の方に顔を向けた。

「お兄ちゃん・・・見たでしょう、今の? 私達も戦うの。 みんなの為にも、世界の為にも・・・お兄ちゃん達と一緒に戦う。」

涼は真顔で言ったら洋も真顔で頷いた。 そして、彼女たちの本気をひしひしと感じた。 僕は一回息を吐いて何も言わず振り返った。

「わかった・・・だけど、危険の時になったら僕は守るからね。 何としても・・・。」

僕はそれだけを言って、また狼たちの方に走った。 全く、何で毎度彼女達の本気に負けるのかね僕は・・・。 妹に負ける兄として少し情けないと僕は思った。


どれだけ時間がたったのかはわからない。 今は時間なんて気にはしてなかった。 だけど、狼たちの数がちゃくちゃくと減っているのはわかる。 このまま終われば磯かに願っていたがそういうわけにはいかなかった。

―む?―

すると、レグリーが声をあげたら、また十数の亀裂が現れた。 また狼達かと思えば違っていた。 出てきたのは黒いスライムが出てきた。

「こいつは・・・初めて見るタイプ・・・レグリーこいつら、うわっ!」

僕がレグリーに聞こうとしたら、スライムみたいなのがいきなり、体から液体を飛ばしてきて慌ててかわしたが、僕が立っていた場所にあった、雑草がゆっくりと溶けていった。 かわすのが遅かったら、僕の体はとけてしまってたかもしれないと思い、僕は思わず、息を飲み込んだ。 その後もスライムたちはどんどん液体を飛ばしてきた。 

「このっ!」

僕は液体をかわしながら一体のスライムの前まで来て剣を振ろうとしたが。

―待て、瞬! こいつらには攻撃は効かない!―

急にレグリーの声がしたが、遅かった。 僕は剣を振って、スライムの体は斬れたがすぐに引っ付いた。 さっき僕の目で見た光景が正しいのなら、スライム自ら体から引きちぎったかのようにかわして、再び引っ付いたのだと思う。 すると、他のスライムが液体を飛ばすのを気づいて慌てて避けて距離をとった。

「なんなの、こいつらは!? レグリー!」

―叫ばなくても聞こえてる。 こいつらは中下級のモンスター、スライムタイプだ。 ウルフタイプと違って、奴らは物理攻撃を全て効かないから剣を振っても意味はない!―

「じゃ、どうすればいいの?」

―こいつらは魔法攻撃ならば一発当たれば死ぬ。 魔法攻撃はできるな?―

レグリーがそういい、僕は自身ありで頷いた。 魔法攻撃なら僕にも簡単にできるし、弱点さえ分かればこっちのものだ。

「もちろんだ! くらえ、スパイラル・ショット!」

フィードから風が螺旋状態になっていき思いっきり突きつけたら、螺旋状態になった風がものすごい勢いで飛んでいき、一匹のスライムに当たってスライムは飛ばされたら黒い塵になっていった。

「よし、このまま一気に行くぞ!」

 

―マンション 屋上―

瞬達がいる三丁目の空き地からほんの少し離れた所、二人の人間が四階建てのマンションの屋上から空き地の方を見ていた。 

一人は真っ黒な長袖の服の上に肩まで切り取った青のジャケットを着ていた少し男顔にしている女で腰には二メートル近くの黒い鞘が輝いていた。 もう一人は背が高く体が黒くて顔が白い肌をして、青黒のコート着た男で数日前、龍達と戦ったハゼルド・バルガだった。

「ふっ、ただの人間共にしてはいい動きをしているな。 あの子供も、この前と戦っている時より、少しは強くなったか・・・。」

「・・・。」

ハゼルドが静かに笑う中、女性はただ黙ってその戦いを見ていた。 

「他の連中・・・特に、あの二刀流を扱う人間もかなりいい動きをしていて、いい血の香りがする・・・それもかなり極上だ。 ぜひとも相手をして喰らい尽くしたい。」

「・・・そんな事はどうでもいい。 ハゼル、あの人間の子供の中に?」

女性が言ったら、ハゼルドは頷いた。 女性が見ているのは、瞬の方であり他のは見てはいなかった。

「そうだ、あの子供の中に・・・盟友だった男がいる・・・。」

「・・・。」

「会わないのか? お前もアイツに会いたいのだろう・・・ミシェナよ・・・。」

「・・・。」

ミシェナという女性は何も言わず、ただ瞬の方にじっと見ていた。 ハゼルドはふうっと疲れるかのように息を吐いた。

「む?」

するとハゼルドは何かに気づいたのか首を後ろの振り向いたら、屋上の扉が勢いよく開けられて二人の軍の男がやってきてハゼルド達に気が付いた。

「あなた達、何やっているのですか! 避難勧告は出されているのですよ! 早く避難してください!」

先頭にいた男が叫びながら言った。 男二人はこの二人が闇の死者だと当然知らない。 やがて、ハゼルドがニヤリと口を歪めながら体を男達の方に向けた。

「・・・運のいい男達だな・・・。 お前達はこの世界で始めて・・・俺が喰らう男だ。」

「何を・・・。」

先頭に居た男が言ったがそれ以上は喋らなかった。 ハゼルドの体から一斉に無数の狼の顔が出てきて男の体中を喰らったからである。 グチャグチャと血を垂らし、飛ばし、肉片をこぼしながら喰っている光景に、一緒にいた男が恐怖のあまりにガタガタと震えながら腰を抜かし、その場で尻をついた。

「ふむ・・・あまり、うまくもまずくもないが、歯ごたえがあまりないな・・・。」

ハゼルドは呑気に感想を言って、喰らい終わったのか狼達が一斉に体の中に戻って行った。 喰われた男の肉体は跡形もなくなって喰われて、男の血だけが残った。

「こ・・・こちら9マイン! き、緊急事態!」

―どうしたんだ! 何が起こったんだ!―

「ば・・・化物・・・化物人間がいる! し、至急・・・。」

男が言いかけたら、ハゼルドが口を開いた。

「うるさい奴だな、そんなに喰らいたいか? そう望んでいるのなら・・・遠慮なく・・・骨ごと喰らい尽くしてやろう!」

ハゼルドは両腕を広げたら、前上半身から、黒い糸が数本出てきて男の体中に引っ付いた。

「た、助けて・・・うああああああ!!」

男は逃げようとしたが、刹那。 男は思いっきり引っ張られると、ハゼルドの上半身から何かの口が大きく開けられてそのまま喰われて、男の血が回りにちり、グチャグチャと音をたてながら喰っていった。

―どうした! 応答せよ! 9マイン! 応答せよ!―

男が持っていた通信機からの声がむなしく響いて、誰一人答えるものはいなかった。 やがて、喰い終わったのか口はを沈んでいき元に戻った。 

「・・・こちらの方がうまいな。 まあ、歯ごたえはないがな。」

ハゼルドはまた呑気に感想を言った。

「で、まだ行かないのか? 人間共がくるかもしれんぞ? まあ、その時は俺が喰らい尽くすまでだがな。 もしかしたら、いい者が喰らいそうだからな。」

ハゼルドが首だけを向けて言ったが、ミシェナは動かず言った。

「もう少しだけ・・・終わってから動く・・・。」

そう静かに言ったら何も言わなくなり、目を瞑り胸に手を置いた。

(レグリー・・・貴方は本当に・・・そこにいるの?)

