2025/04/21 21:50 |
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2009/02/05 13:36 |
十二族 |
―数時間前―
俺たちは、街にいた。 昨日の事件で警察や軍の連中がちらちらいた。 一般の人間もいるが
「どうだ淳、分かるか?」
「だめだわ、完全に魔力を消しているわ。」
彼女は魔力を、探知できることがある。 しかし、完全に魔力を消している奴は、探知できない。
「ねえ、この事件って、やっぱり・・・。」
「うん。絶対、奴らに決まっている。」
そう、こんなことするのは・・・、奴らしかあり得ない。
「ねぇ、やっぱり私が、」
「その話はしないで。・・・二度と、ね。」
しばらく俺たちは、黙ってしまった。
「・・・ハッ!あなた上!」
「なにっ!」
俺は、慌てて上を見た。
「・・・。」
そこには、男のアンドロイドがこっちをじっと見ていた。 男はこう言った。
「十二族の元・辰族の棟梁、桜咲 龍、その妻桜咲 淳、確認。」
「攻撃を開始する。」
「くっ!来い、雷槍!」
そう言ったら
「ブレード・ナイフ・・・。」
カシュ!パシ!
「あなた・・・。」
「淳、お前は下がってろ。」
「うん・・・。」
そのとき。
ドゴオオォォーーン!!
「きゃあ!!」
「何だ!」
突然、壁が爆発した。そこには、女性がいた。
「見つけたよ、辰族の裏切り者さん。」
両手には銃を持っている。 こっちをにらんでいる。
「アンタは、巳族の・・・。」
俺はこの女の顔を覚えている。
「そう。あたしは、巳族の幹部の真木野 知佳さ。」
彼女は、かたっくるしそうに言った。
「何のようだ。 巳族の者よ。」
アンドロイドが尋ねた。
「それは、あたし達の獲物なんだから。 卯族のアンドロイドさん。 悪いけど、退いてもらいない?」
「ふざけるな、それは卯族の・・・。」
ドガーン!!
一瞬、どこからか、銃声が聞こえた。
「グッ!キ・・・サ・・・マ・・・!」
バタン!
アンドロイドは倒れた。
そして彼女は、銃を構えて、
「聞こえなかった?それは、あたし達のの獲物ってね。」
ドカーン!
そして、アンドロイドの体は粉々に散った。
「さて、次はあなたたちね。」
そう言って彼女は、こっちに銃を向ける。
「・・・!」
「どうするの?あなた!」
「どうするもこうするのも、裏切り夫婦は、今ここで死ぬのよ。」
彼女が引き金を引こうとした、
次の瞬間。
ドゴーン!!
「!」 「グッ!」 「きゃあ!」
突然、目の前から何かが降った。
「な・・・、何が起こった?」
俺たちは、おそるおそる見てみた。
そこに居たのは、ボロボロの姿になっていた・・・瞬だった。
2009/02/05 11:43 |
僕たちの敵 |
―桜咲宅―
「やれやれ・・・、インターホンなったら、出るのが常識だろ?」
そこにいたのは、176cmぐらいの背が高い男だ。手には長い大剣を持っている。
「誰だ、アンタ?」
「俺?俺はな、ある組織の幹部、名は桐野 洞豪だ」
と言いながら桐野と言う男は、タバコを吸い始めた。
「フゥー。さてと、名前も言ったし、・・・死んでもらうぞ。」
「っ!来い、フィード!」
僕は
「ほう。 それがお前の剣か。」
僕は、フィードを握り締めた。
「いくぞ!ウィザード・ウェーブ!」
僕はフィードを床に当て、思いっきり振り上げた。
「おっと。」
桐野は、大きく下がっり大剣を地面に刺した。
「岩の壁(ストーン・ブロック)。」
ごごご・・・。 パキィン!!
