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新者の雑記置き場

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2009/08/08
13:40
告白(後編)

今から一年と半年前の小6の頃の秋、「何でもコンテスト」の時期で、どこの変態が考えた「女装コンテスト」が偶然決まったらしく、各クラスの一人の男子が出場しなければならなかった。

で、僕のクラスは男子女子全員が僕に投票し、結果的に僕が出場した。 もちろん僕は大反対したし、抵抗もした。 しかし、その抵抗は無意味で終わってしまった。

で、当日、僕の出番が来たら、男子から「おー・・・。」と声が聞こえたが女子の方が興奮していて「キャー!」が凄い音量で男子の声は押し潰された。その光景を見たらなぜか涙が出そうで頬も赤くなった。そしたら、九割の女子の席からカメラのフラッシュが嵐の様に殺到した。 恥ずかしかったし、心臓がドキドキしていた。 正直な所、逃げ出したかった。

そして、結果発表の時、僕はこう願っていた。

(お願いだから、僕じゃあありませんように!!)

と、何度も何度も心の中で言ったが、結局僕が優勝してあの言葉は無意味として終わった・・・。

そして、コンテストからの数週間後、写真の展示の日、僕は驚きの情報を耳にした。なんと、僕の女装が女子に大人気でおよそ9割の女子があの写真を買ったらしい。それを聞いた僕は、思わず寒気がした。

そしてコンテストから一週間がたったら、誰かに見られているような感じがした。

最初は気のせいかと思っていた。しかし、一ヶ月したら誰かに見られていたのに気づいた。


―屋上―

「しかし・・・結局は、捕まらなくって、顔すら分からなかった・・・。ただ、覚えているのは深緑色のした髪だけ・・・。そして・・・君の顔と写真を見たら、思い出したよ。僕にとっちゃあ、二度と思い出したくも無い記憶だど。」

僕はうんざりとした顔で言った。 正直な所、本気で思い出したくもない。 あの後も酷い目にあった。 下駄箱の中も机の中にも手紙が一杯で告白の回数も増えていってさらには、この服着てみてと女子から頭をさげてまでも頼まれたこともあった。 もちろん、全部断ったが。

「やっと思い出してくれた?」

「うん・・・君だろう? 僕の事をずっと・・・卒業式までストーカーをしていたのは。」

そう。 僕が卒業まで誰かに見られ続けていた。そして、中学に入ったら誰かに見られることはなくなった。 やっと安心が出来たと思っていた。 

「ストーカーなんて人聞きの悪いよー。ボクはただ、先輩が好きで見ていただけだよ?」

そう彼女は笑い、僕は重いため息をした。

「・・・とにかく。 君がやったのは間違いなくストーカーですよ。それに好きと言っても君・・・男でしょう?」

僕はため息と混じって言った。 覚えていた。 彼女・・・いや、彼は「女装コンテスト」の小5の部の優勝者、霧咲 薫。 正真正銘の男だ。

「確かにボクの体は男だけど、ボクの心はすでに乙女なの。」

「男が乙女って言わない。 それと、どうしてストーカーなんかしたの?」

僕が気になる所はそこだ。 なぜ、男である僕をストーカーをする理由がさっぱり、わからない。 

「それは・・・あの時、「女装コンテスト」の六年生のクラスの番の時。」

何か聞いているだけで、寒気がしたのって僕だけ? 音川さんなんかよく首を傾げているよ。 ちなみに彼女と僕は小学校は違うから彼女は知らない。

「ボクは、途中まで六年生の女装は普通だな・・・と思っていた。しかし! 先輩はまったく他の人とは違っていた。 いえ、他の人とは核が違っていた! その光景はボクの目に飛び込んで焼付いてボクの心を貫き・・・そして・・・好きになってしまった。」

「それから、先輩が写っている写真をすべて買った・・・しかし、それだけでは満足できず・・・つい、先輩を・・・キャ!」

「・・・。」

僕は固まった・・・。何も言えない・・・。 頭が真っ白だ・・・。彼は・・・乙女ではない。 完璧なるストーカーだ。

「ボクは先輩が卒業して悲しくって・・・それでボクが卒業して先輩が何処にいるのかを徹底的に調べたのです。
そしたら、この学校にいるって知って嬉しくなって・・・ここに入学したの。」

