忍者ブログ

新者の雑記置き場

新者が小説やら雑記やらを書くブログです 宜しくお願いします
RECENT ENTRY RECENT COMMENT
[03/16 レイコウ]
[03/04 セルス]
[03/03 レイコウ]
[02/20 レイコウ]
[02/06 レイコウ]

2025/04/20
19:11
[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2009/07/04
12:54
死亡(前編)

―???―

「ストレートフラッシュ・・・オレの勝ちだな。」

「またかよ。 これで何敗目なんだよ、まったく・・・。」

真道は頭を掻きながら言った。

「俺が26勝9敗、真道が9勝26敗だ。」

「・・・聞かなきゃよかった・・・。」

真道はがっくりとしたため息を出して、俺は笑いながら「じゃあやめるか?」と言った。

「そうさせてもらう。 やれやれ、任務が無い日ってほんと暇だな。」

そうブツブツいいながら、椅子から立ち上がった。

「そうだな・・・。」

はっきり言ったら俺も真道と同じ気持ちだ。 任務が無い日は大抵、部屋にいるか暇つぶしに真道とポーカーしているが、最近はどうも暇だ。 そう思いながら、着ていた革の黒コートのポケットからタバコを出した。

「ころそこ、俺の部屋でタバコ吸うな。 においが染み付く。」

「分かったよ。 やれやれ、お堅い人でだな。」

そう言って俺は、タバコをコートのポケットに戻した。 

「まったく、お前は・・・前に言わなかった?」

「悪かったよ、それよりいつものコーヒー。」

「・・・お前は本当に反省しているのか、洞豪? まあ、いいけど。ちょうど、のど渇いたし。」

真道は、戸棚から黒のマグカップを取り出して、コーヒーメーカー

そう言ってら、廊下から騒がしい声がして、その声はどんどん近づいてきた。 まあ、誰だかはすでにわかっているが・・・というかだんだん腹が立ってきた。 あの声を聞いているだけでもイライラする。 そんな中、ドアが乱暴に開いた。

「てへいんだ! てへいんだ!ていへんぜっせい、親分!」

馬鹿(チャラ助)が江戸っ子(?)みたいに慌しく言った。 

「うるさいぞ、チャラ助。」

俺ははディムロを出し、チャラ助に目掛けて投げた。 チャラ助は慌ててディムロをかわして、廊下の壁に刺さった。 チャラ助俺に文句を言った。 

「うわ、あぶな! 今のわざと? 絶対わざとだろ!」

「違う、ちょうどお前の所に、虫がいたんだ。」

本心は殺す気満々だったがな。

「だからって、自分の大剣投げるか、桐ちゃんは!? あと、顔に殺すの文字が出ているよ!」

いちいち、うるさい男だ。 というかうっとうしい・・・だから、俺はコイツが嫌いなんだよ。 

「はいはい、そこまで。 洞豪、人の部屋でディムロを投げるな。あとで壁を直せよ。」

真道はあきれるかの様に言った。 俺は無言で指を鳴らしたら、ディムロは勝手に消えて、俺はコーヒーを飲んだ。

「で、一体なにが大変なんだ、卓志?」

真道は一回ため息をしてチャラ助の方を向いた。

「ああ、お前ら落ち着いて聞けよ。」

その前に走ってきて、ぜえぜえ言っているお前が落ち着けって言いたいがチャラ助にしたら、慌てようがおかしい。 そんなに大ごとなこと以外にコイツは騒がないのは俺でも知っている。 知りたくも無かったがな・・・。

「わかったから、一体何があったんだ?」

真道はめんどくさそうにため息を吐いた。 というか、何か任務のない日は大抵数十回はため息してしまう。

「実は・・・卯族の棟梁、津輪葺 減萄が・・・殺されたみたいだ。」

「なっ!」

「・・・間違いないか?」

真道は驚きを隠せないまま声をあげて持っていたマグカップを危うく落とそうとしたのに対し、俺は冷静でいった。 なるほど・・・道理で、この馬鹿(チャラ助)が騒ぐわけだ。