 

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2010/03/23
23:59
異世界人、再び。

―桜咲宅―

「う・・・。」

目覚ましがなる中、僕は目を開け視界がぼやけていたから目を擦り、体を起こした。

「朝か・・・早いな・・・。」

さっきまで、心の中にいて、レグリーと話していたせいかそんなに時間がたってない気分だった。 僕はベットから降りるその前に左右を確認した。  

「・・・。」

僕は朝絶対にやるため息をした。 そう、また忍び込んでいる妹二人にたいして。

「またか・・・なんで飽きずに毎回毎回僕のベットに潜り込むのかな・・・。」

僕は手を頭に置いて疲れる声で言った。 自分たちのベットがあるのにどうしてこう毎日入ってくるのかな・・・本当にこの時だけ何を考えているのかさっぱり分からない。

「う・・・ん?」

すると洋が、微かなうめき声を出して目を擦りながら体を起こした。

「あ・・・おはよう、にいにい。」

洋が挨拶したが、僕は慌てて視線を逸らした。 なぜなら、パジャマのボタンが全開に開いていて、今でも胸が見えそうだったからだ。 というかなんで全開になっているの!?

「よ、洋! 前のボタン閉めて! 見えているから!」

僕は慌てながら言った。 というか早くしてほしい、本当に! 所が、洋はしばらく特になにも言わなかった、と思いきや急に僕の手を握ってきた。

「私は、にいにいに見てほしいな。 妹の体がどれぐらい成長したのか・・・見てほしいな。」

と、なぜか恥ずかしそうに言った。 何を言っているのだ、この子は! 確かに小学校の三年生ぐらいまで一緒にお風呂入って体を見てきたけど、僕らはもう中学生だし、いくら兄だからって中学生になった妹の体を見るわけないだろう! 

「そんなことを言うんじゃない! 早くしなさい! あと、涼と一緒に早く部屋から出て!」

「ええ~・・・。」

「ええじゃあない! 早く!」

「・・・わかった。」

洋は少し落ち込んだ声で言って、しばらくしてベットから降りて寝ている涼をおんぶして部屋から出て行った。

―いつも、朝はこんな感じなのか?― 

すると、どこからか聞き覚えのある男の人の声がした。 背後を見たら、幽霊のように透けていて空中を浮いている男、レグリーがいた。 だけど、僕は驚くどころかその場でため息をした。 驚く事がたくさんあったせいか、そんなには驚かなくなっている。 驚かない自分もどうかと思うけど。

「うん・・・まあ・・・もしかして、見てた?」

―ああ、もちろん。 一部始終な。―

それはある意味落ち込むかも。 こんなの家族以外恥ずかしくて見られたくもないのに・・・と、落ち込んでいる中、ちらっとレグリーの顔がにやけたのが見えた。

「・・・楽しんでない?」

―いいや。―

彼は言ったが絶対に嘘だ。 顔が明らかににやけているのが楽しんでいるのに何よりの証拠だ。 

―さっきから誰に話しているのですか?―

すると、ベットの下から声がしてそこから黒猫・・・エミが出てきた。 何故彼女ベットの下から出てきたのか、彼女は昨日、佳奈美さんにきつく抱きしめられたせいでかなり体を痛めたから僕が手当てをして、猫二匹ぐらい入れそうな小さいカゴ(昔使っていた木造のカゴ)中にクローゼットにしまってあった昔使っていた小さい布団をひいて誰にも見つからないベットの下に入れたからである。 事実、ベットの下は掃除意外は誰も見ないし、結構綺麗なだった。

「エミ・・・おはよう。」

―おはようございます。 それで、さっきから誰と話しているのですか?―

挨拶したエミはさっき言った言葉を言った。 正直道答えたらいいのか、分からない。 レグリーの声はエミと同様、僕以外には聞こえないし。

(どうする?)

僕は視線を逸らさずにこっそりとレグリーに聞いてみた。 レグリーはあごに指を当てながら考えて、五秒ほどたって彼は言った。

―アンタ、ちょっとエミの頭に手を置いてくれないか?―

レグリーがそういうと僕は頷き、エミの頭に手を置いた。 猫になっているから、頭がほふほふしているから気持ちがいい。 

―俺の声が聞こえるか?―

すると、エミの耳がピクリと動いた。

―レグリー様・・・あなたでしたか。―

―まあな。 数日かけて、やっとコイツの脳にリンクすることが出来たんだ。― 

「数日って・・・。」

―そういえば、言い忘れていたが俺が引っ込んだ後、ずっとアンタの脳にリンクしていたのだが思ったより時間がかかってしまってな・・・―

そういうことは早く言ってよ。 心の中ではそんなこと一言も言ってないじゃん。

―それはお疲れ様でした。 ということは、レグリー様も瞬様をお守りいたすのですか?―

―まあな。 コイツは力はあるが、まだまだ未熟者だ。 この先なにがあるのか不安もある。 だから俺もコイツを守らないといけない。 お前もしっかり守れよ。―

―分かっています、レグリー様。―

エミは強く頷いた。 レグリーはもういいぞっと言ってエミの頭から離れた。 二人の会話が終わり、エミを置いて、僕は洗面所で顔を洗ってリビングに向かった。 リビングに行ったら、母さんがいつもどおりに朝ごはんを作っていた。 ウインナーの香ばしい匂いがする。

「おはよう、母さん。」

「おはよう、瞬。」

と、お互い挨拶したがなぜか母さんが僕の方をじぃっと見ていた。

「どうしたの?」

「う~ん・・・何だか瞬の雰囲気が少し変だなって思ったのよ。」

それを言うと、僕は心の中でビクッとした。 まさか、気づかれたのかって一瞬思った。

―アンタの母親って微妙に鋭いな。―

レグリーは顔をニヤニヤして言った。 いいから、あなたは引っ込んでもらえないかな、本当に。

「ま、気のせいよね。」

母さんは笑っていって、戸棚からお皿を取り出した。 僕は母さんに気づかれないようにほっと息を吐いた。 

「うん?」

すると、テーブルの上にある新聞に大きく載っている記事を目にして、その記事を読んだら驚いた。 載っている場所は三丁目にある広い空き地である。 その空き地が酷い光景になっていた。 壁や地面には引っ掻かれたような大きな爪痕みたいなものがあって、木も見事に切られていた。