と彼は頬を少し赤くして手で押さえた。 僕は思わず空を見た。 空は橙色に包まれていてとてもとても綺麗だった。 しかし、僕は寒気の上に頭痛までし始めていた。

「ハァ・・・じゃあ・・・。」

僕は半分疲れた声で言って屋上から出ようとした。

「ちょっと先輩! 告白は!? 先輩の愛の告白は!?」

そう彼は言って、僕はちょうどドアの前に止まった。

「・・・一言だけ、言ってもいい?」

僕は振り返って口を開くとした、瞬間。

「・・・!」

突然、彼女達の後ろから空間から亀裂現れた・・・。
 
 

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2009/08/06
22:52
告白(中編)2

―陸南中等学園 屋上―

現在。

二つの手紙の内容は簡単に「放課後、屋上に来て下さい。」と書かれていた。 それで放課後、僕は一足先に屋上に向かって数分後に、手紙の差出人の二人の女の子が来た。

一人は、僕の友達の一年生で図書委員の音河 逢。彼女とは図書室でよく会うし、仲もいい。 前髪で目を隠しているから、目は見たことが無い。

もう一人の子は鮮やかな深緑のショートヘアの知らない女の子。しかし、なぜか彼女を見たら背筋がゾクっと来た。

そして「「付き合ってください!」」と言われた。

「あ~・・・。」 僕は視線を逸らした。

告白される時は、一人なのに今回は二人一緒なのでどう言ったらいいか少し、戸惑った。

「じゃあ・・・音河さん。」 僕は戸惑いながら音河さんに顔を向けて言った。

「は・・・はい!」 

音河さんはびっくりしたのか、頬が赤くなっていた。そして、少し間を空けて僕は言った。

「ごめんね・・・音河さん。」 僕は彼女の告白を断った。

そしたら、彼女はがっかりとした顔をして、顔を下に向けた。

「そ・・・そうですね・・・迷惑、でしたよね? 嫌いに・・・なりますよね?」

彼女は悲しそうに言った。 ちょっと可哀想だったから僕は口を開いた。

「ううん、全然迷惑じゃあないよ。 それに僕達、友達でしょ?嫌ったりなんかはしないよ。」 

彼女を励ます。

そしたら、彼女は顔を上げ嬉しそうな顔をした。

(あとは、この子なんだけど・・・。) 僕は音河さんの隣を見た。 

「あの~・・・君、名前は?」

と名前を尋ねたら、彼女はキョトンとした顔をした。

「もしかして・・・覚えてないの、ボクの事?」 

「いや・・・覚えているって・・・君の事なんか全く知らないし。」

彼女は僕の事を知っているようだ。 だけど僕はこの子の事は知らないし、見覚えも無い。

そう言ったら、彼女はなぜか笑った。 そして、僕はその笑顔を見たらまた背筋がゾクっと来た。 そしてふと気づいた。

(・・・何故だろう・・・この感覚、前にもあったような気が・・・。)

そう考えていたら、彼女はスカートのポケットから一つの写真を取り出し、僕に渡した。

「これ見たら、絶対思い出すよ。」

と顔をニコニコしながら言ってきた。僕は首を傾げて、彼女の持っている写真を見た。

「・・・ッッ!!!」 写真を見た瞬間、僕は思わず悲鳴を上げそうだった。 

隣いる音河さんは、頭に?マークを浮んでる顔をしている。

「こ・・・この、写真って・・・。」 

僕は全身をガクガク震わせながら言った。 写真に写っているのは、背中まで届いているうすい水色をした髪、黒色のやけに短いスカートのゴスロリ服と頭の右側に小さな黒帽子、涙目でうるうるしている綺麗な瞳、白い肌に滑らかな唇、まさに美少女とも呼べる女の子なのだが・・・これ僕だ。

(ああ・・・いやな記憶が覚えだしてきた・・・もう、覚えだしたくもない記憶が・・・。)

僕は一人寂しいそうに、心の中で呟いた・・・。

 

2009/08/01
17:20
告白(中編)