「ああ、俺もさっき知った所だ。」

「なるほどな。 で、犯人は?」

「それが・・・分からないみたいだ。」

「分からないだと? どういうことだ?」

チャラ助は珍しいことに歯切れの悪いかのように答えた。

「・・・犯人の痕跡とかまったくないんだ。 何処に逃げたか分からないままだ。」

「死体の傷口は? それなら分かるはずじゃあないのか?」

しかし、チャラ助は首を振った。

「それが、死体はバラバラに切断されていたんだ。それに・・・妙なんだ。」

「妙?」

「聞いた話じゃ、その死体は手、足、指、首、顔、肩、耳、鼻とか、色々な部分が綺麗に切断されていたんだ・・・。」

「・・・。」

さすがに俺でも驚きのあまり言葉を失ってしまった。

「・・・なあ、死体の見つかった場所って、奴の研究室か?」

「え? そうだけど・・・なんで分かった?」

「やっぱりか、チッ、あのクソッタレ人形師が。 棟梁でありながら自分の作った人形に殺されたのか。 情けない奴が。」

そう文句を言いながら少しゆるくなったコーヒーを飲み干して、椅子から立ち上がってドアのそばに掛けていたぼうしをかぶった。

「わかったのか、犯人?」

真道が聞いて来た。

「誰かは分からんが、大方はな。 とりあえず、俺は研究室に行く。 真道とチャラ助は?」

「俺も行く。 どうせいたっても暇なんだしな。」

「俺も。 いろいろと情報・その他もろもろ集めないとな。」

その他って一体ほかに何を調べる気だ、コイツは・・・? まあ、とくに気にはしないがな。

「じゃあ、行くか。」

そう言って、俺達は部屋を出て、卯族の棟梁の研究室に向かった・・・。
 

PR

2009/07/01
17:03

―桜咲宅―

「おーい・・・。」

僕はリビングから出て洗面所に入って、彼女がいる風呂場に小さくノックした。

「もういいから、出てきて。」

そう言ったら、彼女は脅えた声で、「・・・だ、だれもいない?」と言った。

「うん、誰も居ないよ。 でもいつ来るか分からないから、いそいで。」

「う、うん・・・。」 と言ったら、ドアを開けて出てきた。

「とりあえず・・・外に出よう。 家の中じゃいつまで持つかわからないから。」

そう言って、僕は彼女の手をとろうとしたら、彼女は慌てて手を引っ込んで、体が震えていた。

「あ、そっか、ごめん・・・。」 

そういえば、彼女は重度の男性恐怖症の事を忘れていた。

「・・・。」 彼女は黙って、顔を下に向けたままだった。

「とりあえず、行こうか・・・。」 そう言って僕たちは歩き出し、外に出た。


―堂千公園―

「と言っても、何処に行ったらいいのか・・・。」

僕はベンチに座ってポツリ独り言のように言った。 外には出たのはいいけど、何処に行ったらいいのか分からない。 彼女は家から出てからこの調子で何も喋らないし・・・。と思って、小さくため息をしたら、

「あ、あの・・・。」

突然、彼女が口を開いた。

「何?」

「何で・・・あなたは、そんなに優しいの・・・?」

「え?」 

「私は・・・今まで、男の人は恐かった。 触れたくないぐらい・・・恐かった・・・。でも、あなたは違う・・・。 あなたは他の男の人とは違う・・・まったく恐くない・・・どうしてなの?」