「母さん、この記事って・・・もしかして闇の死者―ダーク・デット―がやったのかな?」

僕がそう言うと、母さんは僕が思ってた事と違った事を簡潔に言った。

「いいえ、違うわ。」

母さんは、一旦火を止めてキッチンから離れた。

闇の死者なら、この機械はが反応するのよ。」

母さんはポケットから何かの機械を取り出した。 その機械は真ん中に赤いランプがあってちょうど手のひらぐらいの大きさだった。

「この機械はクレトアさんからもらって、闇の死者が現れる直前になるセンサーなのよ。 昨日の晩はこのセンサーは反応はしてなかったのよ。」

「つまり、このセンサーが反応しなかったことはこの記事は闇の死者の仕業ないって事・・・?」

母さんが黙って頷いた。 ちょっと待って、じゃあ・・・これって一体誰の仕業なんだ? 十二族はまずありえなそうだし、闇の死者でもない。 じゃあ一体誰が? すると、母さんが口を開いて言った。

「たぶん、また現れたのでしょうね・・・別の世界から来た者・・・異世界人が・・・。」

その時、一瞬だったが目の前が真っ暗になりそうだった。


―三丁目 空き地―

僕は朝食を食べて、十分ほどしたら三丁目の空き地に向かおうと家を出ようとしたが、涼と洋がついてくるって言って来くるし、外に出たらいつ部屋から出てきたのかエミが待ち伏せかのようにいてついてくると言って来て仕方なく三人と一匹で現場へと来た。

現場の方は思った以上に人が多くいて、テレビ記者たちもいたから、肝心の空き地の方が殆ど見えない。 すると、視界の隅に見覚えがある二人の男の人がいた。 一人は左右の腰に刀があって、一人は背中に長刀があった・・・というか見覚えあり過ぎる。

「あなたは・・・神野さんと夜野さん?」

僕は一応言うと、二人の男の人が気づいてこちらの方に顔を向けた。

「君は・・・オージさんの息子さんか。」

「もしかして神野さん達も?」

僕が言うと、二人は頷いて夜野さんが言った。

「ああ、今朝の新聞を見たら驚いてな。 いそいで来たのだがこの通り、野次馬が出来ていたのさ。 中の様子とか見えないのだよ。」

「とりあえず、ここで話すのはまずい。 少し離れてから話そう。」

と神野さんが言った。 確かに万が一ここの誰かに聞かれていたら面倒なことになるかもしれない。 僕は頷いて、一旦空き地から少し離れた。 

「神野さん達はあれって闇の死者がやったと思いますか?」

僕は一応言った。 母さんは異世界人がやったかもしれないって言っていたけど、僕はあんまり信じれなかった。 母さんの言葉が信じられないのではなく、また異世界人が現れたのが信じられなかったのだ。 正直な所、信じたくなかった。 

だけど、神野さん達は首を振った。

「いや、これは闇の死者ではない。 たぶん、どこかの異世界から来た人達だろうな。 断言はできないがな。」

神野さんが腕を組んで言った。 僕は落ち込むの様に顔を下に向けた。 わかってはいたけど、本当にまた異世界人が来たのかと思うと流石に落ち込む。

「そう落ち込むな。 俺の世界でもこんな事があった。 その時の俺も正直、異世界人の事なんか全く信じてなかったしな。」

夜野さんは励ますように言った。 確かにあの時、父さんとお風呂に入っていた時、話していた異世界人の事は半信半疑の思いだった。 いきなり、異世界人が来たなんて信じない人もいるし、信じる人もいる。 だけど、今の現状ではもうおかしくはない。 十二族、真奈美さん達、神野さん達、光の裁判官―ライト・ジャッジ―、闇の死者の様々な異世界人に会った。 今更だが、今でも信じない自分もどうかと思っている。

すると、後ろから服が引っ張られるのを感じ、後ろを見たら涼と洋が不安そうな目で僕を見つめていた。

「お兄ちゃん・・・。」

不安そうな二人に僕は二人の頭を撫でた。

「大丈夫だよ、涼、洋。 必ず・・・終らしてみせるよ。 これ以上・・・この世界の人達を失わせない為にも・・・傷つかない為にも・・・。」

僕は心強く言ったが、はっきり言ったらこの戦いがいつ終わるなんかは僕にも分からない。 だけど、ならべく早く終わらしたい。 これ以上、みんなを傷つけさせないためにも・・・。 すると、神野さんが口を開いた。

「苦しんでいるのは、君たちの世界だけじゃない。 他の世界だって苦しんでいるんだ。 君たちと同じように大切な物を失わないように戦っている人もたくさんいる。」

それは分かっている。 苦しんでいるのは僕たちの世界だけではないのは僕にだって分かっている。 他の世界の人達だって失いたくない・・・守りたい人がいて、そのために戦う人がいる。 父さんや僕や神野さん達だって同じだ。

「でも、神野さん達は・・・自分たちの世界を守らなくてもいいのですか?」

そう言うと、神野さんは少し微笑んだ表情をしながら言った。

「守りたい気持ちはあるが・・・今、俺たちの世界には心強くてとても信頼できる人達がいてね、その人たちはオージさんの知り合いで俺達よりも遙かに強い人達だ。 俺達も当然守ろうとしたが、「君達は別の世界を守ってくれ。 これも別の世界の守るという「意味」と「経験」がある。」って。」

彼は言ったが僕にはあまりよく分からなかった。 僕は異世界がどんな世界なのか分からない。 だけど、その人の言っていた「意味」や「経験」をしたら、たぶん僕にも分かるのでないと思う。 すると、黙っていた洋が口を開いた。

「あの、神野さん達って父さんの事をオージって呼ぶの? 名前は龍なのに。」

洋が言った瞬間、二人は険しそうな表情となった。 

「・・・悪いけど、それだけは絶対に言えない事なんだ。 本人の口から聞けばいいが、あの人は絶対に」

神野さんが言っている時。

「きゃあああああ!!」

突如、空き地の方から悲鳴が聞こえたと同時に近くからブザーの音がなった。 神野さんのポケットからちかちかと赤い光が光っていた。

「闇の死者か!」

神野さん達はいそいで悲鳴のしたところに走り出した。 そして、僕もそれに続いて走った・・・。
 

2010/03/11
01:14
僕との初対面

―???―

その後は、何事もなく家に帰って来た。 御飯を食べて、風呂に入って、眠たかったのか僕は部屋に戻ったらすぐにベットに入り眠った。

「・・・。」

僕が眠っている中、誰かの声が聞こえた。

「・・・ろ。 お・・・ろ。」

徐々に声が聞こえ始めた。 この声は・・・男の人かな? 父さん・・・ではないし。 この声は僕の知らない声だ。 

(・・・誰だろう・・・?)