その後の僕は、二時間目の終わりのチャイムが鳴り終わって三分後に目が覚めた。

吐き気も無くなったから、保健室を出て自分の教室に戻った。 三、四時間目は普通に授業をした。

そして、四時間目の終わりのチャイムが鳴り先生が教室から出たら腰を伸ばした。 その途中佐倉塚さんが寄って来た。手には丁寧に布で包まれている弁当を持っている。

「桜咲くん。 屋上に行きましょう。」 と、笑顔で言った。

僕はうんと頷いて、鞄から弁当取り出して椅子から立ち上がって教室を出て、屋上に向かおうとした。


―陸南中等学園 屋上―

「・・・。」

「・・・。」

(・・・何だろう・・・この一言でも喋ったら地雷を踏むとも言わないばかりの空気は・・・。)

僕達が屋上向かっている途中、林ちゃんと会った。手には弁当を持っていて、「久しぶりに瞬ちゃんと一緒にご飯が食べたいから」と言って、僕は「うんいいよ。」と頷いた。

そしたら、急に後ろからグサリとくる視線を感じ、ゆっくりと後ろを向いてみたら、佐倉塚さんが何か恐ろしい気(?)みたいなものを放ち、僕を睨んでいた。 え? 僕、何か悪いことした?

そう思った瞬間、前からも同じ感じがした。ゆっくりと前を見たら、林ちゃんはニコニコとしながら恐ろしい気(?)
みたいなものを放ち、僕を睨んでいた。

佐倉塚さんも恐いけど、林ちゃんは顔をニコニコしているから余計に恐い。 しかも二人の背後からゴゴゴ・・・と言う文字が浮んでいる。

しかし、僕は気づいた。 二人が睨んでいるのは僕ではなく、お互いが睨み合っていた。二人の間に僕が立っていたから僕が睨まれたと勘違いをしていた。

「しかし・・・なんでこんな事に・・・。」 と僕は二人に気づかれないようにため息をした。


(ハァ・・・何だか、お弁当食べた気にならないな・・・。)

僕はそう思いながら、ほうれん草を口の中に入れた。 醤油の味がきいてうまかったけどやっぱり食べた気にはなれない。


―教室―

「ふう・・・何で、今日はこんなに疲れる日なんだ・・・。」

僕は机にうつ伏せ状態でポツリと言った。 後々、佐倉塚さんはは林ちゃんと話したいことがあるから先に教室に戻っていてと言って、僕は教室のほうに戻ってきた。

「しかし・・・何であんなことになったんだ?」

あの二人は、そう言って体を起こしたら、黒板の近くに三人の女子達が喋っていた。

その三人の女子の中に目立っている白銀の髪をした女子智東 真奈美がいて、僕に気づいたのか目があった。

そしたら、彼女は優しく微笑んで、僕は首を縦にゆっくりと振った。

(そういえば・・・あれから彼女の殺意がまったく感じれなくなっているな・・・。)

彼女が転校してきた最初の日以来、あの殺意はまったくなかった。

(いったいあの殺意は、何だっただろう? 分からないままだ・・・。)