「どうしてって、それは・・・当然の事じゃないかな。」

「どうして?」

「男は女にはやさしく、時には厳しく。て父さんが言っていた。 それにこの世界の男の人は、君が思っているのと違うよ。 この世界の人間はやさしいよ。 とっても。」

「そうなの?」 彼女は顔を上げて、僕の方に向いた。

「うん。」 僕は笑顔で頷いた。

そう言って、しばらくお互い、何も話さなかった。 家出て何分ぐらいたつのだろうか?とぼんやり考えながら、
雲を見ていたら、

「美奈!」 と叫んだ。

僕はその叫んだほうを見たら、女性がいた。 

「お姉ちゃん・・・。」 

「え? お姉ちゃん?」 僕は彼女の方を見た。

「うん・・・。 知佳お姉ちゃん・・・、私のたった一人のお姉ちゃん・・・。」

小さな声で言ったから聞き取れなかった所があるが、どうやら、彼女の姉らしいみたいだ。

「お前は、裏切り者の! アンタが美奈をさらったのか!」

そう言ったら二丁の銃を出し、僕に向けた。

「待ってください! 僕は彼女には何もしていません!」

「じゃあ、なんで美奈がアンタの横にいるのさ!?」

「僕はただ、彼女を探している人を探していたのです! 決して、彼女には手を出していません!」

「ふん、信用できないね! アンタは裏切り者の息子! あたし達の敵なんだから、信用は一切出来ないわね!」

「くっ!」

僕がいくら言っても、彼女は信じてくれなかった。

「アンタを殺して、美奈を連れて帰るわ!」

彼女は引き金を引こうとした、瞬間。

「お姉ちゃん・・・!」

突然、彼女が口に開いた。 そしたら、銃を持った姉は、彼女の方を見た。

「美奈?」

「・・・この人が言ったこと、全部・・・ほ、本当・・・。 だったから・・・やめて・・・お姉ちゃん・・・。」

彼女は震えながら言った。

「ど、どうしたの、美奈? 男を庇うなんて・・・あれだけ、男が嫌いだったのに・・・。」

さすがに彼女も敵であって重度の男性恐怖症の妹が男である僕を庇うのは驚くだろう。

「でも・・・この人は違う・・・私に・・・優しくしてくれた・・・私は彼の敵なのに・・・彼は優しくしたの・・・。 だから・・・おねがい・・・。」

彼女が喋り終わり、しばらくしたら、姉の方は銃をしまった。

「・・・わかったわ、あなたがそこまで言うんなら、コイツは殺さないわ。」

「ありがとう、お姉ちゃん・・・。」

「それと裏切り者の息子。」 彼女は鋭い目をして僕を睨んだ。

「何ですか?」

「今回は見逃してあげるわ。だが、次にあった時は必ずアンタを殺す。 それを覚えておくことね。」

「お姉ちゃん・・・。」

「美奈、分かっているはずよね? 裏切り者は必ず殺さないといけない事を・・・だけど今回の事はあたしに任せて。 あのお方ならきっと許してもらえるから。」

「うん・・・。」 

「・・・帰るわよ、美奈。」

そう言ったら、彼女は背を向け、公園を出た。

「それじゃあ・・・ね。」 

「うん、またね。」

そう言って彼女は歩き出した。すると、数十歩歩いたら、急に彼女は立ち止まった。

「・・・だから。」

「え?」

「・・・私の名前は、真木野 美奈、だから・・・。」

「・・・僕は桜咲 瞬。 君の事は覚えておくよ・・・えーっと・・・。」

「・・・美奈でいいよ。」

「ああ、じゃあ美奈、またね。」

「またね、・・・瞬。」

そう言ってお互いは手を振りなら別れていった・・・。
 

2009/06/18
00:02
協力

―桜咲宅―

「協力?」 

「ええ、闇の死者はかなり手強い。やつらは仲間や同胞、それぞれの世界の住人達が殺されていってしまいました。だから我々光の裁判官は一人でも多く、協力者が必要なのです。無理には言いませんが、私の方はどうか協力してほしいのですが・・・。」

「どうするの、龍?」 京香さんが訊いてきた。 

「うむ・・・そちらも大変なのも分かるが・・・。」

父さんは少し首を曲げて考えた。

「少し考えたいから一日と半日、待っていただきのだが、いいだろうか?」

「かまいません。協力していただくのなら我々は大歓迎です。」

クレトアさんは少し喜んだ顔をした。

「ちょっといいか?」 急に三多朗さんが声をあげた。

「なんですか?」

「光の裁判官の協力者ってどのくらいいるのだ?」

と言った。 それは僕も気になっていた。

「たしか、今日の報告の三人を含めて・・・1525人ですね。」

「えっ!」 僕はあまりにも驚いて声をあげた。まさか
そんなにいるとは思わなかった。僕の中じゃ、500~600人ぐらいかと
思っていた。

「まさかそんなにいるなんて・・・世界って広いのですね。」

「ええ、世界はあなたが思っていた以上に広いのです。」

僕は初めて実感した。世界が、こんなに広いと実感が・・・

ドクン・・・。

(! なんだ、今の?)

突然、僕の体から違和感というか何かが起こった。

(何だっただろう、今の? いきなり、何かが僕の体に?)