突然、下から岩の壁が出てきて、攻撃が防がれた。
「家は、大切にしろよな、ボウズ。」
さっきの技で、僕が立っている床の一線が壊れた。家が壊れてはいけないと、思って僕は外に出た。
「結界。」
突然、後ろから紅い光が出た。
「くっ!な、何だ!」
やがて光が消え、僕が見た光景は・・・。紅い結界に包まれた、僕の家だった。
「何をしたんだ!アンタは!」
僕は桐野に向かって怒鳴った。
「安心しろ、他の奴に中の獲物まで取られちゃたまらんからな。
だから、結界を張ったんだ。」
桐野はそう言って、空を飛んだ。
「待て!」
僕も追いかけた。
桐野は、空中で止まった。
「最初に、言っておくぞ。」
「何だ。」
桐野はタバコの火を消して、こう言った。
「本気で俺に勝てると思うなよ。」
そういった瞬間、桐野がその場から消えた瞬間だった。
「ガァッ!」
一瞬、何が起こったのかが分からなかった。 急に腹から痛みが走った。 気づいたら桐野の膝が僕の腹
(全く・・・。見えなかった。)
「弱い・・・。」
と、桐野は呟いた。
「弱すぎる・・・。こんな奴だったとは、な・・・。」
桐野は、後ろに下がってこういった。
「お前じゃ相手にならん。 さっさと死んでもらうぞ。」
と言って、大剣を逆さまにして
「召喚(カオス)・・・。」
と言ったら、後ろから紫の魔法陣が出て、そこから出てきたのは黒い麒麟だった。
「こいつは俺の召喚獣、カミューラだ。」
2009/02/04 21:11 |
世界の異変・両親の異変 |
「・・・ここは?」
真っ黒な世界。何もない世界。 僕は、一人で、ポツンっと立っていた。
―目覚めろ。―
どこから声がする。 周りを見回したが誰も居なかった。
―目覚めろ。もう余り時間がない。―
時間がない? どういう事だ? そもそも、君は誰なんだ?
―我は・・・。―
「はっ!」
チチチチ・・・。
「はあ・・・。はあ・・・。夢、か。何なんだ、今のは・・・。」
いきなり目覚めろって言ってるけど、意味が分からない。何に目覚めろって言うんだ・・・。
「どういうことだこれは!!」
「な・・・、何?」
父さんの怒鳴りだ!
(何が起こったの? とりあえず一階へ!)
僕は急いで、一階に降りた。
「どうしたの!父さん!」
部屋に入った時、父さんは見たこともない表情をしていた。母さんも黙ったままだった。
「これは?」
僕は下に転がっていた新聞を見た。そこに乗っていたものは、衝撃的なものだった。
「な・・・、なんだよこれ・・・。」
新聞には、50人死亡、164人が重軽傷が・・・。その記事が、おおきく乗っていた。
「どういうことだ・・・。こんなの初めてだ・・・。」
この世界は、交通事故はあるけど、殺人事件なんて、初めてだ。 さすがに僕も驚きを隠せなかった。 だけど父さんはどうしてそこまで怒っているのかよく分からなかった。
「どうしたの?」 「ふあーあ。」
涼と洋が起きてきた。母さんは、二人の元に行って言った。
「ごめんね。父さんと母さんね、急に用事ができちゃったの。」
と、母さんはつらそうな顔をしている。
「用事ってどんなの?」
涼が目を擦りながら聞いてきた。
「とても、とっても大切な用事なの。だから、また今度、どこかに出かけてあげるから。」
と、母さんは二人に頭をなでて、立ち上がった。
「行くぞ、淳。」 「ええ・・・。」
二人は玄関に向かった。僕は追いかけた。
「父さん、母さん。」
そして父さんは
「瞬、もし誰かが来たとき、出るなよ。絶対に。」
「・・・!」
その時、体中から
「お前は、涼や洋、ラーシュを、家族を、守っていろ。いいな。」
本気だ。父さんのあの目・・・あれほどの父さんの目は、今まで見たことがない。
「・・・分かった。」
父さんの本気が分かったのか僕は無意識のうちに頷いた。 そしたら、父さんの口が歪んだ。
「いい返事だ。しっかり守れよ。男の約束だ。」
「はい・・・。」
そう言って、父さんたちは、町へ向かった。
「お兄ちゃん、どうなってるの?」
二人は、疑問そうに僕を見ていた。
ピンポーン。
「!」
誰かが来た。 一瞬、呼吸が止まりそうだった。
ピンポーン。
「ラーシュ、ふたりをたのむ。」
ラーシュは、うなずくように、二人を移動させた。
「にいにい・・・。」
「早く行け。」
ピンポーン。
二人は、悲しそうな目で、ラーシュと共に、奥へと行った。
「来るなら、こい。」
「・・・」
「・・・」
(なんだこの、静寂なほどの静けさは・・・まるで突如、嵐が来るようなこの静けさ。)
そう、まさに僕が言っているは、正しかった。彼の汗が一滴たれて、地面についた、次の瞬間。
(バカアァーーン!!)