僕はゆっくりと目を開けようとした瞬間。

「起きろ!」

「うわっ!」

突然、耳元から大きな声で言って僕は飛び上がるようにがばっと起き上がった。 後ろを振り向いたら、足元までとどいてる黒いロングコートを着た若い男の人がいた。

「おいおい・・・人の顔を見た瞬間に驚くのは失礼だと思うぞ・・・。」

と、男はあきれたと言わんばかりのため息をした。 僕は周りを見回したら、覚えのある場所にいた。 物も地面も空も何もかもが白いこの場所。 ここは僕の心の中だ。

「ご、ごめんなさい・・・あの・・・あなたは?」

「ああ・・・そういえばまだ俺達こうやって顔を合わせるのは初めてか・・・。」

「俺はレグリー。 闇の死者―ダーク・デッド―の「黒風」、レクルグリームカント・ギャレッド。 名前長いから、レグリーでいい。」

彼がそう言ったら、僕は何も言わずに警戒した。 

「そんなに警戒はしなくていい。 俺はもう闇の死者じゃあないし何もしない。 というかアンタが死んだら俺も死んでしまうからな。 まあ、俺はもう死んでいたけど。」

警戒しているのに気づいた彼は爽やかそうな顔で言った。 とりあえず僕は警戒をといたが、彼が闇の死者だからまだ半信半疑な思いだった。 そんな中僕はエミの言っていた言葉を思い出した。 

「レグリーって、エミが言ってた・・・。」

「そ、俺はアンタ、アンタは俺・・・簡単に言うともう一つの人格だ。 あと、エミを召喚した張本人さ。」

「僕は・・・桜咲 瞬です。」

「そんなに堅っくるしい言い方はしなくてもいいぞ。 同じ自分に言っていて気味が悪い。」 

彼は本気で嫌な顔をして言った。 それはそうでも、気持ち悪いはなんか傷つく言い方だと思う。

「しかし、ようやくアンタとリンクができたよ・・・我ながら苦労したよ。 まったく。」

「リンク?」

「ああ、アンタの脳に直接俺の魂そのものをリンクしたんだよ。」

「俺の・・・魂って・・・?」

「そういえば・・・まだアンタには話してはなかったな。」

レグリーはなぜ僕の心の中にいた事をすべて話した。 そして、話が終えた時には僕はすでに半信半疑な気持ちが無くなっていた。 

「そうだったのですか・・・じゃあ、君たちが眠っている六つの棺桶みたいな物は・・・。」

「そ、あれは、みんなどこからかきた死んだ者たちの魂さ。 どうして、形が再生しているのかはわからんがな。」

「形?」

「体のことだ。 アンタの心の中に入って俺たちはあのせまい機械のような棺桶にいたのさ。 すると、知らないうちに形が生きていた時の形にもどっていたのさ。 不思議なことに。」

「まあ、正直言って、元の形が再生されて久しぶりに自分の体にいていい気分だがな、これが。」

彼は少し嬉しそうに言った。 一度死んでしまって生きていた頃の体が完全に再生されるって一体どうなっているのかな、あの謎の機械の棺桶。

「おお、そうだ。 すっかり話がそれてしまった。 俺の魂がアンタの脳にリンクしたから、いつでも人格が変われるし、俺の声も聞こえるし、俺の力のほんの一部が使えるようになった。」

「君の・・・力?」

「そ、俺の力は「黒風」って言ってな。 武器・動物が自由自在に創れて、体の再生もできる。 あとこういうのもできる・・・。」

そう言って、そばにあった石を掴み上に軽く投げた瞬間。

「黒風・・・。」

何かを呟いたら、突如、石が黒い球体に呑み込まれていくかのように包まれていき、黒い球体が消えたら石は跡形もなく消えてなくなった。

「このように敵を闇に飲み込むことが出来るのさ。」

「す・・・すごい・・・。」

「よせよ、照れる。」

彼は照れ臭そうにしながら、頬をかいた。 正直な所、本当に驚いていた。 さっきの石が一瞬で出てきた闇の球体に飲まれて一瞬で消えていったのだ。 瞬きしていたら見逃してしまうほどの早さだ。

「あ、でも使えるのは本当に一部で、あれはたぶん出せるのは限界まで二発までだ。 動物は無理だけど武器も剣か銃しか出せないかもしれない。」

「あと重要な事だが、「黒風」をコントロールするには非常に難しい。 素人があまり無茶な使い方をすると、暴走してコントロールが利かなくなって闇に呑み込まれて消滅する。」

「それって・・・本当なの?」

僕は一応、聞いてみたら彼は黙って頷いた。 一瞬、想像してしまったがあまりにも怖すぎてゾッとしてしまってすぐにやめて、あのことを聞こうとした。

「そうだ、一つ聞きたいことがあるの。」

「何だ?」

「レグリーがまだ生きていた頃、キリアっていう人、知らない? 同じ闇の死者の人間だから・・・。」

「いや、知らん。」

僕が言いかけたら、レグリーは以外に簡潔に答えた。 

「闇の死者のヒューマンタイプにはそんなやつはいない。 ヒューマンタイプは不老不死だから誰かに殺されない限り死なないんだよ。」

「ヒューマンタイプって?」

まだ、聞いたことのない名前だ。 ヒューマンは確か・・・翻訳すると「人間」の事だ。 

「闇の死者の最上級のものだ。 俺達みたいなヒューマンタイプはめずらしくて十人までにしかいないのだ。 上級の集団を軽く消せる強いタイプだ。 普通の人間でも何万人いたっていともかんたんに消せる強さだ。 この前、アンタと戦ったハゼルドだってそうさ。 アイツの強さはかなりだ。」

彼が言ったら、僕は再びゾッとした。 僕達はそんな強い奴を相手をしたのか。 もし、ハゼルドが人が多い所に出てたら間違いなくその近くの人たちは殺されていただろう。 たとえ軍が来たとしても、返り討ちにされてしまう。 あの時、周りに誰もいなくて助かったかもしれない。               

「じゃあ、この前現れたハゼルドも・・・?」

僕は一応聞いてみたら。

「・・・ああ。 アイツも、俺と同じヒューマンタイプだ・・・。 そして、俺の盟友だ・・・いや、今じゃあもう・・・だった、だな・・・。」

彼は少し暗そう・・・というかどちらかと寂しいそうな顔をして言った。 彼も闇の死者で仲間が大切な気持ちも僕にもわかる。 そんな中僕は一つ思ったことがある。

「そういえば、君の魂は僕の脳にリンクしたんだよね?」

「そうだが、それが?」

「それなら、なんで「裏人化」の僕は脳にリンクしないのかな?」

そこがちょっと気になる。 「裏人化」の僕は、レグリーより前に目覚めたのだ。 だったら「裏人化」の僕も脳にリンクするのではないのか?