「ん? どうしたの、瞬? 顔色が悪いけど。」 

僕に気づいた三多朗さんが訊いてきた。

「い、いえ。 大丈夫です。」 

「瞬、お前は早く寝ていろ。 って言ってももう朝か。」

父さんは時計を見ながら言った。 今はもう、5時56分。もう太陽も出ていた。

「それでは私はこの辺で。また、一日後のお昼ごろにそちらに向いますので。」

と言って立って玄関のほうに向おうとした瞬間、

ズズズ・・・

「なっ!」

突然、クレトアさんの前に空間の傷口が現れ、その中に入っていき、空間の傷口は跡形も無く消えた。

僕達は驚愕していて誰も喋らなかった。数分したら、みんなは力が抜けたかように座った。

「な、なあ龍。 今、あの男がやったのは・・・空間切断じゃ、ないか?」

「ああ・・・そうだな。」

「そうだな、ってありえないでしょ!? 空間転移ならともかく、空間切断なんて・・・。」

父さんは冷静に答えたに対し、京香さんは驚きが隠せないように叫んだ。

「とにかく、今は休んだほうがいいだろう。俺達、ちっとも休んでないからな。佐波も休んで冷静になれ。」

父さんはふとため息ついて言った。

「・・・帰るわ。」

京香さんはいらだった顔をして玄関に向かった。

「ちょ、ちょっと待ってよ。 それじゃ龍、また明日。」

三多朗さんは京香さんに続いて帰っていった。

「じゃあ、俺は少し寝るから。」

そう言って父さんは、ソファーに寝転んだ。

「じゃあ僕は・・・あ。」

「ん? どうした?」

「う、ううん、なんでもない。」

実際の所僕はとんでもない事を忘れていた。 話に夢中だったせいで、十二族のあの子の事をすっかり忘れていた。 僕は、父さんにばれない様に風呂場に行った・・・。
 

2009/06/11
01:07
光の裁判官―ライト・ジャッジ―

―桜咲宅―

「・・・。」

「・・・あの、お茶出しましょうか?」

「いえ、いいです。 話をしたいだけですから。」

「あ、そうですか。 ・・・。」

「・・・。」

(うう・・・なんか、気まずい・・・。 三多朗さん、何か言ってくださいよ。)

僕はさっき玄関で僕の全くそっくりな人、クレトア・レードさんが全然喋らないから、かなり気まずいから三太郎さんに助けを求めた。

(龍が戻るまで、少し我慢して。)