キーンコーンカーンコーン・・・。

そう考えていたら、ちょうど予備鈴があった。

「・・・ちょっと、トイレに行くか・・・。」

そう言って、立ち上がって教室を出た。


―男子便所―

「ふう・・・。」

僕はトイレをすませ、ちょうど手を洗い終わったところだった。

「ハンカチ、ハンカチっと・・・ん?」

ハンカチをとろうとしてポケットに手を入れたら、紙らしき物が入っていて取り出した。

「ああ、これか。 すっかり忘れていた・・・。」

今日は色々と疲れることがあったから、この二通の手紙のこと忘れていた。

「まあ、一応場所だけは確認しておこうか。」

そう言って手紙をそばにあったトイレットペーパーの上に置きハンカチを濡れた手を拭き、手紙を取って一つ目の手紙を見た・・・。
 

2009/07/20
20:50
告白(前編)2

―陸南中等学園 保健室―

キーンコーンカーンコーン・・・。

「う、う~ん・・・。」 

僕はチャイムが鳴っている中、目が覚めて上半身を起こした。

「起きたか、桜咲?」

僕は目がまだ霞んでいる中、誰かがいて、その方へ向いた。

「あ、先生・・・ふあ~あ・・・。」

「いきなり、あくびするな。 まあ、別にいいけど・・・お前、体調は大丈夫か?」

「あ、はい、吐き気は無くなりましたが頭痛がまだしています。」

「そうか。じゃあもう少し休んでいけ。 あとで担任の先生に伝えてやるから。」

「じゃあ、お願いします。」

そう言ったら、多木先生は椅子から立ち上がって冷蔵庫を開け缶コーヒーをとった。冷蔵庫の中は缶コーヒーが数十本ぐらいはあった。

「飲む? かなり苦いけど。」

と先生は片方の缶コーヒーを僕の方に差し出した。

「いりませんよ。 どちらかと僕は甘口派なので。それに学校で缶コーヒーなんて飲んでいいのですか?」 と言ったら

「そう。 それは残念。」

軽くスルーして、缶コーヒーを冷蔵庫にしまって片方のコーヒーを飲んだ。 そしたら、なにか言いたいことがあったかの様な顔をした。

「あ、そうそう桜咲。 お前の妹達、早退したから。」

「え?」 

「お前が寝ている間、下の方の妹が熱が出てな。親に連絡していたら、 ちょうどいいタイミングで上の方の妹が来てな、連れて帰らしたんだ。」

「なんで、涼まで帰らせたのですか?」

「私は最初、親に頼もうとしたのだが上の妹がつれて帰るって言ってな。 それでだ。」

そう言ったら缶コーヒーを飲んだ。

「まったく・・・一年中健康のお前らがどうして、こんな目にあっているのだ?」

うんざりした顔で頭をかき、缶コーヒーを飲み干し、ゴミ箱に捨てた。

「まあ、いいけどね。 じゃあ、私はまた職員室に戻るから。体調が直るまで安静して。 それと、冷蔵庫のコーヒーなら飲んでもいいから。」

と言い残して、保健室から出た。 だから飲む気は無いですよ、とため息をした。 

「ふう・・・やっぱあの先生苦手だな・・・面倒見はいんだけどなんかな・・・。」

と、もう一回ため息をした。 そしたら、

「失礼します。」

急に入り口のほうから、凛とした声がした方を見た。

「あ、佐倉塚さん・・・。」

「あの・・・ごめんね。 あれは・・・その・・・。」

僕は謝ろうとしたが、さすがにどういう風に言ったらいいか分からなかった。 そしたら、急に佐倉塚さんはクスッと笑った。

「いいわよ、もう怒ってないから・・・それより、体の方は?」

「あ、うん。 まだ頭痛はするけど、大丈夫。」

「そう、まあ朝よりは顔色がよくなっているしね。」

「それにしても・・・あなたと話すのって久しぶりじゃない?」

「そういえば・・・そうだね。」

彼女と話すのはずいぶん久しぶりの様で、十二族の件以来、喋ってないような感じがする。

「ねえ・・・桜咲くん。」