「それは知らん。 聞くのなら本人に聞くのが手っ取り早いと思うぞ。」

そう彼は言った。 確かに本人に聞くのが早いけど肝心の本人がこの場にいない。 どうしようかっと思った瞬間、急に目の前の光景がゆっくりっと歪み始めた。

「おっと、そろそろアンタが目を覚ます頃だ・・・。」

彼が言ったら思い出した。 そういえば、初めてここに来て帰る時、歪みが発生したんだっけ。

「じゃあな。 起きたらまた会おうな。」

彼はそう言って、小さく手を振った。 僕も手を振ろうとしたが、すぐにに意識が失って手は振れなかった・・・。
 

2010/03/03
23:59
少女達の真実

―喫茶店「茶屋」―

「そして私たちは・・・この世界にやってきた。」

「・・・。」

まさか、こんな過酷なことがあったなんて。 僕は改めて異世界の事に驚いた。 智東さんは話を進めた。

「その後は私たち気絶していたから分からないけど智東家のご老人に聞いたところ、冷たい雨の中・・・今年の二月ぐらいかしら。 たまたま通りかかった智東家のご老人に助けてもらったて言っていたの。」

「その時の私たちは、ちょっと不安と恐怖感あったかな。 全く知らない世界にいて、全く知らない人達がいるから、どう生きていったら分からなかった。」

それもそうだ。 彼女達にとっては右も左もわからない世界だ。 それに彼女たちはまだ僕と同じ子供。 不安はあって当然だ。

「けど・・・おば様やおじ様に私たちの事を話したら、「その大切な人が迎えに来るまでここにずっといなさい。」って言われたの。 とても優しかったし、暖かい言葉で本当に嬉しかったの。」

「私たちの世界では追い返されるか、体を張って働かされるのが当然だったから、あんなに優しく言われたの家族と友人以外初めてだった。」

「でも、本当によかったの? クレトアさん、君達の事を・・・。」

言いかけると、智東さんは首を振った。

「ううん、いいのよ。 私もクオン・・・佳奈美も、ここにいたいと思っているの。 一時はクレアが迎えに来てくれたらこの世界から離れようと考えたけど、おば様やおじ様、学校の人達、そして・・・この町のみんなの人達の優しさや暖かさにふれあっていたら、何だか・・・この世界の人達を守りたいと思ったの。」

すると、智東さんははっとして黙り込んだ。 しばらくすると、急に頭を下げた。

「・・・あの、ごめんなさい。 その・・・あなたの事を殺そうとしたこと・・・本当にごめんなさい。」

彼女は暗い声で言った。

「いいよ、もう気にはしてないから。」

僕は笑顔で言い返した。 とは言ってもさすがに今は気にしてはいる。 今はそう簡単には消えないがその内消えると、僕は思う。

「所でさあ、クレトアさんといた時、話した黒いフードをかぶったという男ってどんな奴なの?」

「それが・・・顔とか全然見えなかったの。 私たちは警戒したのだけど、男はあなたを殺せば、大切な人を生き返らせようと・・・。 何であなたを殺せって言った理由は分からないけど。」

「最初は迷ったけど・・・私にとってクレアはとても大切な人で、その彼が死んだって知って・・・。」

「でも、後になってから思ったの・・・大切な人を生き返らせよう・・・そんな言葉に騙された私は馬鹿だった・・・クレアは生きていたし、前にいた世界でもクレアも言っていた。 死んだ人は絶対に生き返らない・・・って言っても、実際の所、ナルも生き返っていて驚いたけど。」

彼女は苦笑いするかのような表情で天井に向けて言った。 だけど、クレトアさんの事が大切なのが僕でもよく伝わっている。

「・・・本当は、殺したくもなかった。 誰も。 こんないい人達ばかりの世界に、悪い人間なんていないもんね・・・でも、私はそんな人を殺そうとした。 ほんと、私って馬鹿だったわ・・・。」

「あの・・・。」

すると、ここでさっきから黙っていた智東さんの妹、佳奈美さんがおずおずと手を上げた。

「その、隣のいる女の子は・・・どちらさんですか・・・?」

そう彼女は僕の隣の方に指をさし、つられて見たら、青い髪をして季節はずれの冬物の服をきた少女が座っていた。 僕は少し驚いてズッコケようとしたが何とかこらえた。

「エミ・・・いつの間にいたの・・・。」

―あなたが、話を真剣に聞いている時にです。 全く・・・私がいない間にどこかに行かないでください。 もし、闇の死者―ダーク・デット―が来襲してきたらどうするのです?―

エミは、じっと僕の顔を無表情で見つめていたが、実際は怒っている・・・いや、かなり怒っている。 無表情だが、怒りのオーラがひしひしと感じ取れる。

「ごめん・・・。」

「えっ? なんで、桜咲君が謝るの? その子、何も言ってないのに?」

と、佳奈美さんが言った。 そういえば、エミの喋れないかわりにテレパシーで話すけど、それを聞けるのは契約者の僕だけだって事を知らなかったっけ。

「彼女はエミ。 見た目は人間だけど本当は猫の夢魔で僕の契約魔なんだ。 彼女の言葉は契約者である僕にしか聞こえないんだ。」

説明したが、二人はあんまり理解できていないような顔をしている。 まあそれもそうだろう。 彼女達の世界は魔法はある竜はいたが、契約魔なんてまずありえないだろう。

「じゃあ、エミ。 猫の姿に戻って。」

そういうと、エミは頷き、あっと言う間に猫の姿に戻った。 エミはスッと僕の肩に乗っかった。 

「あ、本当だ・・・。」

「あれ? 智東さん、エミの事を知っているはずじゃあないの?」

「え? 私は知らないよ。」

智東さんはきょとんとした顔で言った。 本当に知らないのか? この前、彼女もエミを見たから覚えているはずだけど・・・。

「でも、この前の朝早くから・・・。」

と、言いかけたら智東さんの隣から甘い・・・というか、甘い物を食べたようなうっとりとした声が聞こえた。 

「かわいい・・・。」

佳奈美さんは両手に頬を当て目を潤わせながら言った。

 

「ありがとうございました。 またのご来店をお待ちしております。」

店員さんは頭を下げながら言って僕たちは外に出た。外はすでに太陽が半分沈んでいて橙色の空が広がっていた。 ちなみに、さっき注文した品の全額は智東さんが支払った。 僕も出そうとしたが私からのおごりだってしつこく言うからしかたなく彼女の言葉に甘えた。

「なるほど・・・あの時いたのは、智東さんじゃあなくて佳奈美さんだったんだ。」

後に佳奈美さんから聞いた話じゃあ、あの時いたのは智東さんじゃなくて佳奈美さんだったことがわかった。 

「この子、大の猫好きで今も近所にいる猫と遊んだりしてるの。 だけど・・・。」

智東さんは喋るのやめ、ちらりと佳奈美さんの方に視線を向けた。

「はあ・・・かわいい・・・。」

一方、佳奈美さんはさっきから幸せそうな顔をしながらエミ(猫化)の体を抱きついていた。 しかし、エミのほうは何故か苦しそうにじたばた暴れていた。

「あのように、少し暴走してしまい猫を強く抱きしめてしまうこともあって、抱きしめられた猫は逃げ出してしまうの・・・。 まあ、数日したら猫の方から戻ってくるけどね。」

「しかし・・・本当に似てる・・・というか、そっくりだね。 二人とも。」

改めて二人を見比べると、見た目も声も完璧にそっくりでどっちが智東さんでどっちが佳奈美さんか見分けも付かない。

「私と佳奈美は顔も声も瓜二つだから、家族とクレアとナルは分かっていたけど、他の人たちは分からないことがあるの。 今でも、間違われることもあるけど慣れちゃったわ。」