と三多朗さんは答えた。 正直な所、耐えられない。

父さんは、僕達がリビングに向おうとしたら、リビングから出て、母さんを背負って自分の部屋に行ったきりだった。

「・・・待たせて、悪い。」

と同時に父さんが戻って来て、椅子に座った。

「・・・ちょっと、俺の方から言いたいことがあるが・・・いいか?」

「どうぞ。」

「・・・アンタ、一体何処の組織の人間で、何が目的だ?」 

父さんは険しい顔で腕を組んで言った。そしたらしばらく時が止まったかのような静寂な感じがした。

「・・・単刀直入ですね。 いいですよ。」

とすこしクスッと笑って答えた。

「私の組織名は、光の裁判官―ライト・ジャッジ―という名です。」

「光の裁判官? 聞いたこと無いな・・・。」

父さんは考えるように呟いた。

「そうでしょうね。我々はおもに裏の組織なので表に出ることは極めてないので知るものもいないです。」

「なるほど。 で目的の方は?」

「我々の目的はただ一つ。 すべての世界に散らばった闇を残らず断罪する! それが光の裁判官の目的でもあり、我々・・・光の騎士―ライト・ナイト―の使命でもある。」

「光の騎士?」 三多朗さんが首をかしげて言った。

「光の騎士とは、神聖なる世界を守る者のこと。基本的には光の裁判官の総統の命によって動いているのです。」

「なるほど。」 

「あの~・・・ちょっといいですか?」 僕はちょっと気になることがあったから声をかけてみた。

「なんですか?」

「クレトアさんが言っていた闇、ってなんですか?」

と言ったらなぜか彼の顔が物凄く険しい顔になった。

「・・・文字道理です。奴らは危険で凶悪凶暴な存在で絶対に神聖なる世界に生まれてはならない闇・・・。
我々は奴らを闇の死者―ダーク・デッド―と呼んでいる。」

「闇の死者・・・。」 僕は思わず唾を飲み込んだ。

「あっ、もしかして裏山に現れたのが?」

父さんがハッと気づいたかのように声を上げた。

「そうです。奴らは厄介ですよ。奴らには、下・中下・中上・上、それぞれの種族がいるのです。 あなた達のが戦ったのが下位のウルフタイプと上位のケルベロスタイプです。下位種族は力はそんなに無いけど団体になると厄介です。例えて言うとハイエナのようなものですよ。上位は下位のリーダーみたいなものですね。 上位の能力は空間移動があるからもっとも厄介な相手です。」

「そうか・・・だからあの時、そのケルベロスタイプが空間から来たって訳か・・・。」

「そういうことです。 ではそろそろ、私の方もいいですか?」

「ああ、すまない。 長話になって・・・。」

「気にしないでください。 では、私が話したことは・・・。」

「・・・。」

クレトアさんが、真剣そうな顔で僕達を見て、辺りは静寂になった。 そしてしばらくしたら、クレトアさんの口から言った言葉は、

「我々、光の裁判官と、協力していただけませか?」

と真剣な顔で言った・・・。
 

2009/06/02
01:31
二重人格

―桜咲宅ー

玄関から物音がして、僕と森本は玄関の方へ行った。

「チッ、逃げられたか!」

先に見た森本が不機嫌な顔で舌打ちをして言った。 僕も後から見たら、靴箱の横に縄があって、玄関のドアが開いていた。そしたら、森本は急に外へ出て、周りを見回した。

「チッ、桜咲!」

森本は、また舌打ちをして僕を呼んだ。

「俺はこの辺りを探すから、お前は家に大人しくしておけ!」

僕に指を指しながら、空中に浮んだ。

「森本!」

僕は森本を呼びとめようとしたが、聞こうともせずそのまま行ってしまった。

「まったく・・・少し落ち着いて、ん?」

家に入ろうとしたら、庭のほうから声が聞こえた。なんだかとても脅えているこえだった。気になった僕は庭のほうをちらりと見た。

「あれは・・・あの子、なのか?」

ちょっと薄暗くて見えないけど、あの小さな体格は間違いなく十二族の幹部の子だ。僕が歩こうとしたら、彼女は気付いてこっちを見た。しかし、

「・・・ッ!!」

彼女は僕からいそいで離れて、庭の隅に行って頭を抱えてビクビク脅えてた。

(何だろう、何だか様子がおかしい?)

僕は彼女に近づき、声をかけようとしたら、

「来ないで・・・!」

と脅えてるせいか、小さな震えた声で言った。 僕はなぜ彼女が脅えているのが分からないが、とりあえず彼女を落ち着かせようと考えた。

「大丈夫。 僕は何もしないから、ね?」

僕は冷静に優しく言った。しかし、彼女の態度は変わらなかった。

「いや・・・いや・・・!」

彼女は脅え続け、ついには涙まで出てきた。しかし、それでも僕は冷静でだった。 自分でも不思議だと思っている。 彼女は十二族の幹部であって僕の敵でもあるのに。 それなのになぜか、心が落ち着いていた。