「なに?」

「久しぶりに・・・その、お昼ご飯・・・食べる? 私は・・・その、別に無理には頼まないわ。 あなたが・・・いいのなら・・・。」

彼女は頬を赤くして、もじもししなが言ってきた。 僕は考え込んだ。そういえば、彼女とご飯食べるのあの時以来だ。

「う~ん・・・いいよ。 涼たち、早退しちゃったからご飯食べるの一人っきりになっちゃうしね。」

僕は頷いてそう言った。 そしたら彼女はボソボソと何かを言った。そんな中、急に入り口のドアが開いた音がした。

「瞬ちゃん、いる?」

おっとりとした声が、僕の名前を呼んだ。

「林ちゃん。 どうしたの?」

「なんだか、瞬ちゃんの様子が変だから心配して瞬ちゃんの教室に行ったらいなくて、それでクラスの人に聞いてここにいるって。」

「そうなんだ・・・ごめんね、心配させて・・・。」

「ううん、気にしないで。 ところで、この人は?」

林ちゃんは佐倉塚さんのほうを見た。紹介しようとしたら、佐倉塚山は口を開いた。

「初めまして、私は桜咲くんのクラスメイトの佐倉塚 菜々。 あなたは?」

「あ、私は1年E組の草原 林です。 瞬ちゃんの幼なじみです。」

林ちゃんは少しオドオドして言った。

「草原さん、ね・・・。 その名前覚えておくわ。」

「はあ・・・。」

林ちゃんはよく分からないまま頷いた。 僕もよく分からないまま首を傾げた。 

「それじゃあ、桜咲くん。 またあとで・・・。」

そう言って、佐倉塚さんは立ち上がって保健室から出て行った。それから数十秒後、多木先生が戻ってきた。

「お、草原か。 桜咲の見舞いか?」

「はい・・・そうですけど。」

「草原、見舞いがいいが、時間考えているのか?」

そう言ったら、多木先生は時計のほうを見た。それにつられて、僕達も時計のほうを見た。 時計の針は9時53分。 もうあと、2分で授業のチャイムが鳴る。

「あ、いけない。 次、理科室で実験授業だった!」

林ちゃんは思い出したかのように慌しく言った。

「急いだほうがいいぞ? もうすぐ、チャイムが鳴るぞ?」

と言ってコーヒーカップにお湯を入れた。 まだ飲むのですか・・・胃袋は大丈夫なのなのかな、この人は。

「はい。 それじゃあ、瞬ちゃんまたあとで。」

林ちゃんは手を振って、いそいで保健室から出て行った。

「お前はいいから、寝ておけ。 頭痛、治らねえぞ?」

と、僕に近づきおでこに軽くデコピンしてきて、椅子に座った。僕はおでこをさすりながら、小さくため息をして布団にもぐって、また眠りに付いた・・・。

 

2009/07/16
23:59
告白(前編)

―陸南中等学園 屋上―

あれから翌日の放課後、僕は屋上にいた。 屋上にはまぶしい夕日の光が差し込んでいて、町が橙色に染められ夕焼け雲も見れてまさに絶景だった。

まあ、僕は絶景を見に来たのではなく、ある用事に呼ばれてここに来ただけ。 そして僕の前には、女の子が二人いて、そして、

「「付き合ってください!」」 と頭をさげて告白された。

何でこんな目にあっているのかと言うと、朝を振り返った・・・。
 

―陸南中等学園 校門前―

「ハァ、ハァ! 頑張れ、洋! あと少しだ!」

「ハァ・・・ハァ・・・待って、にいにい、涼ちゃん・・・ハァ、もう走れない・・・。」

「洋、頑張って! もうすぐ、着くから! ああ、もう後四分しかないよ!」

今回は珍しい出来事だった。なぜか、家族全員が寝坊をしてしまった。 なぜ、寝坊をしたか不明のままだった。 とりあえず、僕たちはすでに誰もいない校門を抜け、下駄箱まで疾走した。

「急ごう! あと二分で鳴っちゃうよ!」

「・・・うん?」

僕の靴置き場の戸を開けたら、二つの手紙があった。一つは緑色の手紙と白色の手紙である。

(やれやれ・・・またか・・・。)