智東さんは笑顔で言ったが、僕はどうもこのままだと僕も他の人も混乱してしまいそうだ。 と、考えていたら雑貨屋「アリス」が見えてピンッと閃いた。

「ちょっと待っててね。」

僕は二人に言って、「アリス」の店内に入っていった。 途中、エミが―ちょ・・・待って下さい・・・!―って言ったような気がしたが気のせいにした。


―数分後―

僕はあるものを買って店を出て、智東さん達と一緒に堂千公園によった。 公園には誰もいなくベンチに座った。 僕は右側で、智東さんが真ん中、佳奈美さんが左側に座った。

「はい、これ。」

僕は袋から、二つ緑の紙に包んだあるものを取り出してそれぞれに渡した。 智東さんはしばらくあるものに見つめていて、佳奈美さんは「開けてもいい?」っと言ってきて僕は頷いたら、佳奈美さんはあるものを包んだ紙を丁寧にあけていった。

「これは・・・。」

佳奈美さんは紙に包まれてあったあるものを見た。 智東さんも開け始めて佳奈美さんと同じあるものを見た。

「髪留め。 智東さんのほうが花の赤で、佳奈美さんが猫の青。 これなら、どっちかどっちかわかるでしょう?」

そう、あるものとは髪留めの事。 彼女たちは今の外見では、間違えられそうだから髪留めを買ったのだ。

「でも・・・。」

智東さんが何か言おうとしたら、僕は言葉を続けて言った。

「それは、僕からのプレゼントとさっきおごって貰った分と・・・疑ってしまった、その謝礼だよ。」

言った瞬間、彼女たちは「えっ?」と言ったが、僕は気にせずに話し続けた。

「僕は、君と最初にあった日、君からすごい殺意を感じて敵かと疑ったんだ。 仮面の女が君だって事も驚いて、やっぱり敵だったんだって一瞬思ったんだ。 佳奈美さんも君と一緒にいたから敵かと思っていた。 だけど、一つだけ違って一つだけ分かった。 君たちは、敵じゃない。 いい人だって言うことがわかった。」

「さっき、智東さん。 騙された自分が馬鹿だって言ったけど、実際は君たちが敵だと思った僕のほうが大馬鹿だったような気がするよ。」

「でも、私はあなたを殺そうとしたのよ!」

智東さんは反論したが、僕は首を振った。

「それは、僕も同じだよ。 もし、あの時仮面が弾き飛ばなかったら・・・智東さん、本当に死んでいたのかもしれないよ。」

僕は本当の事を彼女にぶつけた。 僕も仮面の女の正体が智東さんだと分からなかったら、本当に殺してしまっていたかもしれないし、その後、仮面の女の正体を後に知ったら僕はたぶんショックをうけていたかもしれない。

「どちらにしよう、お互い殺そうとしたのは変わらないが、僕のほうが悪いと思っている。 いい人なのに・・・僕は疑ってしまった。」

今でもそう。 僕は殺気を感じてから警戒をしていて彼女から避けていたから、彼女の事は何一つも知らない。 だけど喫茶店で彼女たちの話を聞いていて、知った。 それを知ったら自分があまりにも馬鹿馬鹿しく思えた。 智東さんはやがて、視線をそらして顔を俯かせた。

「私は・・・いい人じゃないよ。 私は、たくさんの人を殺した。 殺し続けた。 怨みもあった。 私は・・・」

「違うよ。」

僕は彼女の言葉を否定した。 俯いていた彼女の顔は驚いたのような顔をして前に向いた。

「それは、昔・・・君がシオンって呼ばれていたときだろう? 今は違う。 今の君は、智東 真奈美。 その智東 真奈美は人を殺してはないだろう? 僕の知っている智東 真奈美はこの世界に守りたいものがある。 異世界から来たのに関わらず、守りたいものがある。 守りたいものがあるのならそれだけでも立派だと思うよ。 だから・・・君はいい人なの。」

そう言ってしばらくお互い沈黙した。 風が吹く。 まだ、六月なのにやけに冷たい風が肌に感じる。 やがて、風がやんだら智東さんはふうっと息を吐いて言った。

「・・・負けたわ。」

そう呟いた途端、彼女の顔が一瞬微笑んだのが見えた。

「なんだか、クレアに説教されてるみたいな気分だった。 クレアもこんな風に私の事を説教をしてくれたっけ・・・そういえば、今更だけどあなたもクレアにそっくりよね? 体格違うけど。」

智東さんがクスクスと笑っていたら、隣にいた佳奈美さんも笑い始めた。 そして・・・僕も気づいたら笑っていた。 安心したのかな、何だか顔が微笑んでしまう。

 

分かれ道の時、空はもう暗くなり始めていて、外灯が照らし始めた。

「今日はありがとう。 あなたのおかげで少しもやもやした気持ちが晴れたわ。」

「この髪留め、大切にするね。」

「喜んでもらえてよかったよ、佳奈美さん」

「ねえ、桜咲君。」

「なんで佳奈美の時は下の名前で言って、私の時は上の名前で呼ぶの? ちょっと変じゃない?」

智東さんはすこしむくれた表情をしながら言った。 確かに、佳奈美さんも上の名前は智東だし、ちょっと変かもしれない。

「私の事は真奈美でいいわ。 それかさん付けでもいいわ。」

「うん、わかった。」

僕は頷いたら、智東さんが右手、佳奈美さんが左手を差し伸べてきた。

「これは、友情の握手。 私たちの国ではこれでお互いに固い友情が結ばれるからって言われたの。」

友情・・・か。 確かに僕は、彼女の事を友達だって事を全く思ってなかった。 ずっと警戒してあんまり喋ってないし、接してはなかった。 だけど、今の彼女なら・・・。 僕は両手を出して、ぎゅっと彼女たちの手を握った。

「じゃあ改めて・・・よろしくね。 真奈美さん、佳奈美さん。」

「「よろしく!」」

僕たちは強く握手をして、彼女たちは笑顔で言ってくれてそれぞれ家に帰っていった。 

だけど、智東さんの話していた事でわかった点と気になる点があった。 気になる点はやはり、僕を殺せといった男。 この男の正体は絶対に知らなきゃ駄目だ。 僕の考えでは彼女がやってきたのは二月だから十二族か闇の死者の可能性は低いと思うから、別の組織かもしれない。 とにかく何故、僕を殺そうとした理由をその男から聞きださないといけない。 

そして分かったことは、彼女が言っていた空間からの亀裂・・・この言葉である組織が頭に浮んだ。 

闇の死者―ダーク・デット―・・・。 

奴らも必ず亀裂の中から出てきて現れる。 クレトアさんの弟、レナウドさんの体を乗っ取ったキリアと名乗った奴も、もしかしたらこの前現れた、ハゼルドという闇の死者の人間と同じ可能性があるかもしれない。 だけどこれはあくまで可能性の話。 そのキリアが本当に闇の死者の人間なのかはまだわからない。

今のところ、これぐらいしかわからない。 とにかく、今は時を待とう。 そうすれば、必ず分かるはずだ。

 