突然、玄関の扉が壊された。
僕は、息を呑んだ。
そして、煙の向こうには、一人の人間がいた・・・。
2009/02/04 16:46 |
変わらない夕暮れの道 |
僕は朝、母さんに渡された買い物メモを見ながら買い物をしていた。 このスーパーは町の中じゃあ一番大きなスーパーであって、特売や半額商品が週に一度やっていて主婦達には大人気のスーパーだ。
「えーっと、あとは・・・、にんじん二つとネギと・・・、バリバリくん?」
僕は思わず声を出してしまった。
(なんだそれ?そんなものここにあったけ? たしか、母さんがたまに買ってきたものだっけ。)
でも、実際は実物を見たことも無くどんな物なのかは知らない。 というか、あったっけ? こんなの? テレビのCMにも出た記憶もないし見たこともない。 僕が深く考えてる時だった。
「あれ?もしかして、瞬ちゃん?」
「え?」
突然、後ろから女の人の声がして後ろに振り向いたら、長髪で水色の髪をした女の子がいた。 どこか見覚えがある人物だった。 だけど、僕はすぐに思い出した。
「もしかして・・・、林ちゃん!?」
僕が言ったら、女の子は微笑んだ。
「やっぱり瞬ちゃんだあ。久しぶりだねー。」
「うん、久しぶりだね。」
彼女は草原 林。僕の幼稚園の時からの幼馴染みだ。 隣近所で仲がとってもよかったけど、二年前、彼女の父親の急な転職のため引越ししていった子。
「どうして、ここにいるの?」
「また、お父さんの転職でこっちに帰ってきちゃった。 瞬ちゃんと会うの楽しみにしていたけど買い物があってここに来たのだけど、まさかここで、瞬ちゃんと会えるなんてね。」
「うん、よかったね林ちゃん。」
「うん、また瞬ちゃんや涼ちゃんや洋ちゃんに会えるんだもん。」
「そうだね。 きっと、涼たちも喜ぶよ。 あ、そうだ。バリバリくんってどこにあるの?」
「それなら、お菓子置き場にあるよ。」
と林ちゃんはお菓子置き場の方に指を指した。
「あたしも、それを買いに来たの。一緒に行こう。」
「うん。」
僕たちは、お菓子置き場の方へ行った。どうやら、バリバリくんはチョコレートだったらしい。でも僕は、このお菓子について物凄く言いたい事がある。チョコレートは、絶対にバリバリ言わない。
「ありがとうございます。」
店員に見送られた僕たちは外に出てた。 すると、林ちゃんは買い物袋からバリバリくんを取り出してその袋をあけ、食べ始めた。
バリ!バリバリバリ・・・。
「おいしいね。瞬ちゃん。」
「そ、そうだね・・・。」
僕は思わず苦笑いした。 それに対し林ちゃんはおいしそうにバリバリくんを食べていってる。
(本当バリバリ言ってるし・・・。)
僕は、少々落ち込んでしまいそうだった。 しかも、バリバリくんの札の所に「大人気!」って書いてあって正直な所、これ本当に人気あるの?て思ってしまった。
「それにしても、全然変わってないねぇ。町の様子。」
「え? ああ、そうだな、もう二年も経つのに変わってないね。」
ほんと何も変わってない。二年前も全く同じだ。 僕達が小さかった頃からこの町は殆ど変わってはいない。 昔のまんまだ。 平和で、豊かで、暖かい・・・僕はこんな町が好きだし、永遠に続いてほしいと思っている。
しばらく歩いたら、公園があった。 そこで子供達が遊んでいた。
「わあ、なつかしいねぇ、この公園。まだあったんだ。」
この公園は、小さい頃に僕や涼や洋、林ちゃんとよく遊んだ場所でもある。 みんなで鬼ごっこやままごとやいろんな思い出がつまった場所でもある。
「うん、今はあんまり子供たちは。 ほんと、懐かしいな。」