僕はため息をした。 この手紙の内容は大体想像はできる。 

「お兄ちゃん早く! あと一分しかないよ!」

「やばい、急ごう!」

僕は、手紙をいそいでポケットの中にいれ、教室のほうに向った。 廊下には「走るな!」と書かれた紙が張ってあったがそんなの事を気にしてる暇はない。


―教室・・・2-B―

キーンコーンカーンコーン・・・。

「ゼェ・・・ゼェ・・・つ、疲れた・・・。 頭ガンガンする・・・気持ち悪い・・・。」

僕達はなんとかチャイムが鳴る前に間に合ったが本気で疾走したせいか、頭痛や吐き気がするし、教室に入ってきた瞬間、洋が倒れていたし、もう最悪の日だと感じている。

おまけに、知らないうちに寝てしまっていて、朝会がちょうど終わっていた。

「大丈夫、桜咲くん? 顔色が凄く悪いわよ?」

と、佐倉塚さんが心配そうに言って来た。

「ああ、佐倉塚さん。 いえ、ちょっと・・・うぷっ。」

僕は苦笑いしながら答えようとしたら、吐き気が一気にこみ上げてきた。 僕は元々体力とかあんまり無いから長く走ってしまったらこんな風になる。

「ほ、本当に大丈夫? 保健室いったほうがいいと思うよ?担任の先生には伝えておくから。」

「す、すみません、佐倉塚さん・・・それじゃあ、おねがッ!」

立ち上がってある事したら足が机の端に躓いて、佐倉塚さんの胸の真ん中に顔があたった。

「あ・・・。」

僕はいそいで佐倉塚さんから離れた。幸い、誰も見ていなかったため、僕は心の中ではほっとしていた。・・・いや、そうでもなかった。

「・・・い。」

彼女のがみるみる赤くなっていきそして・・・。

「いややあああぁぁぁぁーーーーーー!!!」

佐倉塚さんは、鼓膜が破れるぐらいの叫び声を上げた。 そして、右手をあげ、僕の顔に目掛けて思いっきりフルスイングした。

―五分後―

「いたた・・・本気でビンタされた・・・事故だったけど、しょうがないか・・・。 うぷ、まずい・・・ますます、気持ち悪くなってきた・・・。」

僕は歩きながら佐倉塚さんにビンタされた頬をさすっていた。僕にビンタをした佐倉塚さんは走って教室を出ていた。頭痛+吐き気がしていて、佐倉塚さんのビンタが炸裂したせいで僕は三分間倒れたままだった。 周りにいた人はなにがおこったのかわからないままだ。

(ハァ・・・あとで、謝ろう・・・。)

そう思って、ふとため息をしながら、角を曲がったら、

「きゃ!」 「おっと!」

ちょうどのタイミングで、紙を持っていた女子とぶつかって持っていた紙が床に散乱した。

「いたた・・・あっ、すみません! 大丈夫ですか!?」

僕はお尻をさすったら慌てて、床に散乱した紙を集めた。

「ええ、こちらこそすみま・・・て、その声、瞬ちゃん?」

僕はえっ?と思って振り向いたら、僕の幼馴染の林ちゃんがいた。

「やっぱり瞬ちゃんだ。 ずいぶん久しぶりねー。」

そう林ちゃんは相変らずのおっとりとした笑顔で言ってきた。

「う・・・うん、そうだね。」

「あれ? 瞬ちゃん、顔色悪いよ? どこか気分が悪いの?」

「うん・・・まあ、そんな所かな。 僕、保健室に行くからそれじゃ。」

僕は散乱した紙を彼女に渡し、手を振って林ちゃんと別れた。 途中何か言おうとした気がしたが僕には聞こえなかった。


―保健室―

「あら、珍しいお客ね。」

僕が保健室の入り口のドアを開けたら、保健室の先生・・・多木先生がすぐに気づいた。

「どうしたの、桜咲? 何かやけに、顔色が悪いわよ?さっき、お前の妹が来たが顔が死んでいたが・・・一体、何があったのだ?」

多木先生は不思議そうな顔でコーヒーを飲んで言った

「す、すみません・・・多木先生・・・あんまり聞かないでください・・・。ちょっと気持ち悪いので、休ませてください・・・。」

そう言ったら、多木先生はコーヒーカップを置き、布団だけを出しソファーの上にひいた。 

「・・・なんで、ソファーなんですか?」

僕はソファーに指を指しながら、多木先生の方を見て言った。ソファーはそんなに小さくないが、人が一人寝れるサイズだ。 でも、何でソファー?

「ごめんな、ベットは三個ともすべてに使われていてね。ソファーしかないのよ。何だったら、妹が寝ているベットに一緒に寝るか?」

多木先生はニヤリと笑いながら、僕に言った。僕はなんの躊躇いも無く、「いえ、結構です。」と即効で却下した。学校の保健室で妹と一緒に寝ていたら、みんなの視線が痛いし、何より、涼が怒りそうだ。 想像しただけでも恐ろしい。

「そう。 じゃあ、あたしは職員室に戻るからゆっくり寝てなさい。勝手にコーヒー入れちゃ駄目よ? それ、私のお気に入りだから。」

そう言い残して、保健室を出て行った。別に飲む気はありませんよ、と言わんばかりのため息をして、
ソファーにひかれていた布団の中に入った。

「うん・・・ちょっと硬いけど、寝心地は悪くはないね・・・。」

そう言いながら、僕は眠りについた・・・。