数分後、辺りはすっかり暗くなっていて、それぞれの家から電気がついていた。

「えーっと・・・エミ? 大丈夫?」

僕は肩に乗っているエミの方に視線を向けた。 エミはさっきから佳奈美さんが強く抱きしめすぎたせいで、グッタリ疲れたのだろう。

―・・・あの子、容赦なく強く抱きしめたから体中が痛いです。 今度からあの人にそばにいたら人化しなくてはなりません・・・。―

そう言った後はなにも喋らず、再びグッタリした。 僕は思わず苦笑いしてしたらどこからかキン、と鋭い音がして僕は立ち止まり、後ろを振り向いた。 だが、どこもおかしな変化はなく音も聞こえてなかった。

「エミ、今、何か聞こえなかった?」

僕は視線をエミに向けて、一応聞いてみた。

―はい、たしかになにか聞こえました。 何か・・・堅いものがぶつかり合った音に似ていました。―

エミは冷静に言った。 僕は再び、視線を戻して耳をすましたが、何も聞こえてなかった。

「・・・気のせい・・・かな?」

僕は首を傾げて前に向き、歩きだした。 しかし、この時僕は知らなかった。 彼女達の・・・戦いがあった事など、僕達は・・・まだ、知らない・・・。  
 

2010/02/15
02:27
滅び去った国の生き残りの戦士達(最終編・後)

―廃墟の城―

「む? 貴様、コイツの関係者か?」

「・・・いいえ、その人は知り合いの友達です。 顔はなんとなく覚えていてね・・・。」

クレトアはさっきまでの驚いていた表情をしていたのに急に不気味なほどの冷静になった。

「私からも問おう。 ・・・貴様は誰だ? その人は昔にすでに病で死んでいたはずだ。 生きていてはおかしいぞ?」

「・・・それを我が言うと思うか?」

キリアが口を歪めながら言ったら、クレトアは首をゆっくりと振った。

「いいえ・・・まったく思ってはいませんよ。 だけど、私が思っていることはただ一つ・・・貴様を殺す事だ・・・。 それ以外に・・・ない。」

そう目を鋭くし睨んだが、キリアは鼻で笑った。

「フン・・・我は貴様ごときに死ぬ奴ではない。 もっとも・・・その体では、満足にも動けまい?」

「っ・・・。」

クレトアは悔しそうに短く舌打ちをした。 彼の体は激痛ほどではないが、かなり体中が痛んで所々血が出ていた。 今動いても、キリアに勝つ可能性はほぼ無いのがわかっていた。

「さっさと貴様を殺し、「天使の殺人鬼」を連れてここを離れねばならぬ。 奴らが来ると厄介だからな・・・。」

そういった瞬間、キリアは地面を蹴ってクレトアに突っ込んできて、持っていた棍棒を振り下ろした。 しかし、棍棒は当たらなかった。 空間から出てきた謎の白い巨大の手がクレトアを守ったからだ。

「ちっ、邪魔な手め! だが、このままも好機か・・・あの人形を壊してしまえば・・・こちらもかなりの有利だろう・・・。」

キリアは止まることも無く、巨大な手を棍棒で本気で叩きはじめた。

(くそ・・・このままではこの一切不明の手も壊れてしまう・・・。 体が・・・、体の傷が治れば・・・何とかなるかもしれないのに・・・かといって、クオンに回復魔法を頼めば彼女が狙われて殺されてしまうかもしれない・・・どうすればいいのだ!)

そう考えていた瞬間。

「はあ!」

「ぐあ!?」

キリアの背中が誰かに切られた。 キリアはすぐに後ろを向いた。

「シオン!!」

「ば・・・馬鹿な・・・ちゃんと触手で縛り上げたはずだぞ!?」

「余所見をしていたアンタが悪いのよ。」

そう言ったのはさっき。カルファと戦っていたナルシファだった。

「ナル!!」

「貴様・・・カルファが相手をしていたはずだ!?」

「あの女なら倒したわよ。 結構、苦戦したけど何とか勝てたわ。」

そう、彼女は後ろに指を指した。 カルファの胸にはナイフが刺さっているのがみえた。

「隊長、回復してあげます。」

クオンが呪文を唱えたら、クレトアの周りから翡翠色の光が現れ体中の傷が治っていった。

「ありがとうクオン、助かったよ。」

そう言って、クレトアは立ち上がり、シオン達の所に行った。

「さて・・・これで形勢逆転だ。 お前の負けは決まった。」

そう言い、刃を向けた。 だが、キリアは無言で立ち上がった。

「・・・どうやら・・・我の真の恐ろしさを教えてやらねばならんか・・・。」

キリアは声を低くして言い、上空に浮んで、何かを喋りだした。 クレトアたちは何を言っているのかはわからない顔をしているが警戒はしていた。 すると、キリアの棍棒が溶け始めた。 

「何・・・棍棒が、溶けていっている・・・?」

クオンが少し、震えた声で言った。 やがて、棍棒は完全に溶け、白銀色の液体になった。 それでも、四人の警戒している。

「まずは・・・貴様からだ。」

キリアが手を前にはらった瞬間だった。

「え・・・?」

声を出したのはナルシファだった。 三人はナルシファのほうを見たら、いつの間にか白銀色をしたナイフが彼女の腹に刺さっていた。

「ぐ・・・はあ・・・。」

ナルシファは口から血を吐き、そのまま後ろに倒れた。

「「ナル!」」

クレトアとシオンが同時に言ったら、ナルシファの腹に刺さってあったナイフが急に液体化して、彼女の体内に吸いこまれるの様に入っていた。 すぐにクオンがナルシファに回復魔法をしようとしたが、何も変化もなく、ナルシファはうんともすんとも言わなかった。 すると、キリアが口を開いた。

「無駄だ。 いくら、強力の回復魔法を使っても、たとえ命を救ったとしても中枢神経、内分泌器がやられてしまえばただの屍・・・同然だ。」

「中枢神経・・・水銀か!!」

クレトアが叫んでいったら、キリアは正解だと言わんばかりの顔をして口を歪めて笑っていた。 

「ナル・・・しっかりしてよ・・・ナル・・・!」

シオンは泣きそうな顔でナルシファを抱えて言ったが、彼女は返事もしなかったし、目も開けなかったし・・・すでに息もしていなかった。 シオンはそれが分かった瞬間、涙があふれ出てきた。 彼女にとってナルシファは数少ない大親友だった。 その親友が目の前で死んでしまったら、涙がでないわけがない。

「いくら返事しても無駄だ。 大量の水銀がその女の体内を蝕んでいる。 命は死なないが、脳の中枢神経をあっという間に破壊できるほどのだ。 どちらにしろその女の命は・・・もうない。」

「き・・・貴様・・・。」

シオンは睨んだ。 涙があふれ出ていて、前はあまり見えないし、涙も流している。 それでも、シオンはキリアを睨んだ。 そんな顔を見たら、鼻で笑った。

「仲間が死んで悲しいか? 我を殺したいほど憎いか? だが、そんな感情をもっても我を殺せない、無価値。 何も役にも立たない。 その手で我を殺してみよ。 無駄だろうがな。」

確かに、この前の戦いでシオンとキリアの力の差はありすぎるぐらいわかっていた。 シオンは悔しさのあまり歯を食いしばった。 自分にもっと守る力があれば・・・そう強く思った。 