最近、新しい公園とかできたからここに来るのは近所の子しかあんまり来なくなってしまった。
「ねぇ。瞬ちゃん、覚えてる?」
と、林ちゃんが突然話してきた。
「あたしが転んで、瞬ちゃんがおんぶして、おうちまで運んでくれたの。」
「ああ、覚えてるよ。あの時は林ちゃん、ワアンワアン泣いていたからね。」
それは覚えがある。 僕と涼と洋と林ちゃんで鬼ごっこをしていて途中、林ちゃんがこけて大声で泣いちゃって、膝から血が出ていて僕が林ちゃんをおんぶして林ちゃんのおばさんの家まで行った
「ふふ、そうだね。」
僕たちは微笑みながら昔の話をして、再び歩き始めた。
それから、数分間歩いたら林ちゃんが立ち止まった。
「あ、あたしここだから。」
林ちゃんは指を指しながら行った。 家は僕の家よりちょっと小さめな二階建ての家だった。
「あれ、ここからだったら、僕の家すぐ近くだよ。」
林ちゃんの家は僕の家と歩いててニ~三分、走ったら一分程度ぐらいでかなり近いの距離だった。
「そうなの? でも残念。 また隣だったらいいな。」
「すぐ近くだから、また会えるよ。」
「うん、たまにここに来てね。 お父さんも待ってるから。」
「うん、わかった。それじゃ。」 「またねー。」
お互い、笑顔で手を振って、分かれた。 しかし、本当に懐かしかったな・・・二年前、林ちゃんがこの町を去った時、林ちゃんとはもう会えないかと思っていたけど、また会えるとは本当に嬉しい。
―桜咲宅―
日が半分以上沈んでいく中、僕は家に帰ってきた。
「ただいまー。」
「おかえり。」
「あれ?涼たちは?」
「そこよ。」
母さんが指した先は、ソファーでぐっすり寝ていた涼たちだ。
「寝ちゃったの?」
僕は買い物籠を母さんに渡して、涼たちのそばに寄りながら言った。
「瞬が帰るの遅いから寝ちゃったわ。」
「じゃあ、お父さんを呼んできて。 厨房のほうに居るから。」
「うん、分かった。」
そう言って部屋を出た。 父さんは厨房の机の上を
―五分後―
「じゃあ、みんなそろったことだし。食べようか。」
「「「「いただきます!」」」」 「ワン!」
「ねぇ、父さん。」
「何だ?」
「明日、休みだからさみんなで出かけようよ。」
と涼が言った。
「うんそうだな。 二日間、店休んでみんなとどこか出かけようか。」
「「そうしょう!!」」 「ワン!」
「じゃあ、明日のお弁当作らなきゃね。」
そのとき僕は、思わず笑っちゃいました。
(明日か・・・。楽しみだな。 明日も変わらない一日でありますようにと、願っておこっか。)
僕は幸せそうにそんなことを考えていた。 しかし、その願いは通じることは無かった。 僕はまだ知らなかった。 明日からこの世界が・・・急激な異変し始めることを・・・。
2009/02/04 01:55 |
変わらない学園生活 |
「なあに、にいにい?」
「いや、洋じゃないんだ。」
そうため息と同時に言って、視線を右側のほうを見た。
「涼・・・。腕に抱きつきながら歩くのやめろよ、恥ずかしいから。」
涼が右腕に抱き付いていて、非常に歩きにくい。
「いいじゃない。これも兄妹愛って言うでしょう?」
こっち向いて、無邪気みたいな顔をして言った。 というかそれ何年も同じこと言っているような気がする。
「いや・・・。洋みたいに手をつなぐみたいな事をしてよ・・・。」
「そうだよ涼ちゃん。にいにいが困ってるよ?」
「やーだ!」
そう顔をにっこりして言って、強く腕を抱いた。 全く・・・困った妹だ。 洋の方はまだ大人しいほうがいいが、涼の方は大胆すぎる。