「涙が出ているよ。 はい、このハンカチでふいて。」

僕はポケットに入っていたハンカチを渡した。そしたら、彼女は涙を流しながらこっちを見た。

「・・・。」

彼女はしばらく、僕のことをじぃーっと見詰めた。

「・・・いいの?」 と聞いてきた。

僕はにっこりとうなずいた。そしたら彼女は、ハンカチをとって涙をふいて、ハンカチを返した。

「もう、いい?」

そう言ったら、黙ってうなずいた。しばらくしたら、

グゥ~・・・。

「・・・。」

突然、彼女のお腹がなった。よっぽど恥ずかしかったせいか、彼女の顔が耳元まで真っ赤になった。僕はあまりにもおかしかったら、つい笑ってしまった。

「お腹減っているの?」

僕はくすくすと笑いながら言ったら、彼女は黙ってうなずいた。


その後、僕は彼女を家に入れ、リビングのソファーに座らせて戸棚から、僕のお気に入りのパン、メロンクリームパンを取り出しもっていき、彼女に渡した。

「はいこれ。口合うかは分からないけど・・・。」

「・・・。」

彼女は僕をじーーと見ていた。いかにも「食べてもいいの?」という目をしていたから、僕は「いいよ。」とうなずいた。

そしたら、彼女は袋をゆっくりと開け、パンを取り出して、

「・・・いただきます。」と小さな声で言った。

「どうぞ。」 と僕は言った。

そしたら、彼女はパンを、ハムスターみたいに少しずつかじっていた。

とりあえずその間僕は、彼女の事を聞き始めようとした。どうも、今の彼女の態度も気になる。しかし、なんて言えばいいのか分からなかった。

「あのさ・・・、」

僕は無意識で喋ってしまった。そしたら、彼女は食べるのをやめこっちを見た。

(う~ん・・・何て言えばいいんだろう・・・?)

正直な所、彼女の態度の事をどう言えばいいのか分からなかった。しばらくしたら、彼女は首を傾げた。
で、最終的にふっと浮んだ言葉は、

「君って・・・二重人格・・・ってある?」の言葉だ。

何言っているのだろう、僕? と思った。確かに彼女の態度も変だし、二重人格の可能性もある。でも、もし違っていたらかなり恥ずかしい。 もしかしたら、変な目で見られるかもしれない。 そして彼女の返事は・・・

「・・・うん。」とこっくりと頷いた。

一瞬、えっ?っと半分驚いた。 適当に浮んだことが本当だった。さすがにちょっとびっくりした。

「ええっと・・・その、詳しく聞かせてくれないかな?」と説明を要求した。

彼女はこくんと頷いた。

「・・・私、ある事情で、二重人格になってしまったの。私が表の私・・・。戦っている時が裏の私・・・。」

「そうなんだ・・・。何で自分は戦わないの?」

と言った途端、彼女の肩が震えているのが見えた。

「・・・私、血が怖いの。そして何よりも怖いのは・・・男の人・・・。」

「え?それって・・・さっきのある事情と関係あるの?」

そういったら、黙って頷いた。

「・・・私、野乃木さん以外の男の人が怖いの・・・。触れるだけでも・・・怖いの・・・見るだけでも・・・怖いの・・・。
だから私・・・このゴーグルをかけているの・・・。」

そういった彼女は、おでこにかけてあるゴーグルを指差した。

「このゴーグルは・・・男の人だけがモザイクで見える、特殊な物・・・。」

「そうなんだ・・・。」

僕は分かった。なぜ彼女がそこまで脅えていたか。つまり、表の彼女は重度の男子恐怖症だから、あそこまで
脅えていたのだ。

「・・・ふしぎ。」

「え?」 急に彼女がポツリと言って、反応した。

「なぜか、分からないけど・・・あなたと私、敵同士なのに・・・なんで、優しくするの?」

「う~ん・・・僕に聞かれてもな・・・。」 僕は腕を組んで、考えていたら、

ピンポーン・・・。

「!」

突然、玄関からチャイムがなったら、僕はすぐに反応した。

「父さん達帰ってきたのかな?」

僕が立ち上がろうとしたら、彼女が僕の袖をつかんだ。

「・・・。」 彼女は脅えた顔で顔を横に振った。

「そうか・・・。 う~ん・・・とりあえず、お風呂の方に隠れて。 リビングをでたら、右のドアのほうにいって。そこだから。」

そう言ったら、彼女はパンを持ってリビングを出て、風呂場のほうに行った。

「よし。」

僕はほっと一息をしたら、すぐに玄関に行った。

そして玄関のドアを開けたら、服がボロボロの姿をした父さん達がいた。しかし、父さんの様子が変だった。 僕に何も言わずに無言のまま二階に行った。

「何があったの、三太郎さん?」 僕は三多朗さんに聞いてみた。

「実は・・・。」 三多朗さんが喋ろうとしたら、

「それは私のほうから説明します。」

急に三多朗さんの後ろから、聞き覚えの無い声がした。僕は後ろの方を見たらいたのは、全身真っ白の服を着た人がいて、僕の同じ顔をした人物がいた・・・。