「いや、無価値ではない。」

そういったのはクレトアだった。 シオン達がクレトアの方に向いたら、彼の雰囲気が変わった事に気づいた。 さっき、いつもと変わらない落ち着いて声で言っていたが、なぜか激しい憤怒が彼から出ていた。

「シオン・・・私もたぶん君と同じ感情を抱いているだろう・・・。」

クレトアは一旦言葉を切って、剣を持っていた手を握り締めて。

「だけど・・・安心して・・・すぐに終わりそうな予感が・・・いや、終わるよ。 何もかも・・・。」

「クレア?」

シオンが言った瞬間、キリアが地面を蹴り、キリアに突っ込んでいった。

「突っ込んでくるか・・・自ら死に来るとは愚かな奴だな・・・相手をしてやれ。」

すると、急に白銀色の液体が蠢き始め、四本の本の先の尖った白銀の触手が出てきて一斉にクレトアに突っ込んだ。 が、なぜか急に触手が止まってしまい、クレトアが触手を走りすぎたら触手は縦真っ二つになった。

「斬撃だと!? いつの間に!?」

キリアもさすがに驚いたがそんな余裕がなかった。 さっき、棍棒を溶かしてしまったから今の彼は手ぶらだった。 クレトアはジャンプしキリアの前まできて剣を思い切り振りはらった。 キリアはかわしたが、少し遅かったのか左腕に当たってしまい血が出ていた。 キリアも反撃をしようと、手元から小さな魔法陣が現れてそこから棍棒が出てきて手に取り振り下ろしたが、クレトアは剣で防いで押し合いだした。

「ぐうう・・・!!」

キリアは左腕が痛むのか少し唸り声をあげた。 クレトアは剣を力一杯押した。

「・・・調子にのるなあッ!!」

キリアは叫んで、その場から一瞬で消えて、クレトアの背後に回ったが、いつの間にかクレトアのは消えていた。   

「な!? どこに!?」

そう周りを見回したがクレトアの姿はなかった。 シオン達もクレトアの姿は見えなかったのか、周りをみたがやはりどこにもいなかった。 キリアはクレトアの姿を探し周りを見ていたら、突然目の前に空間に傷口が現れた瞬間だった。 そこから、クレトアが出てきて正面からキリアの体を斬りつけた。

「ぐ、はあ・・・ああああ・・・。」

キリアはしばらくフラフラしたが、やがて上空から落下し倒れてしまった。 クレトアもゆっくりと上空から降りてきて地面についた途端、跪いてしまった。

「大丈夫、クレア!?」

「ハァ・・・ハァ・・・。 何とか・・・ね。」

クレトアの顔は笑っているが、シオン達は大丈夫ではないと思っている。 すると、キリアがゆっくりと腕を動かした。

「く・・・ふふふ・・・これで終わりだと思うな・・・。」

キリアは不気味な笑いながら、フラフラと立ち上がった。 彼の体前はクレトアに斬られて血がドクドク出ていた。 だが、彼はそれを気にしなかった。 

「くううう・・・。」

すると、キリアは呻き声をあげたら、体から闇がゆっくりと漏れるかのように出てきた。 クレトアはゆっくりと立ち上がって剣を構えた。

「ううう・・・うおおおおおおおおお!!」

突然、キリアが叫んだ瞬間、彼の体からゆっくりと漏れていた闇が一気に出始めた。 そして、周りが闇に飲まれていき、黒くなっていった。

「スベテ・・・スベテを・・・闇ノまれ・・・消え失せロウーーー!!」

「自爆する気か!? くっ!」

クレトアは後ろを向き剣を降ったら、突然空間に傷口が現れた。

「シオン、クオン! 君たちはあの向こうに飛び込め!」

「え?」

シオン達は信じられない顔をした。

「何言ってるの!? クレアも一緒でしょう!」

「私は・・・アイツを止める!」

クレトアは再び前を向き、剣を構えた。

「な・・・何馬鹿なことを言っているの!? あんなのに巻き込まれたら死んでしまうわよ!?」

「私の事は気にするな! だから、早く行け!」

クレトアは言ったが、シオンも黙っているわけではなかった。

「・・・だったら、私も残る!」

「何を言っているのだ! 早く行け!」

「いやよ! 私はあなたを置いてはいけないわ! あなたがいるのなら私もいる!」

「シオン! いい加減にしたまえ!」

クレトアは怒鳴ったがシオンはそれに負けないぐらいの声で言った。

「私は・・・あなたの事が好きなのよ!」

言った瞬間、クレトアは急に黙ってしまいシオンは、少し頬が赤くなっていて涙を流した。

「私は・・・あなたの事が好き・・・小さい時から、ずっと好きだった! みんな死んで、ナルも死んで・・・あなたも死んでしまったら・・・私とクオンだけになってしまう・・・。 私達だけじゃあ・・・生きていく自信がないの。 あなたも失ってしまったら・・・私は耐えれない・・・! だから、あなたと最後まで一緒にいたいのよ!」

シオンはクレトアを背中から抱きしめて、涙を流しながら言った。 だが、クレトアは振り向かなかった。

「お願い・・・あなたと最後まで一緒に・・・居させて・・・お願い・・・。」

シオンは少し強くクレトアの背中を抱きしめた。 彼女の目はすでに赤くなって涙も止まってなかった。 すると、クレトアがシオンの手の上に自分の手をそっと置いた。

「シオン・・・ありがとう。」

そう言ったら、シオンは上を向いたら、クレトアが顔を向けていた。 

「だけど・・・私は誰も死なせたくはないのだ・・・だから・・・もう、戦わなくていい。 幸せになってくれ。 それと・・・」

彼は言葉を切って囁いた。

「生きていてくれ。 決して死んではならない。 私も運よく生きていたら・・・君に、会いに行く。 だから・・・生き延びてくれ・・・。」

そう言って、シオンの手と共に離したら、彼はなぜか笑っていた。 そして、クレトアは顔を前に向けた瞬間、走り出した。 シオンは声をあげたが、彼の耳には届いてはなかった。 すると、キリアから出ている闇の中から黒い鋭いトゲが何十・・・いや、何百本も出てきた。 そのトゲはクレトアの体中刺さっていったが彼は止まることせず、走り出した。

「はあああああーーーーーー!!」

そしてクレトアは剣を、キリアに刺し貫いた、次の瞬間。

「ぐおおおおおおおおーーーーーーーー!!」

キリアが咆哮したら、急に追い風が凄い勢いで吹き出して、シオン達は飛ばされて傷口の中に入っていった。

「きゃあああ!!」

シオンはクレトアの方に手を伸ばした。 だが、なぜかクレトアだけは吹き飛ばされていなかった。 動くどころかピクリともしなかった。 だけど、クレトアは首を後ろに回した。 そして・・・なぜか彼は笑っていた。 体中から血が出ているのに彼は笑っていた。

「クレアーーーーーーー!!」

彼女は涙を流しながら、クレトアの事を叫んで空間のどこかに飛ばされていった・・・。