本当に恥ずかしいのに・・・。 なぜなら学園の人たちや、おばさんやおじさんがじろじろ見ているし。 まあ、僕達のことを知っている人ばかりだけど何か・・・ものすごくイヤだ」。 というか、もう小学校のやっているのにどうしてもなれないな・・・。
―陸南中等学園 2-B―
「つ・・・疲れた・・・。」
朝の僕は机に突っ伏ししながら呟いた。 あの二人は昔からそう。 幼稚園の時はまだ大人しいかったけど、小学生の時なんかは、全学年同じクラスですでにべったりな状態だった。 中学に入っても相変らずのままで、クラスの人達もクスクス笑ったりするから恥ずかしい。 一方の二人は他の女子と楽しく話していた。
「お疲れさんだな、桜咲。」
すると、後ろの席の方から男の声が聞こえて僕は、だるそうに体をあげて後ろを向いた。 体が引き締って少し目が鋭くって僕より背の高い男、森本 鉄だった。
「森本、来ていたの?」
「まあな、さっき屋上で寝ていたけど。 ふあ~・・・。」
森本は、一年からの付き合いで教室にはあまり来ずいつも屋上にいる子。 彼は、不良・・・といってもどちらかと言ったら問題児の方に近い。 彼は勉強嫌いだからほとんど授業は出ていない。 だけど実際の所、頭はいいしとてもいい奴だ。 僕にとっては、まあ親友かな。 彼もそう思ってるだろう。
「お前も大変だな、ブラコン妹がいて・・・。」
「まあね。 でも、これでも楽しい方だよ。」
確かに大変な所もあるが、楽しい所もある。 ・・・まあ、強いて言うと、疲れる所が多いけど。 これだけは断言できる。 本当に。
「ふうーん。」
森本はそっけなく頷いたら、授業のチャイムがなった。
「おっと、チャイムか。 最初は・・・、英語か。 じゃあ俺、屋上に行くわ。」
「また? ちゃんと授業受けたら?」
「俺は、数国以外は、嫌いなんだ。」
彼は笑いながらそう言った。 たしかに彼は国語と数学は出ているが、そんなには真面目ではなく、余所見するか寝るかだから他のとほとんど変わらない。 ちなみに森本は一年から英語の授業には一回も出ていない。
そのおかげで英語の教師は頭をかかえているそうだ。
「じゃあな。」
そう言って彼は、先生が来る前にいそいで教室から出て行った。
―昼休み―
四時間目の授業が終わり、昼休みに入った。 みんなは自分のかばんの中にあるお弁当を取り出した。 普通はどこの中学校も給食は出るが、この学園は給食はない。 理由は知らない。
「お兄ちゃーん!いつもの場所でお弁当食べよう!」
涼たちが母さんが作ったお弁当もって寄ってきた。
「うん、わかった。」
僕は頷き、鞄からお弁当を取り出し、立ち上がった。
「それなら、私もご一緒にいいですか?」
そう言ったのは、僕の学年で一番怖い人で有名な、佐倉塚 菜々だった。 一年の頃も同じクラスで話した事はあるけど、彼女自身から誘うことはあんまりないのにめずらしい。
「うん、べつにいいよ。いいよね、二人とも?」
僕は二人の方に首を回していった。
「いいですよ。」
「別にいいけど、佐倉塚さん。」
「なに?」
「お兄ちゃんには手、ださないでね。」
僕は一瞬思った。 どういうこと? すると、彼女の頬がゆでだこみたいに真っ赤になっていた。
「なっ・・・、だ、ださないわよ!!」
佐倉塚さんの声が、教室中に響いた。 僕は咄嗟に耳を塞いで目をつぶった。 一瞬、窓ガラスにヒビが入る音がしたがあえて気にしないことにした。
「ご・・・、ゴメンナサイ・・・。」
「あ、ああ・・・。少々耳鳴りするけど、大丈夫だから。」
佐倉塚さんの声は耳を塞いでいても、かなり響いていまだ耳鳴りが治まらなかった。
(ものすごい声だな・・・。佐倉塚さんの声・・・。声のコンテストだったら間違いなく一位だ。)
そんなことをのんきに考えていてたら、佐倉塚さんが話しかけた。
「所で、どこで食べるの? さっきいつもの場所って言ってたけど。」
彼女は言ったが、僕はあえて微笑みながら黙っておいた。 そして、いつもの場所の扉を開けたら風が吹いた。
僕が言っていた場所は屋上であった。
「「早く早く!」」
一足早く行った涼たちが手を振っていた。
「今行く!」
僕たちも歩き出した。 涼たちの方に行ったら佐倉塚さんはフェンスの向こう側、町の景色を見ていた。
「へえー。屋上って人来ると思ったけど、全然居ないねぇ。 思っていたほど、屋上から見る景色っていいね。」
「いいでしょう。青い空に、緑の山、それに町の光景、いい場所でしょ?」
ここ、陸南中等学園は町や山がよく見えていて風が気持ちよく拭いている。 一年の頃、初めて屋上に言った以来、僕のお気に入りの場所であってよくここでお弁当を食べていた。 ちなみに森本と出会ったのもそのときである。
「それより、早く弁当食べよう!」
涼が腕に抱きついてきて言ってきた。
「そうだね、それじゃ食べようか。」
僕たちはベンチに座ってそれぞれ持っていたお弁当をあけた。 僕らのお弁当の中には野菜類と肉類がバランス分けられていておいしそうだった。
―食事後―
「「「「ごちそう様でした。」」」」
僕たちは同時に挨拶してお弁当のふたをして、布で包んだ。
「君のお母さんの料理おいしかったよ。」
「佐倉塚さんの作った料理だって、おいしかったよ。」
佐倉塚さんのお弁当で美味しかったのは手作りミートボールでソースの味がよく滲みこんでいてとても美味しかった。
「ほんとう? ありがとう、桜咲くん。」
佐倉塚さんは嬉しそうに微笑んだら、自然と僕も微笑んでしまった。
「「じいいぃぃーーー・・・。」」
すると、二人は何故か目を細めて、僕の方に睨んでいた。 僕が何かしたのかな? すると、佐倉塚さんが立ち上がった。
「それじゃ、私先に戻っとくね。 今日は楽しかったよ。」
そう言って、佐倉塚さんは少し走る感じで歩き始め、屋上から出た。 佐倉塚さんが出た後もなぜか二人は睨んでいた。
「どうしたの、二人とも? 僕の顔に何かついてる?」
一応、口や頬を触ってみたが特に何もついてはなかった。
「別に~・・・。」 「ありません。」
涼と洋はぷいっと視線をそらした。 僕が女の子と仲良く話していたらなぜか二人はいつも少し怒ってしまうのが僕はいまだに分からない。 いったい、僕が一体何をしたのかな?
その後、僕たちは教室に戻ったちょうどチャイムが鳴って授業が始まった。 そして、最後の授業は終わり帰会が始まった。
「えーもう二週間後にテストがありますから、きっちり勉強してきてくださいね。」
「「「はーい」」」
「では、以上解散。」
そう言って、先生は教室から出て行って、みんなもそれぞれ友達と一緒に帰ったりしていた。
(ふう、疲れた・・・。)
そんな中、僕はひっそりと息を吐いた。
「お兄ちゃーん。帰ろう!」
涼と洋が寄ってきた。 昼休みの機嫌はもうなおったみたいだ。
「ああ、ゴメン。母さんから買い物頼まれているんだ。 だから今日は二人で先に帰っていて。」
朝食が終わった後、母さんから買い物メモを渡されて「帰りに買ってきて。」っと頼まれていた。
「うーん・・・、まあ、しょがないか。行こうか、洋ちゃん。」
「うん、にいにい、早く帰ってきてね。」
「わかった。 おとなしく待っておくんだぞ。」
「うん!」
そう言うって洋は可愛らしい笑顔を見せて、涼の後を追った。
「さてと、行くか。」
僕は息を吐いて机にかけている鞄を取って、教室を出ていつもと変わらない道でスーパーへ向かった・・・。